2022年7月26日火曜日

子どもの話を「直近のこと」から聞いてみる

暑い日が続きますね。子どもが夏休みになり、いつもと違う生活リズムにまだ慣れないという方もいらっしゃるでしょうか(私もその一人です)。また普段は子どもと接する機会が少ない方も、子どもと接する機会が多くなる時期ですね。
みなさんは、子どもに最近の出来事を聞いてみようと、「最近どう?」と聞いたことはありませんか。

5月に開催した「子どもの話を聞く技術」体験セミナーでは子どもに「最近どう?」、「今日はどうだった?」という質問を封印して、代わりにその時のことを思い出す事実質問をしてみましょうとお話しました。
例えば学校の様子を聞きたくて「学校どうだった?」と聞くと、子どもはなんと答えるでしょうか。もし、最近同じ質問をしたことがある方は、その時の子どもの答えを思い出してみてください。

 

「たのしかった。」で会話がすぐに終わった、あるいは何も答えが返ってこなかったといったことはありませんでしたか。
「どうだった?」と聞かれて、子どもが今日の出来事をぱっと思い出して答えを返すことは、特に小学生の子どもにとってはハードルが高いです。なかには大人の期待する答えを考えて答える場合もあります。
例えば私たち大人でも、上司に「今回の出張はどうだった?」と唐突に聞かれると、つい「勉強になりました」と相手の求める答えを作ってしまいますよね。 

それでは、子どもに今日の出来事を聞きたいとき、みなさんなら「どうだった」を封印して、何から聞くでしょうか。「子どもの話を聞く技術」体験セミナー参加者のAさんは、小学生のお子さんにこのように聞いてみたそうです。

学校からの帰宅途中、6歳のお子さんとの会話

「時系列の近いところから聞いていくと思い出しやすい」とのアドバイスを聞いたので、児童クラブの帰り、子どもに「今日ドッチボールして遊んだ?」、「何して遊んだ?」と聞きました。
そこから娘が自分で、今日学校の授業でもこんなことしたよ、あんなことしたよ、と話してくれました。

「どうだった」と聞きたくなったら、Aさんのように「直近のこと」から子どもの行動に焦点を当てて聞いていくと、子どもが少しずつ今日あった出来事を思い出すことができます。
学校の帰り道で話していたなら、さっき自分と出会う直前は「どこ」にいたのか、「誰」と「何を」していたのかを聞きます。そして「その前はどこにいたの?」と少しずつ過去にさかのぼっていきます。

子どもは、だんだんと児童クラブでのこと、学校から児童クラブに移動したときのこと、教室で終わりの会をしたこと、その前の授業のこと、お昼休みのこと、給食のこと、とその日の子ども自身の行動を思い出していきます。
そして、Aさんのお子さんのように、誰かに話したいほど面白かった経験があったときには、その場面に飛んで話を始めることがあります。


子どもが自ら話を始めたら、チャンスです。それはいつ、どこで?誰か近くにいた?と細かく事実を聞いていくと、まるで自分がその場所にいたかのように、その光景を一緒に見ながら話を聞くことができるはずです。

「どうだった?」と聞かずに直近のことから質問をしていく、というのは遠回りのようですが、十分に子どもの行動を振り返る質問をしておくと、思わぬ子どもの話を聞くことができます。
ご家族でも、近所の子どもでも、支援先の子どもでも、ゆっくり話を聞く時間があるときに試してみてください。そして何か気づいたことがあれば、教えていただければ嬉しいです。

山岡美翔 ムラのミライ理事/事務局長代行)