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2025年10月10日金曜日

セネガル事業報告会レポート3:「普及活動」や「持続性」の秘訣は何ですか?

セネガル報告会レポート後編です。

菊地さんと和田さんによる対話形式の報告のあと、参加者からもたくさん質問が上がりました。その一部をご紹介します。

 

Q:元々、事業地の小規模農家たちは「農業で生計が立てられなくなって都市や欧州に出稼ぎに行く」という問題を抱えてたとのことでしたが、ため池などで土壌の保水能力が向上し、(水やりなど)水のマネジメントがうまくいった場合、出稼ぎに行かなくても済む営農パターンというのはありますか?

和田:それはわかりません。ただ、教えたのは『何事にもコストがかかる』ということです。種や肥料を買うことだけがコストではない、労働時間や売る時の経費を含めて、すべての工程でどれだけのコストをかかるのか、ということが明らかになるようにしました。そこから、各自が判断すれば良いと思っています。(つまり、それぞれが自分で考えて「こういう農業をする」と決めて、実行する、それを続けていくということ)


Q:「指導員養成」や「指導員による循環型農業の普及」という活動について、指導員はどのように農法を普及していったのですか?ムラのミライから動機付けはどのように行ったのですか?

和田:普及方法は、自分の畑の周りのひとたちに伝える、ということです。まず、農民は遠くまで行けません。また、指導員の畑の周囲の農民たちが、「なにやってるんだ」と思い、(指導員に)聞く。そこで、指導員は系統的に教えるのではなく、それに応える・教える、という感じ。興味を持った人が聞いてきた時に、その場で教える、ということです。
また、ムラのミライは動機付けはしません。そうなるだろう、という予想がつくのです。ンディアンダ村の指導員の一人が、「土壌の塩化を防止するのが自分だけではだめだ」と気づいたように、それ(知識や発見)が動機づけになるのです。(場所を)限定的にするのではなく広範囲でしないとだめだ、ということに村人自身が気付くようになること。それが重要だと考えています。



他にも、最後の1年間にンディアンダ村で整備されたため池の使い方や効果、既存の灌漑設備の有無や研修に来ていた農民たちの選出方法など、終了時間ギリギリまで、参加者の質問は続きました。

 

まだまだあるエピソード

たくさんの方々に参加していただき、質問もいただき、本当にありがとうございました。

「大変勉強になりました。農民の皆さんの意識が少しずつ変化していく様子を思い描くことができ、大変興味深く拝聴いたしました」
「沢山の実践ベースのお話を聞くことができ、大変勉強になりました!」
などの感想もいただきました。

まだまだエピソードはあります。

続きは、11月1日(土)のイベント「セネガルのお話&ランチ交流会in 京都(西アフリカ料理)」でみなさんと共有できればいいなと思います。
ぜひご参加ください!
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2025年9月26日金曜日

セネガル事業報告会レポート2:村での研修のやり方を再現

セネガル報告会レポート中編です!


ムラのミライの事業では、スタッフが一方的に村人(相手)に何かを教えるのではなく、対話をベースに活動をすすめます。なので、報告会でも、菊地さんと和田さんの対話がベースとなりました。
和田さんと菊地さんのほのぼのとしたやりとりに笑ったり、なるほど〜と思ったりしながら、あっという間で内容が盛りだくさんの時間となりました。その中でもとっておきの場面をお伝えします。

セネガルでムラのミライがやったこと・やらなかったこと

さて、セネガル事業は2017年から2025年まで続きましたが、2017年に開始した直後に、私、前川も初めてセネガルを訪れました。それまでは、山に囲まれたインドの村で活動していたので、セネガルの果てしなく続く地平線と視界を遮るものがほとんどない赤茶けた広い大地に驚き、絵本「星の王子さま」に出てくるバオバブの木を初めて見て感動していました。


私は10年近くインドやネパールで和田さんの研修を間近で見てきたので、セネガルでも変わらず「メタファシリーテーションの鉄則だなぁ」と思って和田さんや中田さんと農民の皆さんとのやり取りをみていたのですが、綾乃さんは当初、その研修スタイルに驚いたそうです。

菊地さんは事業が始まって数か月後の2017年5月にムラのミライに入職と同時にセネガルで駐在を始めました。報告会では、初めてセネガルで和田さんの研修に参加したときの様子をこう話していました。

菊地:私、最初に和田さんの研修に出た時、とってもびっくりしたんですね。私の知っている研修って、必ず講師が最初に「今日は○○の研修です」と言って始まったり、どこかに「○○の研修」と書いてあったりしてました。でも和田さんの研修では、そういうことが何もなかったんです!農業の事業と聞いていたので、研修も種とか農法の話から入ると思っていましたが、和田さんの村人への最初の質問は「最近、洪水はいつありましたか?」とか「朝、太陽が昇ったら何が起こりますか?」なんです。「えっ、今から何が始まるの?」「今日は何の研修なの?」と私も村人も一緒にびっくりしてました。和田さんは、毎回、研修のテーマを決めていましたか?事業の全体的なテーマも決まっていたのですか?
和田:菊地さんや村人たち、確かに驚いてましたね。研修全体のテーマ、事業期間を通してどのようなことを(村人に)わかってもらおうか、というのはあらかじめ決めていますよ。でもね、毎回の研修のやり方は、その日の村人たちの顔を見てその場で決めるのです。
菊地:だから「畑への水やり」という同じテーマでも、訪れる村ごとに研修のやり方が違ったのですね!

和田:なんで僕が村人に「太陽が昇ったら何が起こる?」というような質問をするか菊地さんはわかりますか?
菊地:うーん、村人たちの興味をひくためですか?
和田:それもあるけど、僕が村人との対話をベースに研修をする理由はね、村人たちが『何を知っていて何を知らないか』を分かってもらうためなんです。それが研修。『農作物への水やりはどのタイミングでやるのか、それは朝です』と言ったって村人は腑に落ちないし、頭にも残らない。「太陽が昇ったら何が起こるか」という現象を、自分の体験を、時系列で追体験してもらう。そのために村人に質問をしていくのです。


そこで、菊地さんが「私も追体験してみたいです」と和田さんにまさかのリクエスト。苦笑いしながら、和田さんが菊地さんに聞いていきます。

和田:日が昇るころに起きたことある?その時、あなたの身体に何が起こりましたか?
菊地:体、特に顔が暖かくなりました。
和田:そうだね、ぽかぽか暖かくなるね。その時、地面で何が起きているか知っていますか?
菊地:う~ん、・・・知りません
和田:その体験は、どこでしたの?
菊地:初詣です。
和田:なるほど、そこでは地面のことは体験し辛いかもしれませんね。だけど、セネガルでは相手は農民です。周りに土があります。朝日が昇ってくると、朝露がでてくる、地面が温かくなる、ということを思い出せるのです。
菊地:なるほど。私と同じように「体が温かくなる」という体験は一緒ですが、それ以上に「同時に地面で起きている現象」を具体的に答えられるのですね。

実際に「その場で体験しながら現象を理解する」という研修のワンシーンを、菊地さんは動画でも見せてくれました。
動画では、和田さんがコップの中にティッシュで作った「こより」の先を浸しながら、村人たちと会話をしています。それは、見えない土の中の「毛細管現象」を説明している場面でした。村人たちは、ティッシュがコップの中の水を吸い上げ湿っていく様子を見たり触ったりします。


メタファシリテーションを1対複数人でする時のポイント

和田:例えば「熱伝導」という科学用語をいきなり伝えるのではなく、「やかんでお湯を沸かすと、中の水がどうやって温まっていくか」という例をとったりするのも同じです。こうした現象を利用して、植物は水や養分を吸い上げる、という説明をするのです。
菊地:だから、村の人たちも最後は大きく頷いているのですね。
和田:そうです。最初の質問ではポカーンとしていた村の人たちも、質問に答えていく形で、自分たちの経験を知識と結びつける、ということができるのです。

菊地:全員が理解していたのでしょうか?
和田:優秀な人たちはいます。研修で10人に1人が喰いつけばいいし、20人に1人が実践し、その人から広まれば良いのです。事業開始当初、優秀だなと感じ入った人は3~4人。その中でも特に優秀なひとりは「わたしは何も知らなかったことを知りました」と嬉しそうに言っていました。最初から、全員が理解する必要はありません。
菊地:そうでしたね、何人かは研修後にすぐに実践しましたね。
和田:農業プロジェクトと言っても、ピーマンのつくり方を教えることはしませんよ。私自身も作ったことは無いですしね。ただ、ピーマンの栽培過程のどの時点で、水を集中的にやるか、というようなことは教えることができます。

つまり、和田さんが一貫して村人たちに教えてきたのは、彼ら自身が考えて実践するための知識や方法です。それを受けて、菊地さんがあるエピソードを思い出しました。

菊地:畑の面積を測って、必要な種の数や作業人数、日数などを算出するというような研修をした時、それまで面積を出したことはない人たちがほとんどでした。その計算中、トマトが一番効率よいということがわかって実践した農家もいました。こちら側が言わなくても、自分で発見して実践する、ということですね。

このように、写真や動画も見ながら、二人による和やかな対話の時間が終わりました。
後編は、参加者からの質問と和田からの回答を一部ご紹介します。

 ★2025年11月1日(土) には、イベント「セネガルのお話&ランチ交流会in 京都(西アフリカ料理)」を開催します。ぜひご参加ください! 

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セネガルの小規模農家が抱えていた問題とは?

2025年9月8日月曜日

セネガル事業報告会レポート1:ムラのミライとセネガルとの出会い

こんにちは、ムラのミライの前川香子です。
8月23日(土)にセネガル事業報告会をオンラインで開催しました。その一部を、3回に分けてお伝えしたいと思います。

私の報告会の当日の担当は、司会進行でした。
スピーカーは2人のセネガル事業担当者。
1人は、和田信明さん(ムラのミライ シニアコンサルタント)、そしてもう1人は、菊地綾乃さん(元セネガル駐在員、ムラのミライ認定メタファシリテーション®トレーナー)でした。菊地さんは、ムラのミライ入職前にJICAの海外協力隊としてベナンでの活動経験がありました。(なので、菊地さんは駐在前からフランス語が堪能で、駐在中に現地語のウォロフ語も話せるようになりました)

2時間と長丁場の報告会でしたが、菊地さんが和田さんに質問する形式で和やかに進み、参加者の方(国内外のNPOの方々が多かったです)からの活発な質問も飛び交うとても楽しい時間でした。
では、報告会レポート前編です。

 

そもそも、なぜセネガルに??

「なんでムラのミライがセネガルで事業をするの?」
セネガル事業をするにあたって現地調査を始めた2012年、私は海外事業チーフとして主にインドやネパールの事業担当だったのですが、あちらこちらで聞かれました。
報告会でも、この部分に触れています。

菊地:ムラのミライって、セネガル事業の前まで20年近く、インドやネパールといった南アジアが活動拠点でしたよね?私もムラのミライ=南アジア、というイメージでした。「セネガルで」というのは、誰が最初に言い出したのですか?
和田:僕と中田(前代表の中田豊一)の2人です。2人とも時期は違うのですが、フランスに留学経験があって、西アフリカならフランス語が使えるかなと思ったのです。そこは、一種のノスタルジーですね。
あと、僕と中田で開発した方法論(メタファシリテーション®)が南アジア以外でも汎用性を持つのか、というのも試してみたかったんです。インドでは、水資源を管理できる範囲で(1つの村)、水と土と森を村人が管理できるようにしていこうという事業をやっていました。村人はいわゆる家族で農業を営む小規模農家(以下、小農)の人たちです。この小農って、全世界の農家人口の85%を占めているんです。アフリカは全人口の51%が農民で、その大多数が小農。だから彼らが水や森を管理できないとなると、地球環境的にも大変なことになります。もうあちこちで猛スピードで大洪水や干ばつで大変なことになっていますよね。だからこそ、小農の彼らが使える資源を適切に活用して、水や土を再生していくよう方法論を確立したいという思いで、セネガルでの事業をスタートしたんですよ。
菊地:そうだったのですね。
和田:西アフリカといっても広いからね。最初からセネガルだった訳ではなく、ブルキナファソやマリも検討しました。でも、治安上の問題や、何よりこの方法論を理解してくれるセネガルの現地NGOに出会えたことで、最終的にセネガルとなったのです。

カウンターパート団体との共通認識のつくり方

和田さんから、セネガル現地NGOの話が出ましたが、それが、セネガル現地NGOアンテルモンドの代表ママドゥさんです。

和田さんや中田さんがママドゥさんに出会ってすぐに、セネガルでの事業がスタートしたわけではありません。まずは2014年、2015年とアンテルモンドのママドゥさんとメラニーさん、それと中田さん、和田さんの4人でセネガルの5州を巡り、ローカルNGOや農民の話を聞き、現地の様子を見ました。2016年には、ママドゥさんとメラニーさんにインドの事業地に来てもらい、村人による小規模流域管理事業を見てもらうことになりました。

ママドゥさんたちはいくつかの村を訪れ、「流域管理委員会」のメンバーである村人たちから、ため池や土壌流出防止のための石垣や植林地について、そして今後の計画についての説明を受けました。(ムラのミライのスタッフは、村では事業の説明をせず、ママドゥさんたちの通訳をしたり、村人の説明に少し補足説明をしたりするくらいです。)

『村にある知識やノウハウと、土壌・水保全の科学的な知識を結び付ける』そして『外から来たNGOが一方的に押し付けるのではなく、農民自身が考えて決める(自己決定)』というムラのミライのアプローチに、ママドゥさんたちは、大変驚きました。

そうして、「同じように土や水の問題を抱えるセネガルで、ムラのミライとぜひ一緒に事業がしたい!」とセネガルでの活動が始まりました。

セネガル事業開始エピソード続き、報告会では、「セネガルでムラのミライは何をしたの、何をしなかったの?」という話に続きます。続きは後編で。


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村人による小規模流域管理事業(インド)とは

2022年9月5日月曜日

村でサヤインゲン栽培についての聞き取り3

 以前「認定トレーナー・前川香子のチェックポイント」で、サヤインゲン栽培の聞き取りにフィードバックをいただいたあと、前川さんとZoomセッションをおこない、さらにアドバイスをいただきました。

今回は、その際のポイントをまとめてご紹介します。

・Aさんが、サヤインゲンが「よく育った」という表現をしていたが、そもそも土づくりや肥料のやり方をきちんと知っているのか。
→適切な肥料の使い方を知っているか、知っているならどこから教えてもらったのか。
→地域によっては肥料のパッケージに「マメ科ならこの量を使う」と書かれていることもあるため、Aさんが使っている肥料の袋には書いているかどうか、書いているならそれを読んだことがあるか。

上記と関連して、
・Aさんは、サヤインゲン栽培について出荷先の王室プロジェクトから栽培についてレクチャーを受けているのか。
→肥料のやりかた(時期・量)など。
→そもそも王室プロジェクトの指導員ってどんなレベルの人か。

また肥料を使う際は、きちんと量らずに目分量で撒いているようだったので、事実質問でどのように確認していくべきか迷っていたところ、以下の助言をいただきました。

・たとえば、ひとつかみの量を撒くということなら、実際にAさんに肥料をひとつかみしてもらったものを、計量カップに移して計ってみてもいい。
→それが適切とされている分量と合致しているかを確認する。

・さらに、畑を図面に描いて、畝の列や種を蒔く穴の数も書き込みながら、穴は〇個あるから適切な量から計算すると全体でこれくらいの量の肥料を使うだろうという推測ができる。

・その後、肥料が入った大袋のうち、今回使用してどれくらい量が減ったかを確認する。
→例えば3分の1ぐらい減ったのであれば、使用した肥料の重さは合計〇kgぐらいで、1つの穴あたりで計算すると今回は〇g使っているね、とわかる。

*具体的に測定したり計算したりしながら、一緒に確認・検証する作業が効果的だとわかりました。

これらに加えて、土壌の状況もさらに確認するようお話しをいただきました。

・サヤインゲンの前にズッキーニを植えていたなら、ズッキーニがいつまで植わっていて、次にサヤインゲンを受けるまでどれくらい期間が空いてるか。
・ズッキーニにどの肥料をどれくらい加えたか。撒いた肥料がどれくらい土に残ってるか。

それによって、今回サヤインゲンに使った肥料と合わせると、土が酸性かアルカリ性になってるかもわかってくる。
→土の状態も栽培に影響する。

また、
・これまでAさんが畑や田んぼでどんな作物をどれくらい育ててきたか。
・マメ科の作物を育てたことがあるのか。
などの経験を聞けば、Aさん家の農業の歴史全体が把握できるとのことでした。

今のところAさんとCさんのサヤインゲン栽培について大きく違うと感じる部分はなかったのですが、以前Aさんは、2袋収穫して選別後に出荷できたのが1袋と話していました。
Cさんより選別ではじく量が多い印象なので、そこも聞いてみていいかもしれません。(選別の基準など)

次回は、Aさん家が4月に栽培していたサヤインゲンの結果(出荷量・出荷額・利益など)を確認する予定です。

また、チャンスがあればCさんには一家の家計状況について聞いてみたいと思います(支出入の状況、管理の仕方、どれだけ支出を押さえているかなど)

今回アドバイスいただいたように、図面を描いたり重さを量ったりして視覚的に一緒に確認する作業を加えると、お互いにわかりやすいですし気づきや理解が深まりそうなので、次回はぜひ試してみたいと思います。

寺田華恵さん
メタファシリテーション講座修了生/Chiku ChikuTong Tong (ちくちくトントン)



2022年7月7日木曜日

村でサヤインゲン栽培についての聞き取り2

以前の記事「村でサヤインゲン栽培についての聞き取り1 」を、認定トレーナーが厳しくチェックしたら、こうなりました。
ブログ上での公開コンサルティングとして、この記事を掲載します。長ーいですが、事実質問練習中の方(特に農村・農業に関わる場面でメタファシリテーションを使いたい方)必見です。

認定トレーナー・前川香子のチェックポイント

「収入が足りない」と相手が言った時に「いくら必要なのか知ってる?」という質問をするのは、メタファシリテーション生みの親、和田さん中田さんの必殺技ですね。こう質問すると、答えられる人はまずいません。
プロジェクトにおいては、ここから活動が始まっていくのですが、今回はAさんBさん家の家計が気になる寺田さんが取り組んだ、(家計そのものではなく)サヤインゲン栽培の聞き取りを中心にみていきましょう。

  1. 事実質問でとても具体的に聞き出せている個所(返答も含む)を、水色でマークしています。
  2. また、「私」(聞き手)が使ってしまっているNGワードにオレンジ色マークしています。これに代わって何と聞けば良いでしょうか?
  3. 「AさんBさん」(答える人)が使ったあいまいワード(緑色)を、さらに具体的に答えてもらうためには、どういう質問を続ければいいでしょうか?ちなみに、答える人があいまいワードを使うのは悪い事ではありません。

また、上記マーク以外に、質問や応答部分に、考慮すべきポイントを青字で書き込んでいます。

 

 

私:サヤインゲンについて話を聞きたいんだ。今、サヤインゲンは田んぼ1か所に植えてるの?

A:2ヶ所に植えてて、1ヶ所は全部枯れちゃった。

私:田んぼともう1ヶ所はどこに植えてるの?

A:田んぼの脇の所。今日叔父さんが蜂の巣を取ってたところに先に植えてたんだけど、そっちは全部枯れちゃった。

私:うまく育たなかったの?←「なぜ?」と聞きがちなところ、なぜを回避したことはいいけれど、「うまく」というのは一般ワード。

A:よく育ってたけど日差しが強すぎて死んじゃった。暑い時期はだいたい枯れちゃう。

私:田んぼの方は、いつ植えた?

A:2月末。一年中植えられるよ。

B:枯れたやつ(田んぼの脇に植えた分)は、虫が根っこを食べてしまったんだ。

私:それはいつ植えたの?同じ月?

A:同じ月。

B:その時期は暑くて、用事でチェンマイに行って1日水やりできなかったことがあったんだけど、その時に枯れた。→2月に植えた豆について答えている

私:枯れた時は苗はどれくらいの高さだった?

B:葉っぱが2、3枚付いた頃だった。→2月に植えた豆について答えている

Aさんがサヤインゲンを植えている棚田
(写真ではサヤインゲンの前に植えていたズッキーニが植わっています)
 

私:苗はどこから持ってきたの?

A:種を使うんだよ。王室プロジェクト(※)から持ってきたよ。→2月に植えた豆について答えている

※タイ王室が国民の生活向上のために農業を支援する取り組み

私:タダでもらえるの?

B:500gあたり100バーツで買うよ。→2月に植えた豆について答えている

私:2月は何キロ買ったの?

A:1キロ買った。王室プロジェクトからは、1回500gずつ植えるよう言われてる。→2月に植えた豆について答えている

B:1ヶ月に2回植える。5日と15日の2回。

私:日にちも決められてるの?

B:うん。(去年の)12月から4-5回植えたんだけど、植えては途中で枯れてって感じで。 でも他にサヤインゲン植えてる人も、その時期は同じように枯れた。→12月、1月、2月、どの月も5日と15日なのか?(※会話後半で一部確認している)

A:○○さんのとこも、××さんのとこも枯れたし…。

私:枯れたのはどの月?1月?

B:1月と2月。

私:他に植えてる人のところもあちこち枯れちゃったんだね。

A:Cさんのとこも枯れたしね。(※後日Cさんにもサヤインゲンについて聞き取り済み)

私:サヤインゲン植えるときは、他の人も雇って作業する?→「いつも」という一般ワードが隠れている。

A:雇わない。1時間あれば種1キロ植えられるよ。

私:穴掘って種をまくの?→いつ植えた豆について聞いているのか?

B:落花生のときとおんなじ感じ。(クワで穴を掘って、上から穴に種を投げ入れ、土をかぶせる)でも落花生よりも、間隔を広く開けて植える。→いつ植えた豆について答えているのか?以下、同じ。

私:種を植える前に、何かすることはある?←質問が一般ワードになっている。

A:草刈りする。それから、(手で示しながら)これくらいの高さになったら肥料をやる。

私:10-15cmぐらいの高さかな?

まだ小さいサヤインゲン

B:種植えてから15日後だよ。Cさんのところは、先に肥料を入れてる。種を蒔く時に穴掘って、肥料を入れてから種を蒔く。キャベツと同じような感じ。
でもそのやり方だと枯れやすいように感じる。2月に植えた時は、田んぼの方は肥料を入れずに種まきして、田んぼの脇に植えた分はCさんみたいに肥料を先に入れて種まきしてみたんだけど、田んぼの脇の方だけ全部枯れちゃったんだ。

私:ふーん、肥料を先に入れた方が枯れやすいのかな。虫がつきやすいとか。植える場所は、種まきの何日前に準備するの?→「いつも」「ふだん」という一般ワードが隠れている。いつ植えた豆について聞いているのか?

A:自分次第。→いつ植えた豆について答えているのか?

私:2月に植えた時も王室プロジェクトに日にちが決められてたの?→※ここで2月に植えた日にちについて聞いているのは良いけれど、結局何日だったのか?どうやって植えた日を決めたのか?植えるまでどのような準備(作業)をしたのか?

B:決められてなかった。王室プロジェクトが種を販売する日が決まってて、植えるのはいつでもいい。

私:種は王室プロジェクトが渡しに来てくれたの?

B:ううん。こっちが王室プロジェクト(の拠点)まで取りに行った。

私:取りに行ったときは、王室プロジェクトから電話連絡があって行った?

B:名前を書いておいたから。王室プロジェクトのとこに。月に1回王室プロジェクト(に登録してる農家向けの)会議があって、サヤインゲンを植えたい人はその時に名前を書いておく。例えば今月会議に行かなかったら、次の回はサヤインゲンは植えないということになる。植えたい人は会議に行ってボードに名前を書いておけば、次に種を売ってもらえる。 もしサヤインゲン植えたいんだったら、種もらってきてあげるよ。

(※王室プロジェクトに出荷する農家は、会員登録しておくシステム。サヤインゲンは[多分ほかの作物も] 王室P以外のところに出荷してはいけない決まりになっている。)

私:2月に植えた時は、1月に会議に行っておいたの?植える1ヶ月前に名前書いておくんだよね?

B:うん。会議があるときは、王室プロジェクトのスタッフから「今日会議来てね」って事前連絡がある。

A:会員番号がないとダメ(会議に参加できない)。

私:毎月何日に会議するか電話してくれるんだよね?

B:そう。

私:行く行かないは自由?

B:うん。植えないんだったら、行かなくてもいいし。

私:種はいくらだったっけ?

B:1キロ200バーツ。

私:2月は種を1キロ買って、2ヶ所で全部植えたんだよね?

B:2ヶ所で1キロちょっとだったよ。田んぼに1キロ、田んぼの脇に500g植えた(全部枯れたところ)。→残りの500gはどうしたのか?
Aさんが(支柱用の)竹をたくさん切ってきたから、1回あたり1キロずつ植えようと思って。1キロ以下だとちょっとずつしか収穫できなくて時間がもったいないからね。 田んぼに植えた分はよく育ってたけど、他の村人が放牧してた牛が入って食べちゃってさ。なんでそんな放牧の仕方してるのやら。

私:田んぼのところは1時間で種をまきおわったんでしょ?種まきの後は何をしたの?→2月に植えた豆について聞いている。以下同じ

B:何もしないよ。芽が出るまで待つ。→2月に植えた豆について答えている。以下同じ

私:水やりはした?

B:2‐3日に1回水やりした。

私:水やりは1日かかる?

B:スプリンクラーの棒を地面に挿して1時間ごとに場所をずらしていって、全体に水やり出来たら終わり。→何時に始めて何時に終わったのか?水やりの時間を決めているのか?その時間は昼間でない等、水やりに適しているのか?

私:ふーん。2月に植えてから今で2ヶ月ぐらい経ったね。

B:2ヶ月ちょっとで収穫できるよ。雨季なら1ヶ月ちょっと。

A:今度18日に収穫するよ。

サヤインゲンの収穫

私:まだ収穫したことはないんだよね?

B:うん。明日、王室プロジェクトに持って行って農薬の検査するんだ。

私:検査の機械があるの?

A:王室プロジェクトにある。

私:王室プロジェクトに機械を借りて?

B:王室プロジェクトで検査してくれる。もし他のとこに卸しに行ったら検査はしないんだけどね。王室プロジェクトはいつも(1キロあたり)18バーツで買い取ってくれる。(全体の)出荷量が少ない時は20バーツ。出荷量が多いときは18バーツ。

私:最低18バーツなんだね。市場価格が安い時も王室プロジェクトなら18バーツ。

B:そう。市場価格が高い時も18バーツ。

私:まぁ、事前に確実な卸価格がわかってるってことだよね。(通常、市場に農作物を下す場合は日によって価格が変動する)

B:Cさんは年中サヤインゲン植えてて、結構収入が入ってるよ。種まきの前にいつも土を耕して柔らかくしてるから良く育ってる。

私:種まきして15日で1回目の肥料をやるんだったよね。2月に植えた分の肥料は、いつ買ったか覚えてる?

B:16番の肥料を使ってる。

私:新しく買ったの?どこで買ったの?

B:麓町で。1回あたり1キロ~2キロちょっと使う。

 花が咲く直前に13番の肥料を1回撒く。

私:16番と同じ量使うの?

B:13番の方が多めに撒く。

私:16番の肥料は大袋で買わないといけないよね?

B:少量でも分けて売ってくれるよ。

私:今回はどれくらい買ったの?覚えてる?

B:大袋で買った。

私:1袋いくらだった?

B:1000バーツしない。920バーツだったかな。

私:900バーツちょっとか。

B:Cさんから、今は1300バーツか1400バーツに値上げしたって聞いた。

私:Bさんは2月に新しく買ったの?じゃなくて前に買っておいたの?

B:前に買っておいたやつを使った。無くなったらまた買わないといけない。

私:前に買ったやつが残ってたから、それを使ったんだね。大袋は何キロ入ってるの?

B:50キロ。

私:それで今回は1-2kg使ったんだね。もう1種類の肥料(13番)は?それも大袋で買っておいたんだよね?

B:そう、大袋で買っておいた。ずっと保管しておけるからね。

私:値段は16番と一緒?

B:一緒じゃない。13番の方が高い。でもずっと前に買ったから、今の値段はどうかわからないな。

私:Bさんが買ったときは13番の方が高かったんだね。でも重さは同じだよね。50kg?

B:そう、 50kg。本当は1回目の肥料に「チュアパー」っていうのを使ってもいいんだよね。1袋300-400バーツ。

私:へぇ。16番と同じ粒タイプのやつ?

B:そう。黒い粒のやつ。でも品質はあんまり良くない。

私:値段は16番よりずいぶん安いね。

B:そう。16番は1000バーツぐらい、チュアパーは370か380バーツぐらいだから。

私:肥料の種類は王室プロジェクトに言われるの?

B:言われない。

私:なんでもいいの?

B:うん。王室プロジェクトではチュアパーを使うように勧められるけど、品質が良くない。

私:今回は2回目の肥料はもうやった?

B:うん。もう撒いた。

私:種まきの15日後に1回目の肥料を蒔いて、2回目はいつ?

B:花が咲く前。

私:何月だった?3月?

B:覚えてないけど、花が咲く前だから種まきから1ヶ月経った頃かな。本当は15日ごとに肥料をやったら良さそうな気がするけどね。

私:1回目の肥料をやるときはどうやって撒くの?

B:苗のそばに撒く。2回目もおんなじ。

私:肥料は2回だね。今回2月に種まきしてから草刈り何回したか覚えてる?

A:1回。日差しが強かったから、あまり刈らずにある程度そのままにしておいた。

私:まぁ1回で十分だった?

A:うん。

B:今回サヤインゲン植えるのに、費用が1000バーツかかってないんじゃないかなと思う。(えーっと、と考えながら)種1キロ200バーツ、1回目の肥料5キロ使って、1キロあたり20バーツだから100バーツ、2回目の肥料5キロも含めて、全部で合計400-500バーツぐらいかな。だから1000バーツもいってないと思う。

私:2回目の肥料は今回何キロ入れたの?

B:4kgか5キロいかないぐらいかな。

A:1回目と2回目、同じ量使ったよ。

B:重さ計らないからね。桶ですくってそのまま撒くから。だいたいそのくらいと思う。→どれくらいの大きさの桶なのか?その量は、過不足ない量なのか?適正量を把握しているのか?

私:今月18日に1回目を収穫するんだよね?

A:本当はもう今収穫できるんだけど、タイ正月休みで王室プロジェクトが休みだから(休み明けの18日に収穫する)。

B:18日の月曜日に持っていくから、前日の日曜日に収穫しておく。そうしないと間に合わないから。

私:早朝に持っていくの?

B:うん。隣の村まで王室プロジェクトが取りに来るから、そこまで持っていく。以前は家の前に置いとけば王室プロジェクトが回収していってくれたんだけど(笑)、納品書(領収書)も出してくれないし、農家もあんまり状態が良くないものを出したりしてたのかなー。それで今では選別したものを出荷するように言われてる。

私:18日に持って行った分で農薬の検査してから、OKだったら次20日に出荷するって感じか。(19日収穫→20日出荷)

B:田植えとか稲刈りの時期とかは、みんなサヤインゲンの世話する余裕なくて出荷量が減るから、買取価格が20バーツになる。こないだうちの村でサヤエンドウが枯れちゃった時期は、王室プロジェクトが他の村の人に植えてもらうようにしたみたい。12月と1月の2ヶ月はうちの村では植えさせなかった。植えても枯れてしまったら時間がもったいないからね。その頃はうちの村だけじゃなくて近隣の○○村でも枯れてたよ。

収穫したサヤインゲンを担いで家に帰ります
 

私:うーん。サヤインゲンは、全然人に手伝ってもらわなくてもいいんだね。全部自分でできるんだね。

B:1時間で作業終わるしね。

A:(ちょっと自慢げに)植える時は、私1人で穴掘って1人で種まきしたよ。朝、(サヤインゲンの前に植えてた)ズッキーニを刈ってから、穴掘って種まいて…。

(※落花生などの作物ではよその家の複数人に手伝ってもらって1日~1日半かけて植える)

支柱を作るのに時間がかかるんだよ。

私:支柱は竹を使ったの?

B:そう。種500gあたり1000本以上の支柱を使う。Cさんは、あそこに生えてる竹全部切っちゃったよ(笑)竹いっぱい使う。

私:500gで1000本ってことは、今回田んぼに1kg植えてるから支柱2000本以上使ってるってことだね。竹はそのまま使う?割って使う?

B:割って使う。割って分けないと(数を集めるのが)大変だから。1本の竹を3-4本の支柱に切り分ける。

私:支柱はどの時期に挿す?

B:いつでも時間があるときに挿せばいい。

私:いつでもいいけど、遅くとも…

A:葉っぱが4枚出るころに挿す。

私:葉っぱが4枚付くころには挿さないといけないんだね。

A:支柱は先に切っておかないとだめ。じゃないと間に合わない。

私:今回挿したやつはいつ切ったの?

B:まぁ前に切ったやつをまた使ったり、新しく切ったりだから…。

私:あぁ。準備しておくのは…

A:切ったやつは3回ぐらい繰り返し使える。

私:2月に植えた分では、新しく何本ぐらい切った?新しく切ったものもあるんだよね?

B:竹切るのに1-2週間かかる(笑)

A:今回(割る前の状態で)100本ちょっと切った。4日間で。

私:それで足りたんだね。

A:そう。前に切った分も使ったから。

私:今回は(割った状態で)400-500本分切ったってことだね。

A:600本ぐらい。

私:1月に切った分だね?600本ぐらいってことは6日間ぐらいかかった?

A:そのときによって違う。竹のサイズにもよるし。大きい竹を選んだ方がいいんだ。4本に割れる。

私:細めの竹だったら2分割ぐらいか。

B:もっと細いのだったら割らずにそのまま使ったり。本当はもっと太い竹もあるんだけど、(状態が)あんまり良くないんだ。下の方しか使えない。真ん中とか上の方は薄い(から使えない)。

私:支柱は何センチぐらい挿す?深く挿す?→せっかく事実質問で聞いているのに、その後で一般ワードが出てきている。「何センチ」が答えにくそうだったら、お箸でも棒でも、周りにあるものを支柱に見立てて、囲炉裏の灰に挿してもらうとか「ここくらいまで」と指で示してもらうなどして、どれくらい挿すのかを答えてもらえる。

B:深くない。

私:自立したらOKなんだね。挿してから苗をくくり付ける?

B:くくらない。挿しておくだけ。

私:支柱を指しておけば勝手に苗が絡むんだ、いいね。苗1本に支柱1本?

A:1つの穴に種を4粒撒くんだけど、1つの穴(種4粒)につき1本挿す。

 3粒ずつ撒く人もいるけど、私は4粒ずつ撒いてる。

私:どれくらい間隔空けて種まきするの?

B:(自分の腕を見ながら)手から肘くらいまでの長さかな。

私:30-40cmぐらいかな。

A:(畝)列の間の通路部分は、通りやすいように(手で示しながら)これぐらい空ける。

私:50cmぐらいかな。種まきは30-40cm間隔、列は50cm間隔だね。

A:田んぼには(棚田)1枚につき2列だけ蒔いた。→この栽培地に必要な種の量は何キロか(=何キロ買えば良いか)?田んぼの脇のところは、何個の穴を掘れて、何キロの種が必要になるのか?その答えは、王室プログラムで買った量・実際に使った量と比べてどれくらいの違いが出るか?

サヤインゲン畑
私:今、上の畑には植えてないんだよね。

B:これから植えようと思ってるところ。タイ正月明けぐらいに。

A:(上の畑じゃなくて)田んぼの脇のところ。前回植えて全部枯れちゃったところにまた植えようと思ってる。→前回とは1月のこと?

私:この村にサヤインゲン植えてる人たくさんいるんだよね。

A:○○さんと、××さんと…。

私:10人いかない、5人ぐらいかな。

B:5人。(指折り数えながら…)うん、5人だ。

私:サヤインゲンは、採れただけ王室プロジェクトが全部買い取ってくれるんだよね?

B:全部買い取ってくれる。

A:(上の村に住む)Jさんの娘は最低1kg17バーツで買い取ってくれる。(個人ビジネスとして買い取っている)17バーツで買い取ったのを、近隣地区まで行って20バーツちょっとで卸してる。

私:自分で売ってるんじゃなくて中間の卸をしてるんだね。王室プロジェクトは、自分のショップ(王室プロジェクトの店舗)で販売してるよね。空港にもショップがあるし、全国にもあると思う。行ったことある?

B:行ったことない。

私:チェンマイにもいっぱいあるよ。一回行ってもいいね。

B:農家から買い取ったのを自分とこの店に送ってるんだよね。

私:そうそう。パッキングして。「安全野菜」として販売してる。サヤインゲンを最初に植えたのはいつか覚えてる?→いい事実質問

B:最初は去年。

私:去年の何月?

A:覚えてない。……2月か3月だったかな。そこからはずっと植えてる。

私:2月に植えて、そこからずっと植えてるんだね。→収穫した後、どれくらいの休耕期間を置いていたのか、あるいはいないのか?「連作障害」を知っているのか?

A:そう。種500g撒いて、良い時は4000-5000バーツになる(卸価格)。

私:1回出荷して?

B:違う。1回種まきしてから何回か収穫して出荷するのを全部合計したら4000-5000バーツになる。

A:Cさんは1kg植えて1万バーツちょっともらった。

私:500gあたり5000バーツぐらいってことだね。毎回500gずつ植えてたってこと?で、今回は1kgに増やしたんだね。

B:うん。サヤインゲンは農薬使わないのが良いよね。エシャロットとかキャベツなんかは、山の人たちは植えても自分では食べないよ。農薬いっぱい使うから。

(※実際は食べることもある)

私:農薬撒くときみんな半袖半ズボンで作業してるよね、危ない。

A:うちのお父さんは、靴も履いてないよ(笑)

私:1キロ植えたのは今回が初めてだよね?

A:雨季に1回植えたことがある。すごくよく育って、1回目の収穫で70kg採れた。

B:本当は100kgぐらいだったんじゃじゃないのかな?(※←翻訳不確か)あの時は2ヶ所(王室プロジェクトと上の村)に出荷したから。王室プロジェクト以外に出荷すると、バレたらそれ以降もう植えさせてくれないんだけど。

私:本来は王室プロジェクト以外には出荷しちゃだめなんだね。

A:その時は、王室プロジェクトの買い取り価格が15バーツで上の村の人は17バーツだった。だから2ヶ所に分けて出荷してた。

私:王室プロジェクトの買い取り価格が18バーツに上がったのは何月だったか覚えてる?

A:去年のある一時期だけ15バーツだった。それ以降は18バーツか20バーツになった。

私:まあ、ほかのとこの方が高く買い取ってくれるんだったら、みんなも王室プロジェクトに出荷したいと思わないよね。(価格が)3バーツ上がってよかったよね。

A:本当はサヤインゲンは育てやすいんだけど、暑季(2・3・4月ごろ)は枯れやすい。

B:この間枯れちゃったときは、栽培方法もわかってなかったから。(自信ありげに)今はもうわかった。これぐらい育った時にもし枯れそうになったら農薬はスプレーせずに水だけやって、苗の下(土のところ)に液体の農薬を撒けばいい。スプレーだと苗の中を食べる虫に効かないから。液体を下に撒くと土の中まで届くから、虫が死ぬ。あの時はそれを知らなかったから、全部枯れちゃった。王室プロジェクトから来たスタッフがそうやって教えてくれたんだ。→「枯れそう」をどうやって見分けるのか?葉の色?苗の高さ?いくつかの株を抜いてみる?

私:それ、枯れちゃう前に最初から教えてくれてたらよかったのにね(笑)「もしこうなったときは、こう対処すればいい」って。

B:王室プロジェクトのスタッフも知らなかったから。枯れた時は、もう苗も大きく育ってたんだけど、スタッフが枯れた苗を引っこ抜いてみたら虫が中を食べてるのがわかったんだ。

私:あー、スタッフもその時に見に来てわかったんだね。

B:全部の苗に虫がついてたよ。小さいイモムシみたいなやつ。→コガネムシの幼虫か?そうだったら、そもそも産卵されないように防止策ができる。今まで何度か枯れているようだが、この虫を発見したのは「この間枯れちゃったとき」だけなのか?

私:なんの虫だろうね。

B:なんの虫かわからない。大きくなってきたら黄色くなる虫。

私:1キロ18バーツだったら、この辺りでは一番高い買取価格なんだよね。

A:稲刈りの時は20バーツ。稲刈りが忙しくてみんなあんまりサヤインゲン植えないから。 稲刈りの後に急いで脱穀も済ませないと、雨降っちゃったりするしね。

私:稲刈りの時は(稲刈りだけで)疲れるし、時間もないよね。収穫したサヤインゲンを選別するとき、いっぱいはじかないといけない時もあるんだよね?

A:うん。大袋2つ分収穫して1袋分だけ出荷するときもある。サヤに赤い点々が付くのはラッシーっていう病気のやつ。(選別ではじかないといけない)

選別ではじいたサヤインゲンを晩ごはんのおかずに

今回の聞き取りはここまででした。

ポイントをまとめると…

・サヤインゲンは、1人で種1kgを1時間で蒔ける、草刈り1回、肥料2回、天候によって水やり2‐3日に1回と、種1kg程度の栽培だと作業の負担は少ない印象。

・約2ヶ月で収穫、種500gあたり(Aさんによると)合計5000バーツ前後の出荷額。

・2月に種1kg分植えるのに投資した額は、500バーツぐらい。ただし同時期に別の場所に植えた種500gは全て枯れてしまったので、その種代100バーツがマイナスになっている。

・サヤインゲンは出荷先の王室プロジェクトが最低の買取価格を保証しているため、一般的な卸先のように、出荷するまでいくら儲かるかわからないという不安定な要素はない。

 

Aさん家の支出状況がわからないので、サヤインゲンが収入源としてどれくらい頼りになる作物かどうかは、今のところ何とも言えません。が、Bさん曰く「サヤインゲンを植えるだけでは収入は足りない」とのことでした。

これから収穫というタイミングだったので、収穫を全て終えてから、Aさんに合計の出荷額などを聞きたいと思います。

収穫したてのサヤインゲン

今回の聞き取りだけでは、特にAさんたちの作業の仕方で手を抜いているとか、違和感を覚える部分はありませんでした。今後、Cさんへ聞き取りした内容とも比較しながら再度検証してみます。

 

改善点

タイ語には過去形がありません。聞き取り時に、私自身は過去形という意識で質問していても、改めて音声を聞きなおしてみると現在形で質問しているように感じられる部分が多々あったので、「2月は…」など時を表す言葉を必ず付けて話さないと、と思いました。

 

そもそも、きちんと時系列で聞けていなかったので、「脳内で映像を見るように話を聞く」はできていなかったです。

 

認定トレーナーコメント

「いつ」を起点にした良い事実質問の流れもありました。また、時期や大きさ、量を聞く時に、「葉っぱが何枚出た頃」や「手で示す」等を用いるのも相手が答えやすくて良いですね。

「脳内で映像を見るように」というのは、「自分がサヤインゲンを栽培する」のをシミュレーションできているか、ということです。ただ、「栽培」とは、種を蒔くところからではなく、種を蒔くまでの作業も含みます。また、サヤインゲンだけをクローズアップするのではなく、サヤインゲンの前の栽培作物も視野に入れる必要があります。

Aさんたちの栽培地は「稲の収穫後の田んぼ」と「田んぼの脇の土地」の2つが出てきましたが、サヤインゲンの前に、稲が植わっていたりズッキーニが植わっていたりしているようです。

  • まず、それらを刈り取った後、いつ、どのような作業を、どれくらいの期間行ったのか?(=土づくり)
  • 種を蒔いてから、それぞれの成長ステージで(いつ)、何をどれくらいしたのか?
  • 収穫時をどのように見定めて、何日かけて収穫したのか?

そうやって、サヤインゲンの1サイクルを知ったら、去年一年間で、その土地に何がどれだけの期間植わっていたのかも聞いてみると、連作障害が起きていないか、土が痩せてしまっていないか等も見えてくるでしょう。

そして、Aさんたちが多用していた「よく育つ」「あまり育たなかった」というのは、何をもってそう言っているのでしょうか?葉っぱの色艶?大きさ?ツルの伸び方?花の付き具合?実の長さ?張り?実の大きさに関わらず全体の収穫量?
肥料のやり方も、まだまだ具体的に聞けますね。
Aさんたちはサヤインゲンの栽培を始めたのが去年のようですが、1年間で何回、サヤインゲンの栽培を経験し、どのような成功・失敗体験を経たのかを聞き出してみて、「栽培方法がよく分かった」のかが浮き彫りになると良いですね。

また、支出を見る時には、種と肥料ばかりがコストではありません。これも、シミュレーションしたら見えてきますね。水やりの時はスプリンクラーを使うと言っていました。その電気代(ディーゼル代?)はいくらになるか?水の利用料は?竹を運ぶ際に乗り物を使っていないか?種や肥料を買いに行く時の交通費は?行った際に、ご飯食べたりお茶飲んだりしていないか?収穫した豆を入れる容器は?豆を売る時の交通費は?等々です。

 

疑問点

・流れで2人同時に話を聞きはじめる形になってしまったのですが、話を聞くうちに作業は基本的にAさんがしていることがわかりました。この場合、そこからは意識的にAさんと対話するようにした方が良かったのでしょうか?

→そもそも今回のような場合、最初にAさんBさんどちらと話をすればいいか、どういう風に決めると良いでしょうか?

 

認定トレーナー回答

最初に決める必要はないです。
Aさんが作業をしているのかなと思ったら、例えば「誰がその作業をしたのですか?」「Aさんがそれを見たのですか?」等の質問を挟むのも良いですね。
また、具体的な質問(「よく」「十分」「あまり」などの言葉を使わない、相手が使えばそれを置き換えさせる質問)をすれば、自ずとその具体的な答えを知っている人(=作業をした人)しか答えられなくなります。

 

元の記事(聞き取り記録):寺田華恵さん
メタファシリテーション講座修了生/Chiku ChikuTong Tong (ちくちくトントン)

今回の記事(マーカー、青字コメント):前川香子
ムラのミライ海外事業チーフ/メタファシリテーション認定トレーナー