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2019年3月22日金曜日

ネパールのオバチャン達は忙しい


ナマステ!
今回は、私がネパール駐在中に出会った村のオバチャン達との会話から。
まずは3つのエピソードをご覧ください。
(ムラのミライの活動に関わってくれた村の女性たちを、ここでは親しみを込めて「オバチャン」とよんでいます。)

<エピソード1>
エコレンジャーのオバチャン達への研修の時の出来事です。
私「それじゃあ、今日はこのあたりにしましょうか。次の研修はいつにしましょうか?場所は今回と同じところでも大丈夫ですか?」
オバチャンA「そうね~、来週の水曜日はどう?」
オバチャンB「その日、ちょうどパンづくりの研修があって・・・私は行けないわ~」
私「あら、そうですか。じゃあ、その次の日はどうです?あいていますか?」
オバチャンC「ああ~その日はアナウンスの研修があって都合がつかないわ。」
「私も」「私も」とうなずきあうオバチャン達。
私「えっ、ここにいるみなさん参加しているじゃないですか!アナウンスの研修ってどんな研修ですか?」
オバチャンC「スピーチの方法を学ぶのよ。発声の方法とか、姿勢とか。」
私「へー、どこが研修を提供しているんですか?」
オバチャンB「自治体がやってるのよ」(・・・と話は続いていく)

<エピソード2>
エコレンジャーのオバチャン達が各地で研修していた時のこと。研修後にちょっとした打合せのため、とある建物に入りました。
私「あれ?この建物は、おうちじゃないですよね」
オバチャンD「ここ、私たちがメンバーになっている女性グループの集会所の建物なのよ。」
私「おおー、そうなんですか。(山積みになっているサンダルに気づく)これ、なんですか?」
オバチャンD「このサンダル、私たちで作ったのよ!ほら、そこにミシンもあるでしょう。」
私「(サンダルを手に取りながら)結構しっかりした作りですねぇ。作り方は誰かに教わったんですか?」
オバチャンD「そう、研修を受けてね。これから販路を開拓していきたいんだけどね~」
私「じゃあ、これは販売用なんですね。あら、いろんなデザインがあるじゃないですか。」
オバチャンE「ちょっとトキエさん、試してみなさいよ!あら、これならサイズぴったりじゃない!このデザインだとクルタスルワールによく合うわよ~。」
(と周りから囲んでいくオバチャン)
私「(心の声:まあ、サンダルが欲しいと思っていたところだし)うーん、じゃあ一足もらいましょうかね。いくらですか?」
オバチャンE「ちょっとオマケしてあげる。200ルピーね。」

<エピソード3>
先日、ネパールで開催したスタディツアーでの出来事。オバチャン達に案内してもらいながら、村を歩いていた時のことです。
道沿いにビニールハウスのトマト畑を発見。
オバチャンF「ここ、トマト畑なのよ」
ツアー講師H「へー、いつからここでトマトを植えているか知ってますか?」
オバチャンF「5年ほど前かしら。ちょうどその時にトマト栽培の研修があって、その研修に参加した人が始めたのよ」
オバチャンG「私も参加したわ!」

-----------------
ここまで読んで、「うわー、このオバチャン達、いろんな研修を受けてるな~」と思った方、そのとおり!
何気ない会話ばかりではありますが、こういった話は他にもあって、まとめていくと
アナウンス、サンダルづくり、トマト栽培、他にもプラスチック包装を使ったクラフトづくり、クッションづくり、パンづくり、コンポストづくり、マイクロクレジット・・・実に多種多様な研修を受けているオバチャン達の姿が浮かび上がってきました。


クラフトづくりの研修の成果を見せてもらう

こういう話をしたオバチャンの顔を思い浮かべると、せいぜい10人くらいです。もっと多くのオバチャンに話を聞くと、もっといろいろな研修が出てきたかもしれませんね。
とにかく、オバチャン達は「女性のスキルアップ」や「収入向上」の名のもと、自治体やNGOが提供する多種多様な研修に参加していて、ムラのミライが実施していたゴミ処理に関する研修も、オバチャン達にとってはone of themの研修だったというわけです。
実は、ゴミ処理の研修もムラのミライに限らず様々な団体がやっていたりします。

ムラのミライの研修で地図づくり中のオバチャン達

食事の準備と後片付け、洗濯、掃除、親戚のお見舞い、女性グループの活動、仕事、そして上記のような研修への参加。ネパールで私が出会ったオバチャン達は、とても忙しい毎日を非常に精力的にこなしていました。忙しい毎日の一部をムラのミライの活動に割いてくれていたのです。

村を訪問すると、ニコニコと付き合ってくれて、「お茶でも飲んでいきな」と親切にしてくれるオバチャン達。
ネパールに駐在した当初は、彼女たちがとてものんびり日々を過ごしているように見えていたのですが、だんだんと、それが思い込みだったことに気づいていきました。
そう、ネパールのオバチャン達は、忙しいんです。

現場ではプロジェクトを進めることに手いっぱいになって、プロジェクトと関わっている部分でしか村の人を見ることができなくなってしまいがち。その狭い領域で「うまくいった」「うまくいかない」と一喜一憂する日々でした。
でも、ちょっとそこから視線をずらし、何気ない会話をしながら「ネパールの●●村に住む、◎◎さん」の暮らしのリアルが見えてくることで、村の人たちとの関わりがずっと楽しいものになっていきました。
こんなふうに、「個人の暮らしのリアルを見る」経験を積み重ねていくことが、村の人/NGOワーカー双方にとって、具体的で、ワクワクして、長続きする活動を組み立てていくヒントになるんじゃないかと、ネパールに住んでいた2年を振り返ってみて思うのです。

(田中十紀恵 ムラのミライ事務局長)






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2018年12月26日水曜日

「自分の意図どおりに通訳してくれない」そんな時には

2016年の冬のある日のネパール。
この時期、エコレンジャー養成研修を修了した地域住民が、近隣の村でゴミ減量をテーマにした研修を実施し、それをムラのミライ/ソムニード・ネパールがサポートしていました。 そんな、エコレンジャーたちによる研修で起こった出来事です。

研修のようす

---------------------
エコレンジャーに研修には、研修のモニタリングや、必要な文房具の貸し出しのためにムラのミライとソムニード・ネパールのスタッフが同席させてもらっていました。
事前に「11時に研修開始だからね」と言われていたので、私はソムニード・ネパールのスタッフKさんと一緒に、11時に間に合うように研修場所へ行きました。

ですが、研修開始時間の11時になっても人が来ません。
本日の研修講師のエコレンジャーAさんが、事前にやり取りをしていた村の人に話を聞きに行って戻ってきました。

Aさん:参加者たち、もうすぐ来るって言っているから、もう少しだけ待ってもらえますか?
(※補足:研修開始予定時刻から15分が過ぎると、研修はキャンセルにしようというルールを事前に決めていました)

私:村の人たちには何時にここへ来てねって言ったの?
Aさん:10時半
私:10時半?えー、私は11時って聞いたはずだったけど。では、遅れたのは私たちでしたか・・・ごめんなさい。
Bさん:いやいや、研修の開始時間は11時なんですよ。だから大丈夫。(※補足:Bさんはもう一人の研修講師)
私:え??
Bさん:11時開始って言ったら、開始時間には来ないでしょう?だから村の人たちには10時半って言っておいたのよ。そうしたらボチボチ集まってきて、11時にいい具合に開始できるかな…と。
私:で、10時半には研修実施メンバーの誰かがここに来てたんですか?
Bさん:いや・・・私たちも11時に間に合うように来たから・・・

そんなやりとりをしている間に、参加者が集まってきたので、研修を開始してもらいました。

Bさんが言っていることはとてもよくわかるんです。
日本じゃ子どものころから5分前行動を叩き込まれるけれど、ビスターレの国ネパールでは15分や20分くらい遅れるのは日常茶飯事。
でも、村の人を自分に置き換えたらどうでしょうか?
10時半と聞かされていて、時間通りに行って、誰もいなかったら?
「今日は研修がキャンセルになったのかな?」と家に帰るに違いありません。主な参加者は家事や子育てを担う女性たち。時間があるなら、家でやりたいことはたくさんあるでしょう。 私なら帰ります。
それはエコレンジャーのオバチャン達も同じはずだし、何より約束した時間に来るっていうことは、研修に参加する人たちへの最低限の礼儀じゃないかと思ったのです。

私:まー、エコレンジャーのオバチャン達の言うこともわかるけど、やっぱり10時半って言ったらその時間に誰かはスタンバイしてないといけないよねぇ。時間通りに行って、誰もいなかったら、自分だったら帰っちゃうよね。

と後ろでこっそりKさんにこぼしつつ、研修の様子を見ていました。

さて、研修終了後。Kさんを連れ出して、後片付けがあらかた終わったエコレンジャーたちのところへ行きました。彼女たちはある程度、私の話す英語(+つたないネパール語)もわかるのですが、念のためにKさんに通訳をお願いしました。 

後片付け。※写真は別の日に別のエコレンジャーたちを撮影したものです。

私:みなさん、今日もおつかれさまでした!今日は、研修のここが面白かったですね!導入のやり方を前回と変えましたか? 
(その後、研修の中身に関するやり取りが少し続く)
私:ところで・・・今日は村の人たちには10時半って伝えていたそうですね。
うーん、気持ちはとてもよくわかる。10時半って言っても始まるのは11時・・・ってあるあるですよね。でもどうでしょう?もし、みなさんが村の人たちだとして、聞いていた時間に行っても誰も待っていなかったら・・・どうでしょうかね?

すると、Kさんが先ほどの私の言ったことは訳さず、「10時半って言ったんだったら、その時間に来なきゃだめじゃないか」と言い出したのです。
(※補足:ネパール語は流暢に話せなくても、ある程度聞き取ることはできる筆者)

エコレンジャーのオバチャン達に、ムラのミライやソムニード・ネパールのスタッフが言うからではなく、自分に置き換えてみて「そりゃそうだよなぁ」と思ってほしくて質問をしたのですが、どうも、Kさんは私が回りくどく言っていると思ったらしいのです。 (さっき「時間どおりに来なきゃねぇ」と話していたからでもあります。)

結局、オバチャン達は少ししゅんとした様子で「村の人と決めた時間には行かなきゃね。次はそうします」と言ってはくれました。
(その時の気まずさは察していただければ・・・)

私は何と続けていいか迷って、とりあえず「時間のことは、そうですね。次はそんな感じでよろしくお願いします。研修はどんどん面白くなっていっているので、また次も楽しみにしてますよ!」と言って別れました。 
------------------

いろいろ「質問がまずいんじゃない?」「そこでそんなこと言う?」などツッコミどころはありましょうが、通訳をしてくれる人が、(おそらくは)良かれと思って、いろいろ自分なりの解釈をつけて話してしまう…という出来事でした。

そうしてしまったのは、私がこの時、シンプルな質問にできていなかったからなんですよね。
例えば、和田さんがどこかの村にいって、通訳を挟んで村の人たちにインタビューをしているとき。とってもテンポよく会話が進んでいきますし、通訳の人が自分の解釈を入れる余地がないんですよね。

和田さんと村人との会話については、過去にこんな記事を投稿しました。
ネパールの村で見た、和田さんの神業ファシリテーション

質問のシンプルさの違いが一目瞭然ですね。。。
そういうところでも事実質問の腕が試されているんだなということを痛感した出来事でした。

ここまでの失敗談はないかもしれませんが、通訳を挟むと、うまいこと事実質問でのやりとりができないんだよなぁ、と私と同じようなことをお悩みの方。
もっともっと、自分が思うよりシンプルに質問してみることを試してみられるとスムーズにやり取りができるかも!?

(田中十紀恵 ムラのミライ事務局長)

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2018年8月3日金曜日

あの時はどうしたっけ? 過去の似た経験を思い出してもらう

2018年7月、今年度のネパールでの活動について(※1)、ソムニード・ネパール(※2)と打ち合わせるため、半年ぶりにネパールへ行きました。
滞在中に、これからソムニード・ネパールが一緒に活動したいと考えている村(ここではG村とします)のオバチャンたちと話をする機会を作ってもらいました。このオバチャンたちは、ソムニード・ネパールが実施した研修に参加した人たち。自分たちなりにゴミの分別を始めていますが、資源回収業者に回収してもらうため、ガラス片や金属を持ち寄ることのできる、資源回収スペースを作りたいと口々に言ってきました。
でも、気になったのは、回収場所を作りたいとは言うものの、何世帯が利用して、どのくらいの量のガラス片や金属を溜めておける場所が必要なのか…という答えが出なかったことです。ということは、ソムニード・ネパールとのあいだでも、そういう話はしていないということ。まずはソムニード・ネパールとオバチャンたちがここを明らかにしないと、これ以上は何も進まない。回収場所なんて言うとなんだか具体的に聞こえますが、何も具体的ではない。
たとえば、「新しいパソコンが欲しい」と思っていても、画面の大きさは?カバンに入る大きさがいい?OSは?メモリは?メールと表計算ができれば十分?予算は?色は?などなど、どう使っていくのかを考えていかないと、どのパソコンを買うか決められませんよね。



そこで、次の日、ソムニード・ネパールのスタッフ、ディベンドラとのミーティングの機会をもちました。まずは私と、実際に現場でオバチャンとやり取りをする彼とのあいだで共通理解を作っておきたかったからです。

私:昨日、G村のオバチャンたちの話を聞いていて、気づいたことはありましたか?
ディベンドラ(以下D):あそこは昔の人たちと新しく移住してきた人たちのとの間での衝突があって・・・
(私の心の声:え?昨日そんな話題は出ていたっけ?)
まぁ、それは昨日の話には出てこなかったけどね。
(私の心の声:言いたかっただけ?)

やや暗雲立ち込めるスタートでしたが、気を取り直して

私:ええっと、私は、話を聞いていて、オバチャンたちは、どのくらいの大きさの回収場所が必要かを、まだ具体的に考えていないし、オバチャンたちの間でも共有してないように見えたんですよね。

そこから、ちょっと話の矛先を変えてみました。

私:ところで。ディベンドラさん、DEWATS(分散型排水処理施設、※3)建設の時は、どうしていたんですか?
D:?
私:設計図を作る前になにか調べていましたよね。それは何でしたか?
D:利用する予定の人の数や、各家庭から排出される排水量を調べましたね。
私:ですよね。あらかじめ、村にどのくらいの人がいて、どのくらいの排水量があって…を調べてからDEWATSの設計図を書いていましたよね。何のためでしたっけ。
D:これを調べておかないと、適切な大きさのDEWATSを割り出せないですよね。
私:そうですよね!じゃあ、ゴミ回収場所も同じじゃないですか?まず、“利用する予定の人数”からいきましょうか。どうやって調べていきます?
D:なるほど、じゃあ、世帯調査を…
と、DEWATS建設の経験を思い出しながら、1年間の活動を組み立てていきました。

ここで過去の活動の話―村の人たちと、ムラのミライとソムニード・ネパールで取り組んだDEWATS建設のことを話題に出したのは、『途上国の人々との話し方』(※4)にも解説されている「類似体験について聞いてみる」をやってみようとしたからでした。
これまでも、いろいろな場で「類似体験について聞いてみる」ことを試してみたものの、「それはそれ、これはこれ」と言われ、何度も撃沈しましたが(実は、前日のオバチャンとの会話でも試して失敗しています)、今回は、「ゴミ回収場所を作る」というボンヤリしたアイデアから、一歩進む突破口が少しは見えたんじゃないかなという気がしています。
ただ、こうしてやりとりを振り返ってみると、私から何でもかんでも言いすぎていて、本当は「DEWATSもゴミ回収場所も同じ」とディベンドラに言ってもらえれば、なお良かったのですが。

今やっていること、議論していることになんとなく行き詰ったなーという時、類似体験を思い出してみると、案外するっと突破口が見つかるかもしれません。

(ムラのミライ事務局長 田中十紀恵)

※2 ソムニード・ネパール:ムラのミライがネパールで活動するときの現地パートナー団体。
※3 DEWATS(分散型排水処理施設):自然の力を利用して家庭排水を浄化し、川に流す施設。詳しくはこちらをご覧ください→
「でこぼこ通信第12号」http://muranomirai.org/dekoboko-12
※4 『途上国の人々との話し方』p.316 「③解決方法を探る:自己の類似体験の追跡にこだわる」

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2018年4月10日火曜日

対話で思い込みをはずす 「昨日、ランチで何を食べた?」


こんにちは。
今回のブログ記事は、現場でのマスターファシリテータ―たちの緊張感あるやり取りはお休み、オフィスでのちょっとした会話からです。

2月のネパール出張から帰ってきてすぐ、胃腸風邪のような症状で寝込み、食欲が戻らない日が続きました。そんなことがあった数日後、スタッフの山岡さんと久しぶりにオフィスで会いました。

山岡さん:お腹の調子はいかがですか?
私:はい、おかげさまで。でも、しばらくご飯を食べてなかったから、油モノはまだちょっと…。昨日のランチに、オフィスの近所のうどん屋さんに行って、かき揚げうどんを食べたんですけど、かき揚げの油がお腹にずっしり来て、またまた調子を落としてしまいました。
山岡さん:油が使ってあるものを食べたのは、(風邪のあと)昨日が初めてですか?
私:そうなんです!ご飯を食べられるようになっても、湯豆腐とか、油を使わないものばかり食べてたし…
宮下さん:あれ?一昨日、ランチでカレーを一緒に食べたやん。
私:あ!しかもコロッケカレーを食べてたわ…
※しかもそのあと胃の調子はなんともなく、平気で仕事をしていました。

コロッケカレー(実物!)

いかに自分の記憶があやふやで、都合のよいストーリーを作ってしまうか、ということですね。
山岡さんとの会話中の私は
【仕事を休んで心配かけたな~とりあえず、ある程度仕事ができるくらいまでには回復したはず→でも、そういえば、揚げ物を食べて胃もたれした→きっと風邪が治りきっていないからに違いない(と思う)→そういえば、油を使った料理を食べるのは久しぶりなのでは?】
というのを(自分でも気づかないうちに)数秒の間に頭にめぐらせて答えたのでしょう。

ムラのミライで働いてはいますが、思い込みで話して、他のスタッフに事実質問でバッサリやられてしまう…というエピソードには事欠きません(笑)。
オフィスでの雑談なので、「適当なこと言ってるな~」と苦笑いで済みますが、いざ、フィールドに出たり、困りごとを相談する/相談を受けるときには注意しなければとあらためて思ったものでした。

余談ですが、この話に出てくるオフィスの近所のカレー屋さんもうどん屋さんも私は大好きで、時間とお金があればよく行くお店です。どこか気になるという方は、コッソリとムラのミライスタッフに聞いてください。

(ムラのミライ事務局長 田中十紀恵)



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2018年1月23日火曜日

セネガル・プロジェクト一問一答

2017年11月29日に開催した「NGO駐在員が見た、セネガルの農村と暮らし:循環型農業プロジェクト報告会」。当日は、学生、民間企業にお勤めの方、国際協力分野の関係者などなど、幅広い方にご参加いただきました。ありがとうございました!
さて、この記事では、当日のQ&Aセッションの中で、私が「ブログの読者のみなさんにも紹介したい!」と思ったやりとりをピックアップしました。
ムラのミライが、どういう視点でセネガルでの事業を実施しているのかがわかるやり取りだと思います。
(報告会全体の内容については、ムラのミライウェブサイトhttp://muranomirai.org/senegal20171129reportをご覧ください。当日のスライドも公開しています。)

【その1】
Q:プロジェクト報告では、セネガルでは出稼ぎの若者が多いという事でした。この事業が目指す「農業で食べていける暮らし」とは、自給自足を目指すのでしょうか?それとも現金収入向上を目指すのでしょうか?

菊地:どちらでも構わないと思っています。この事業では「食べていける農業」を目指していますが、決めるのは農家たちです。

中田:「どう決めたら良いのか」という部分を、研修を通して教えています。自分たちの生活、つまり物事の考え方を、事業では提供しているのです。

和田:セネガルの農業でも「自分たちで育てた作物から種を取る、翌年そこから栽培する」という時代は過ぎました。なぜか?これは、世界中で起こっている事ですが、「種は買うモノ」となり、しかもF1(一世代限りの種)が増えているからです。この事業の農家たちは、もう親や祖父の代から「自分たちで育てた作物からとった種を植える」という農業をしていないんです。「種を買う」ということは、短期的には収穫量が増えます。けれども長期的には土壌劣化が進み、やがて村は衰退していく。
将来は彼らが決めることではありますが、今と同じ農業を続けていると、これから10年くらいで村は消滅するよ、と。これを知らないといけない。土壌流出が起き、水不足になり、農業ができなくなる。それでいいの?と。
塩化もこの地では起きていますが、塩化は土壌の窒素過多と地下水の問題です。このサイクルを知らないと、「食べていける農業」がどういうものかも分からない。だからこうした研修をおこなっているのです。
19世紀にピーナッツが宗主国からやって来ました。つまり、自分たちで農業を組み立てる、という事が失われた。水と土壌は人の生活に必須です。では、どうやってそれらを保全するのか?ひいては、将来どんな村で暮らしていたいのか?という問いになるわけで、現在はこの部分を研修でおこなっているのです。














【その2】
Q:このプロジェクトでは、農業を実施するにあたっての必要な種は配っているのでしょうか?

菊地:配りません。今は研修と研修の間の期間に、出された課題の進捗をモニタリングしに村を訪れていますが、持って行くのは紙とペンだけ。この課題も、したくなければしなくていい。但し、次回の研修からは参加できない、というようにしています。

和田:基本的に、研修には来たい人だけ来ればいい。我々が提供できるのは研修だけど、興味があればどうぞ来てください。なければ別にいいですよ、と。人々は援助慣れしてしまっているんですよね。彼らが理解できないこと以上の物は提供しない。これが基本です。
ひと昔前までは、耕作地の範囲は馬を走らせて決めていた。だけどこの20~30年は人口が増えて、農機も使う。ハイブリッドの種を使う。化学肥料も使う。つまり、土地は広がるけど、劣化した土壌も広がっている。
写真で、雨季の大地は緑が多くなっている画があったけど、確かに雨が降るごとに緑は増えています。緑が増えるので、雨さえ降れば大丈夫と勘違いしてしまう。けれど、実際には雨が降り、土壌流出が起きている。土壌流出がすでに起こった土地に植物が生えているにすぎない。つまり、雨季の前に土壌保全の対策をしないといけなくて、こういう事を自分で考えることができるようにならないといけないんです。














いかがでしたでしょうか?
今後のセネガルでの事業のようすは、随時、このブログや、ムラのミライウェブサイト、Facebookページでアップデート予定です。
ぜひ、ご覧ください。

(田中十紀恵 ムラのミライ事務局長)

★プロジェクトについて
プロジェクト名:地域資源の循環による農村コミュニティ生計向上プロジェクト~農村青年層のための「ファーマーズ・スクール」
JICA草の根技術協力事業(パートナー型)

セネガルの農家を応援してください!募金キャンペーン実施中
http://muranomirai.org/2017bokin









2017年11月7日火曜日

あなたの収入、おいくらですか?


過去の出来事を聞いて行くときに、その時、その場面の絵を描く(絵が浮かび上がる、のほうがしっくりくるかもしれません)ように質問をしていく…という話の続きです。

 

国際協力の現場でよく見かける「収入」のお話。

村の人たちの暮らしぶりを知りたいと思ったときに、何を聞きますか?

私がぱっと思い浮かぶのは、話を聞く人の家族構成や、職業、買い物する場所、収入…などなど。おカネに関係することはわかりやすかったりしますよね。

「●●をして収入を向上させる」というプロジェクトも、政府やNGO問わずよく見かけます。

 

では、その人がどのくらい稼いで、どのくらい使っているんだろうと気になった時、どういう質問なら事実を聞くことができるでしょうか?

「あなたの先月の収入はいくらですか?」?

それとも、「あなたの年収を教えてください」?

(初対面の人にいきなり収入を聞くのは失礼ですが、今回はそこは抜きにして、あくまで質問方法にフォーカスします)

 

私は、自分自身を含め、近しい人のほとんどがサラリーマン。

(民間企業勤めというだけでなく、所属先から給与が支給されるという意味です)

だから、私は月収や年収でモノを測るのに慣れきっています。「月収このくらいだったら、このくらい使っても貯金ができるなぁ」とか「もうちょっともらわないと生活が苦しいなぁ」とか。

なので、ついつい「先月の月収はいくらでしたか?」と聞いてしまいそうになります。

 

同じネパールでも、カトマンズ近郊のオバチャンと話していると、

「仕事のオファーがあったんだけど、月給が●●ルピーだったの。働くとなると、子どものティフィン(昼食)を学校に頼まなくちゃならないんだけど、そのお金じゃあ、月々のティフィン代とトントンだしなぁ。」といった具合になりますが、

カトマンズから離れた農村に行くと、農作物の収穫期におカネが手に入って…という暮らしになります。必ずしも月に一定の収入が手に入るというわけではありませんし、なにより本人が「月々いくら稼げる」というふうに収入をとらえているとは限りません。もしくは、いつ、いくら稼いだかなんて覚えていないかもしれません。

そんな場合、「月収」や「収入」という聞き方をしても、返ってくるのは「なんとなく、このくらい?」という回答者のパーセプション(思い込み)である可能性大です。

 

昨年8月にネパールで入門ツアーを実施したときのこと。

このときも、参加者が村に行って聞いてみたいことの一つに「村人たちの収入」があがりました。そこで、「あなたの収入はいくらですか?」とは違う聞き方で収入について聞いてみようという話になったと記憶しています。

インタビューを引き受けてくれたのは、農家のオッチャンであるGさん。

参加者+講師のキョーコさん(注)(以下、M)とGさん(以下、G)とのやりとりです。

 

M:この畑の世話をしているのはGさん一人ですか?

G:いや、次男が一緒に世話をしてくれているよ。ここは、ちょっと前までカリフラワーを栽培していたんだ。

M:カリフラワーですか。前回、カリフラワーを収穫した時には、どのくらい収穫できたか覚えてらっしゃいますか?

G:ここの乾燥地の畑から700キロ、もう一つある湿地の畑(※元は水田だったところをカリフラワー栽培に使っているそうです)から700キロ(合計1.4トン)。

M:へええー、そんなに!収穫に何日くらいかかったのですか?

G:20日から25日くらいだったかな。

M:その時は、いくらで売れたんですか?

G:日々値段は変わるんだけど…その時は1キロ40ルピーだったよ。

(話を聞きながら、1,400×40は…と計算してみる私)

M:収穫したカリフラワーはどうやって売るんですか?売買をするような場所があって、自分たちで持っていくんですか?それとも…

…と、話が続いていきました。

 

いきなり「収入」について聞くのではなく、前回の収穫の時のことを時系列で聞いて行って、Gさんに、その時の売り上げも含め、当時のことを思い出してもらったというわけです。

その時は、そこまでは聞く時間はありませんでしたが、前回はいつ、その前はいつ…と聞いて行き、カリフラワー以外の作物についても聞くと、年間の大体の収入や、カリフラワーからの収入がどのくらいGさんの生活にとって重要かがわかったかもしれません。
「収入」ひとつでも自分の思い込みで質問を組み立ててしまいがちですが、過去の出来事を詳しく聞いていくことで、そんな自分の思い込みに気づくことにもつながったのでした。



注:キョーコさん:ムラのミライスタッフの前川香子
 
 
 
 
(ムラのミライ 事務局長 田中十紀恵)
 
 
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2017年10月31日火曜日

絵を描くように質問していく


「相手に過去の出来事を思い出してもらうときには、時系列で、詳しく聞いていく」
というメタファシリテーションのセオリー、どのくらい詳しく聞くべきなんだろうと迷ったことがありました。

中田さん(注)によると、「その当時、その場面の絵を描けるように聞いていくとよい」のだそうです。
例えば、数年前にネパールでフィールドワークを行ったAさんに、当時のことを聞くのであれば、

・フィールドワークに行ったのはいつか覚えていますか?

・その日は、何時ごろに村に到着しましたか?

・その時のフィールドワークのメンバーは覚えていますか?誰でしたか?

・その時の天気は覚えていますか?季節は?

・どの場所から歩き始めましたか?どちらの方向に向かって…?

・歩き始めた時、誰か村の人が案内してくれましたか?

・・・などなど、フィールドワークを始めるまでの場面でもたくさんの質問が出てきます。そうすると、質問者(私)が当時のことを詳しく知ることができるだけではなく、Aさんが当時のことを詳しく思い出し、どんどん自分から語ってくれるようになるんだそうです。
 
さて、ネパールで仕事をしていたとき、ネパール人スタッフから、こんな話をよく聞きました。

 

スタッフ:ミーティングに参加して、自分の活動やアイデアを話したら、みんな賛成してくれたよ。

(私の心の声:何のミーティング?みんなって誰?)

 

【今までのパターン】

私:そう、よかったじゃない!

→これで会話は終了。どんなミーティングだったのか、誰がどんなふうに賛成してくれたのかはわからずじまい。

 

【細かく聞いていくよう事実質問にトライ】

私:どこでミーティングがあったの?

スタッフ:公民館の会議スペース

私:そのミーティングは、何時からはじまったの?

スタッフ 7時に集合の予定で、私は7時に着くように行ったんだけど、始まったのは8時になってから。平日で参加者が忙しかったので、9時には終わったよ。

(私:朝7時の予定だったということは、参加者が仕事に行く前のミーティングなので、忙しかっただろうなぁ。落ち着いて話ができたんだろうか?)

私:あら~朝早かったんですね。始まった時には何人来ていたの?どんな人が参加していたか覚えてる?

スタッフ:10人くらい。公民館の館長さん、スタッフ…(指折り数える。名前を挙げるが、すべて男性の名前。)。

(私:なるほど、ミーティングの参加者は男性ばかりだったのか。)

私:どういう話題から始まったの?

スタッフ:お互いの近況報告から始まって、この公民館の利用状況とか…(と話が続く)

私:誰かがあなたのアイデアに対してコメントしてくれたの?

スタッフ:タパ(仮名)さん。この人は、私の地域のリーダーなんだ。

私:その人のコメントの内容を覚えている?もし覚えてたら教えてくれる?

スタッフ:確か、「あなたのアイデアは素晴らしい。こういう活動をどんどん続けていってほしい」って言ってくれたよ。

(確かにポジティブなコメントだけれど、別に自分がアクションを起こしたいような発言ではないなぁ)

私:他の人からはコメントあった?

スタッフ:コメントはタパ(仮名)さんだけだけど、他の人もうなずいてたよ。

(じゃあ、実際のコメントは一人だったんだ。うなずいていたからみんなってわけね。)

 

→自分がその場面を想像できるように、事実質問で会話を続けてみると、質問相手が自らどんどん語る…というところまでには至りませんでしたが、「ミーティングに出て、自分のアイデアを話したら、みんな賛成してくれたよ。」という言葉から、私が想像した(参加者がとっても乗り気で、活動にも参加してくれそう)のとはちょっと違う風景が見えました。

こういう会話をしたことで、ネパール人スタッフが、もし、その活動を本気でしたいなら、「みんな賛成してくれた」で終わらせず、次に誰にどう話していけばいいのかを考えるきっかけになっていたのなら、嬉しいのですが。
事実質問を使った会話の強みの一つは、こうして過去の出来事を浮かび上がらせることだと思います。とはいえ、細かく聞いて行くと、時間もそれなりに必要なので、ちょっと落ち着いて会話をしてみようか~という時があれば、「絵を描く」を試してみてください。




注:中田さん:ムラのミライ代表理事で、メタファシリテーション手法を築き上げた二人のうちの一人である、中田豊一。

 
(ムラのミライ 事務局長 田中十紀恵)



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2017年3月14日火曜日

何のために、私は質問をしているの?




日本より一足早く、春の訪れを感じるカトマンズからこんにちは。

ネパールでの活動の一つに、村人がトレーナー(この活動では、エコレンジャーと呼んでいます)として、家庭や地域でできるゴミ処理について、他の村の人々に伝える研修があります。日々、家庭で出るゴミをどう処理するか、という問題に直面しているからでしょうか、8回にわたる厳しい(!?)エコレンジャー養成研修を修了し、アクティブに研修をしているのは村のオバチャンたち。

今回は、そんなエコレンジャーとのやりとりの失敗談をお伝えします。


エコレンジャーが研修を実施するときには、私やSOMNEED Nepalのスタッフが写真・映像記録&モニタリングに行っています。そして、研修の最後には、スタッフが、参加者たちに研修の内容についての質問をする時間をもらっています。

ここのキモは、研修を実施したエコレンジャーが、私たちと参加者のやり取りを聞いていること。もし、このやり取りを聞いていて、自分の伝えたいことがうまく伝わってなかったなーと自ら気づけば、次から改善のための工夫をしてくるはず。



このとき、研修を実施したのはラクシュミさん(仮名)。研修参加者のオバチャンたちはとても元気で、誰かひとりが話し出せば、その人の話が終わらないうちに、あっちこっちから話し出す…という具合でした。
そんなワイワイガヤガヤした研修の終盤、私は、研修内容のメモを見返して、2,3の質問を考え、「今だ!」とばかりにラクシュミさんのところに行きました。


私「ラクシュミさん、ちょっと時間をもらってもいいですか?」


ラクシュミさん「いいですよー」


私「もしもーし、みなさん!あ、ちょっと聞いてください!今日は研修を見せてくれてありがとうございました。みなさん、たくさんのことを議論されてましたね。で、今日の研修の内容について1つ2つ、みなさんに質問してもいいでしょうか?時間はありますか?」


相変わらずガヤガヤしつつも、質問?何々?という感じでこちらに目を向けた参加者のオバチャンたち。さっそく研修の内容についての質問を始めました。


・・・が

ふと見ると隣にいたはずのラクシュミさんがいなくなっています。
あれ?どこに行ったん?と探すと、向こうのほうで、一仕事終えた感じでお茶を飲んでいるのが見えました。これでは全く意味がない。慌てる筆者。


私「ちょっとラクシュミさん!まだ終わってませんよ、こっちに来て!」


ラ「いやーもう、今日のオバチャンたち元気だから疲れちゃって、一休みしてたのよ」
と笑いながら戻ってくるラクシュミさん。


その後も質問を一つ二つしたのですが、口々に話し出す参加者のオバチャンと、すでに一仕事終えた感のラクシュミさん…と、見事に話を聞いてもらう空気づくりに失敗してしまったわけです。

最大の反省点は、ラクシュミさんが聞く準備をしていないのに、参加者とのやり取りを始めてしまったところ。研修を見ていて、トレーナーも参加者も集中しづらい雰囲気だな、と感じていたので、どう対策をとるかを考えておくべきでした。

私が参加者にどう質問するかばかりに気をとられていて、さらに言えば、「ラクシュミさんは参加者の回答が気になるだろうから横で話を聞いてくれる」とばかり思い込んでいたので、肝心の彼女の様子には気を向けていなかったのです。

今回のケースでは、たまたまですが、ラクシュミさんは英語が堪能なので、彼女に回答をネパール語から英語に通訳してもらうといった工夫が有効だったかもしれません。
(もちろん、私の質問内容がまずく、彼女の興味をひかなかったということもあったかもしれませんが、ここでは割愛します。)
質問を考えていると、どうしても全体の流れや、状況を客観的に見て軌道修正をするのが難しいですよね。でも、「何のためにやっているのか」を常に頭に置いておかないと、この失敗談のように見事に玉砕してしまう可能性大です。この、次の一歩をクリアするためにも、誰かと対話するときには、質問をすることだけに頭を100%使うのではなく、自分に余裕を持つことを心掛けていきたいと思います。
(拙文ですが、以前、「余裕」をテーマに和田さん観察日記(のようなもの)を書いています。もし、気になる方がいらっしゃれば、過去記事をご覧くださいませ。)



(ネパールオフィス   田中十紀恵)



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