2018年12月26日水曜日

「自分の意図どおりに通訳してくれない」そんな時には

2016年の冬のある日のネパール。
この時期、エコレンジャー養成研修を修了した地域住民が、近隣の村でゴミ減量をテーマにした研修を実施し、それをムラのミライ/ソムニード・ネパールがサポートしていました。 そんな、エコレンジャーたちによる研修で起こった出来事です。

研修のようす

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エコレンジャーに研修には、研修のモニタリングや、必要な文房具の貸し出しのためにムラのミライとソムニード・ネパールのスタッフが同席させてもらっていました。
事前に「11時に研修開始だからね」と言われていたので、私はソムニード・ネパールのスタッフKさんと一緒に、11時に間に合うように研修場所へ行きました。

ですが、研修開始時間の11時になっても人が来ません。
本日の研修講師のエコレンジャーAさんが、事前にやり取りをしていた村の人に話を聞きに行って戻ってきました。

Aさん:参加者たち、もうすぐ来るって言っているから、もう少しだけ待ってもらえますか?
(※補足:研修開始予定時刻から15分が過ぎると、研修はキャンセルにしようというルールを事前に決めていました)

私:村の人たちには何時にここへ来てねって言ったの?
Aさん:10時半
私:10時半?えー、私は11時って聞いたはずだったけど。では、遅れたのは私たちでしたか・・・ごめんなさい。
Bさん:いやいや、研修の開始時間は11時なんですよ。だから大丈夫。(※補足:Bさんはもう一人の研修講師)
私:え??
Bさん:11時開始って言ったら、開始時間には来ないでしょう?だから村の人たちには10時半って言っておいたのよ。そうしたらボチボチ集まってきて、11時にいい具合に開始できるかな…と。
私:で、10時半には研修実施メンバーの誰かがここに来てたんですか?
Bさん:いや・・・私たちも11時に間に合うように来たから・・・

そんなやりとりをしている間に、参加者が集まってきたので、研修を開始してもらいました。

Bさんが言っていることはとてもよくわかるんです。
日本じゃ子どものころから5分前行動を叩き込まれるけれど、ビスターレの国ネパールでは15分や20分くらい遅れるのは日常茶飯事。
でも、村の人を自分に置き換えたらどうでしょうか?
10時半と聞かされていて、時間通りに行って、誰もいなかったら?
「今日は研修がキャンセルになったのかな?」と家に帰るに違いありません。主な参加者は家事や子育てを担う女性たち。時間があるなら、家でやりたいことはたくさんあるでしょう。 私なら帰ります。
それはエコレンジャーのオバチャン達も同じはずだし、何より約束した時間に来るっていうことは、研修に参加する人たちへの最低限の礼儀じゃないかと思ったのです。

私:まー、エコレンジャーのオバチャン達の言うこともわかるけど、やっぱり10時半って言ったらその時間に誰かはスタンバイしてないといけないよねぇ。時間通りに行って、誰もいなかったら、自分だったら帰っちゃうよね。

と後ろでこっそりKさんにこぼしつつ、研修の様子を見ていました。

さて、研修終了後。Kさんを連れ出して、後片付けがあらかた終わったエコレンジャーたちのところへ行きました。彼女たちはある程度、私の話す英語(+つたないネパール語)もわかるのですが、念のためにKさんに通訳をお願いしました。 

後片付け。※写真は別の日に別のエコレンジャーたちを撮影したものです。

私:みなさん、今日もおつかれさまでした!今日は、研修のここが面白かったですね!導入のやり方を前回と変えましたか? 
(その後、研修の中身に関するやり取りが少し続く)
私:ところで・・・今日は村の人たちには10時半って伝えていたそうですね。
うーん、気持ちはとてもよくわかる。10時半って言っても始まるのは11時・・・ってあるあるですよね。でもどうでしょう?もし、みなさんが村の人たちだとして、聞いていた時間に行っても誰も待っていなかったら・・・どうでしょうかね?

すると、Kさんが先ほどの私の言ったことは訳さず、「10時半って言ったんだったら、その時間に来なきゃだめじゃないか」と言い出したのです。
(※補足:ネパール語は流暢に話せなくても、ある程度聞き取ることはできる筆者)

エコレンジャーのオバチャン達に、ムラのミライやソムニード・ネパールのスタッフが言うからではなく、自分に置き換えてみて「そりゃそうだよなぁ」と思ってほしくて質問をしたのですが、どうも、Kさんは私が回りくどく言っていると思ったらしいのです。 (さっき「時間どおりに来なきゃねぇ」と話していたからでもあります。)

結局、オバチャン達は少ししゅんとした様子で「村の人と決めた時間には行かなきゃね。次はそうします」と言ってはくれました。
(その時の気まずさは察していただければ・・・)

私は何と続けていいか迷って、とりあえず「時間のことは、そうですね。次はそんな感じでよろしくお願いします。研修はどんどん面白くなっていっているので、また次も楽しみにしてますよ!」と言って別れました。 
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いろいろ「質問がまずいんじゃない?」「そこでそんなこと言う?」などツッコミどころはありましょうが、通訳をしてくれる人が、(おそらくは)良かれと思って、いろいろ自分なりの解釈をつけて話してしまう…という出来事でした。

そうしてしまったのは、私がこの時、シンプルな質問にできていなかったからなんですよね。
例えば、和田さんがどこかの村にいって、通訳を挟んで村の人たちにインタビューをしているとき。とってもテンポよく会話が進んでいきますし、通訳の人が自分の解釈を入れる余地がないんですよね。

和田さんと村人との会話については、過去にこんな記事を投稿しました。
ネパールの村で見た、和田さんの神業ファシリテーション

質問のシンプルさの違いが一目瞭然ですね。。。
そういうところでも事実質問の腕が試されているんだなということを痛感した出来事でした。

ここまでの失敗談はないかもしれませんが、通訳を挟むと、うまいこと事実質問でのやりとりができないんだよなぁ、と私と同じようなことをお悩みの方。
もっともっと、自分が思うよりシンプルに質問してみることを試してみられるとスムーズにやり取りができるかも!?

(田中十紀恵 ムラのミライ事務局長)

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2018年12月4日火曜日

子育てに使うメタファシリテーション講座@恵那 ビフォー&アフター

ブログを楽しみにしてくださっている皆さま、お久しぶりです。ムラのミライの原康子です。なんとも久しぶりのブログ投稿です。

ムラのミライでは2018年11月から講座をリニューアルし、「子育てに使うメタファシリテーション」講座も1回2時間の講座を、2回に分けて受講していただくことで、2ステップでじっくり学べるようになりました。

今回ブログでご紹介する岐阜県恵那市での講座は、リニューアル後初の「子育てに使うメタファシリテーション」講座でした。

2018年10月と11月、秋の観光シーズンがピークを迎え、世界各国、日本各地から訪れる人と観光バスでごった返す京都をしばし離れ、岐阜県恵那市に行ってきました。10月も11月も私が訪れるときはいつも快晴の恵那でした。

深呼吸とネパール・インド料理店のランチ割引券

恵那の駅に降りて最初にしたのは深呼吸。交通量の多い京都市内の空はいつもどこか灰色がかった水色、空気もいつも排気ガスの臭いがします。恵那の空は青く、高く、冷たく、かすかに木の香りを感じる空気は、深呼吸をする度に肺が喜んでいるような気がしてきます。

深呼吸しながら、ふと隣をみると、おばちゃん2人がネパール語で話していました。久しぶりにネパール語で話してみよう〜と(2016年までネパールにいました)、ネパール語の単語を駆使して、2人のネパール人のおばちゃんに話しかけました。

すると「知り合いに電話したいのに、SIMカードの残高がなくなってしまい、困っている。あなたの電話を貸して欲しい」という感じのことが分かりました。早速「この携帯を使ってください」と携帯電話を渡しました。しばらくすると恵那市内でインド・ネパール料理店をやっている、というネパール人の青年がおばちゃんたちを迎えに来ました。

別れ際、「私は以前、ネパールのカトマンズで、ネパールの人にとってもお世話になった。日本で困っているネパールの人がいたら助けるのは当然のことです」とネパール語で伝えたところ、ネパール人の青年は流暢な日本語でこう答えてくれました。

「そうですか、ネパール料理が好きですか。ネパール料理はおいしいです。お店にカレーを食べに来てください。はい、これは割引券です」

青年にもらったランチ割引券を片手に、しばらく「私のネパール語もまだまだ捨てたものではない」と感慨にふけっていると、私を恵那駅まで迎えに来てくださった方と会えました。

講座を受けるまえVS講座を受けたあと

恵那での講座は「子育て寺子屋ミチクサ塾」(以下略、ミチクサ塾)という団体のメンバー研修がメインでしたが、メンバー研修の合間に一般の参加者約20名を対象にした2時間講座も実施しました。このなかで、10月と11月のリピーターは6人。

連続2回講座の強みは、事実質問を実践した成果を参加者の皆さんから直接聞いて、「こういう場合はどうする?」という具体的な事実質問への置き換え練習が出来ることです。

2回目となった11月の講座は「10月の講座のあと、事実質問を実践した方からの報告」からスタートしました。以下は参加者の皆さんの声です。

・講座を受ける前の自分がどれだけ子どもの話を聴いてなかったか実感した。がんばって2,3の事実質問はやってみたが、事実質問だけで続けてゆくのは難しかった。でも、この1カ月間、子どもへの「なんで○○してないの?」は封印できたと思う。

・4才の息子は無口で「この子は自分のことを話したがらない性格なのかな」と思っていた。10月の講座で「エントリーポイント」のことを聞き、「息子が関心を持っていそうなことは何か?」を意識するようになった。ある日、絵本のタイトルを息子がつぶやいたので、がんばって事実質問に挑戦してみた。「(本には)誰がでてきたの?」「その子はどこへ行ったの?」「その後、何をしたの?」「その絵本を読んでくれたのはどの先生?」「どこで読んでくれた?」とゆっくり質問してゆくと、普段はほとんど話さない息子が、細かく本の内容や、本を読んだときの保育園の様子をどんどん話してくれた。あまり私に甘えてくることもない子だったけど、絵本の話をした後は、ずっと私の膝の上にのってきたり、手をつないだりして、とても嬉しかった。

・夫に「なんで早く○○の準備しないの?」と言うのをグッと我慢したつもりだった。でも「なぜ?」を我慢しただけで、実際は夫の自己肯定感を下げ、「はやく、はやく」と追い詰めるよう投げかけをしているのに気づいた。夫の自己肯定感を上げながら、「私は」を主語にして対話をする方法を他の参加者と考える時間があったのがよかった。まだまだ事実質問の引き出しが少ないので、今後も仲間と練習を続けたい。

・小学校の遠足の後に、娘が「帰りのバスで酔った」と言うので、細かく事実質問で聞いていったら、行きも、帰りもバスに酔っていたことが分かった。子ども自身も思い込みで話していることが分かり、「これが事実を聞くことでお互いの認識を一致させる、ということか!」と実感した。私からの「バスで酔ったこと」についての事実質問に答えた後、娘は私に聞かれる前に、どんどん細かく遠足であったことを楽しそうに話してくれて、しばらく話が盛り上がった。講座を受ける前の私だったら「バスで酔った」と聞いたら速効で、「なんでもっと早く酔い止めの薬を飲んでおかなかったの?!」と言うところだったが、「なぜ」を我慢して、娘を責めることなく、事実を聞けてよかった。


実践的な「実践ノート」を使ってみました

最初の講座(恵那の場合は10月)では、「事実質問とは何か?」「事実を聞けない質問を我慢すること」がテーマでした。恵那の参加者の皆さんの多くが、それらを実践されていたことが分かり、とても嬉しかったです。

2回目の講座では(11月)、「事実を聞けない質問」を「事実を聞く質問」に置き換えてみることがテーマでしたが、新しく「実践ノート」を使って、事実質問を使えた事例、使えなかった事例を検討しました。

恵那の講座参加者の皆さんと「実践ノート」を使ってみましたが、これが「実践ノート」という名前のとおり、とっても実践的でした。

これまで講座で使っていた事例のほとんどは、ムラのミライの講師が事前に準備したものです。しかし「実践ノート」で扱うのは、参加者の皆さん1人1人の実際のケース。「1度あることは2度ある、2度あることは3度ある」とはよく聞きますが、人にはそれぞれ対話のクセがあります。実践ノートに書かれた対話は、繰り返し起こる可能性が高いのです(それが事実質問を使わず、相手の自己肯定感を下げてしまうようなケースなら特に!)。なので、実践ノートを使って、「事実を聞けない質問」を「事実を聞く質問」に置き換えてゆくと、次にそのような場面になったときに、その人がすぐに使える、という点で、実践的なのです。

例えば「実践ノート」の項目のなかには、「事実を聞けない質問を我慢したケースを挙げてください」という項目があります。参加者の皆さんの思い出せる範囲で、「なんで○○したの?」「○○はどうだった?」という問いかけをグッと我慢したシーンを書き出してもらいます。書いたものを発表するうちに、“確かに「なんで○○したの?」とは言っていないけれど、「○○したらよかったのに〜」と相手の自己肯定感を下げるような言い方を繰り返ししており、自分の口癖がわかった”というケースもありました。

恵那での2回連続講座にご参加いたたいた皆さんから、11月以降のお話もぜひお聞きしたいです。どなたか、ブログに書いてもらえないかお願いしてみることにします。


実は、恵那の講座のことをブログでご紹介したかった本当の理由は、
・リニューアルした講座の宣伝をしたかった
・半年ほど、ムラのミライのMWさんに“ブログブログブログ”と催促されたていた
と思う方が多いかもしれませんが(それもアタリです)、大きな理由の1つはその「写真」です。


ミチクサ塾の太田礼子さんが撮ってくださった写真は、どれもあたたかく、ほんわかした空気が伝わってくるようで、私は太田さんの写真の大ファンなのです。太田さんの許可をいただいたので、これからたびたびムラのミライの広報にも登場するかもしれません。写真提供にご提供いただいた太田さんをはじめ、ミチクサ塾の皆さん、ありがとうございました。また恵那で皆さんに再会できるのを楽しみにしています。


原康子 ムラのミライ 研修事業コーディネーター)



*この記事でお伝えした2回連続講座は、「子育て寺子屋ミチクサ塾」の方が、京都から恵那までの交通費や講師謝金2回分を、いくつかの助成金に申請してくださって実現しました。「子育てに使うメタファシリテーション」講座は、各団体に合わせた研修企画(助成金申請も含めて)をご一緒に作ることもやっています。詳しくはこちらの「お問合フォーム」で。




子育てに使うメタファシリテーション講座 各地での開催予定はこちら

http://muranomirai.org/kosodate201802

 


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地域で助け合う、子育ての輪_【プロジェクト概要】西宮で広げる、地域で助け合う子育ての輪

【プロジェクト概要】西宮で広げる、地域で助け合う子育ての輪

In 6 活動の記録・報告608プロジェクト通信 西宮「地域で助け合う、子育ての輪」 by master2018124

20184月から西宮市で、3年間の「助け合う子育て実現」プロジェクトを開始しました。
プロジェクトの主役は、妊婦さんとそのパートナー、0歳から3歳のお子さんをお持ちの方、そして、そんな彼/彼女たちに頼まれても、頼まれていなくてもきちんとサポートできる人になりたい!という人たちです。

期間 201841日~2021331日(実施中)
場所 兵庫県西宮市
協働者 a little (ア・リトル)  *西宮市のNGO/NPO
協力者 ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループ「JJCC助成プログラム」
ムラのミライ担当者 原康子山岡美翔
形態  a little・ムラのミライの協働プロジェクト
プロジェクト通信の一覧はこちら

目次

活動スタートまで
1年目(2018年度)の活動
2年目(2019年度)の活動
「西宮で迎える産前・産後」調査報告書 ダウンロード

活動スタートまで

ムラのミライでは、2016年からメタファシリテーションの「事実質問」の部分を、対話の一手法として、子育て中の方やその支援者に紹介する講座を実施してきました。
しかし、単発の講座では、子育て中の方たちが直面する産後ウツやワンオペといった困難な現状や、その支援者(団体)が直面している課題が垣間見えたとしても、継続して関わることが出来ないため、コミュニケーション改善の一手法としての紹介に留まり、当事者自身(この場合、子育て中の人とその支援者)の課題解決に向けた支援は実現できずにいました。
子育てに活用するコミュニケーション講座を続けることの限界を感じ、子育て支援にすでに関わっている団体や個人との継続した協働を模索していました。


2017年度、西宮市で学びの場、集いの場、そして家事サポートなどの助け合いの場づくりの活動をする女性団体a little(ア・リトル)のメンバーが、このコミュニケーション講座に参加したことをきっかけに、a littleと子育てをテーマにしたコミュニケーション講座の共催が実現しました。この講座で事実質問を学んだa littleのメンバーが、自分の家族や家事サポートに入った家庭などで実践した結果、メタファシリテーションの効果を実感し、同手法に大きな関心を寄せてくれました。a little2015年の設立以来、試行錯誤で「地域で子育てを助け合う仕組みづくり」を模索していたため、ムラのミライがジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループの助成を受けて、2018年度から協働事業を開始しました。

同事業では、約3年かけて「地域で子育てを助け合える」仕組みを作り、その仕組みを支える人材を育成することをめざしています。西宮市内でa littleのメンバーを中心とした子育て中の女性たち自身がその仕組みを創り出し、彼女たちの手で、地域での子育て支援を担う人材育成を可能にすることをめざします。

1年目(2018年度)の活動

初年度となる2018年度は、主に2つの活動をしました。
1
つ目は「西宮で迎える産前・産後」調査の実施です。
2
つ目は、パイロット講座(①「パートナーシップと子育てのよい関係」講座、②「地域子育てサポーター養成」講座)です。
ムラのミライが特に関わったのは、事業統括・運営や調査の企画・実施・報告書作成で、
「地域子育てサポーター養成講座」では、メタファシリテーションを子育てや子育て支援に活かすコミュケーション講座を2回、担当しました。

「パートナーシップと子育てのよい関係」3回講座

妊娠中から出産後(6カ月くらい)のご夫婦の間での「助け合い」を実現するために、必要な情報と具体的なテクニックをギュッと詰め込んだ3回連続講座を実施しました。

1回目(617日)産前産後のココロとカラダの話・安産のためのボディワーク(ヨガ講師)、バースプランの作成(助産師)
2
回目(99日)産後のホルモンの変化・すぐにできるボディワーク(ヨガ講師)・バースレビュー(助産師)
3
回目(217日)産後すぐにできるヨガ・夫婦でココロ・カラダ・行動の現状を知るシェアタイム(ヨガ講師)

*バースプランとは:お産の計画や要望のこと。妊婦とそのパートナーが希望する出産の計画をたて、妊娠から産後の生活までを夫婦で話し合う材料とする
*
バースレビューとは:出産体験を振り返ること。自分の出産体験を自由に語ってもらい、傾聴を基本的姿勢として受け止めていく援助のひとつ




地域子育てサポーター養成8回連続講座



助産師の森田輝さん

安心して赤ちゃんを産み、育てていくために、女性とその家族を「地域で支える」とはどういうことか、その意味を考え、具体的な方法を学んでいく講座を実施しました。ムラのミライのメタファシリテーション講座も2回行いました。

1回目 525日 産前産後ケア講座1「産前産後の体の変化、暮らしの変化、ココロの変化、お産の方法、授乳について」 助産師 森田輝さん
2
回目 621日 コミュニケーション講座1 「お互いさまの子育て・相手がどんどん話し出す事実を聞く質問(メタファシリテーション)」 ムラのミライ 原康子
3
回目 92日 産後うつを知る講座 「産後うつ基礎知識、産後ウツ経験と支援者ネットワーク、ロールプレイ(子どもがかわいくない、体調が悪くなる)」ルミエール産後うつ子育てがブルーなママの会元代表 中野知恵
4
回目 102日 家事サポートを学ぶ1:料理 「ほうれん草胡麻味噌和え、きりぼし大根煮物、酒と野菜のやきびたし」調理師 西古屋由美子
5
回目 1115日 コミュニケーション講座2 「相手の悩みにアドバイスしない。事実を聞く質問で相手の悩みを分析、整理する方法」ムラのミライ 山岡美翔
6
回目 124日 家事サポートを学ぶ2:エコ掃除「家事サポートを依頼される背景、家事サポートの効果、エコ掃除の基礎知識」ア・リトル 大和陽子
7
回目 214日 発達凸凹を知る講座 「発達障害とは何か、障害が障害でなく、困りごとが困りごとでなくなる環境づくり」 臨床心理士 河西陽子
8
回目 321日 産前産後ケア講座2「赤ちゃんの運動について、赤ちゃんが泣いたときにする4つのこと」 助産師 森田輝さん



西宮市の子育て事情を知る調査

メタファシリテーションで事実質問練習をした調査員たちで調査チームをつくり、0-3歳の子どもをもつ男女104名を対象にした「西宮で迎える産前・産後」調査を行いました。
調査は2種類あり、1つ目は、インターネットを通じた104名へのアンケートと、2つ目は、アンケート協力者の中から59人への対面での事実質問をベースにしたインタビューです。
ムラのミライは、調査設計、調査員の養成、調査の実施、報告書作成など、全てのプロセスをa littleのメンバーと共に担いました。
質問票をつくっているときや、調査開始後しばらく経ってからも、
“○○したいですか?何に困っていますか?となぜ質問項目に入れてはダメなの?」
「事実ばかり聞いて、相手の希望をきかないで、どうやって子育て中の人たちのニーズを把握するの?」
などの問いが調査担当メンバーから上がりました。
しかし、家事や育児のサポートを頼った人、家事・育児では誰が何をしたのか、育児では誰が何をしたのか、どの講座にいつ参加したのか等の過去の事実の積み重ねによる調査を実施しました。
その結果、産前・産後の女性たちの地域で孤立した現状や、様々な子育て支援制度を活かせていない現実が明らかになり、結果、どのような講座が必要か、どのようなサポートが必要かがどんどん見えてきました。
現状をベースに、「地域から孤立した子育て」から、「地域で助け合う子育て」に変えてゆく仕組みづくりにつながる、自宅から半径1.5キロの距離でのつながりを促進する事業、子育て支援制度の周知の先にある子育て支援活用方法の講座など、2年目の活動計画につながりました。

インタビューを通じて、西宮で子育て中の女性の何人もとじっくり話しを聞くことができた。私の質問の途中で、何度か相手が産後にあったことを思い出して、どんどん話してくれたのが嬉しかった。(調査員Sさん)

「西宮で迎える産前・産後」調査報告書 ダウンロード

調査報告書「西宮で迎える産前・産後」PDFファイル A4サイズ 62ページ)
調査の概要がわかるカラーリーフレット
PDFファイル A3サイズ 2ページ)
調査結果のデータ
Excelファイル)

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2年目(2019年度)の活動

1年目の調査とパイロット講座から抽出された課題から、助け合いの仕組みづくりと、人材育成事業を継続して行います。

半径1.5kmは産後うつを防ぐ距離
「西宮で迎える産前・産後」調査報告書発行と調査報告会

認定 NPO 法人ムラのミライと a little(ア・リトル)は、「西宮で迎える産前・産後」調査報告書とリーフレットを、来る516日(木)に発行し、下記の通り調査報告会を開催しました。
本報告書は、西宮市在住の20 代から 40 代までの0 歳から 3 歳までのお子さんがいる方と 出産を間近に控えた方の合計104名を対象にしたアンケートと、うち59名への対面でのインタビュー結果をまとめたものです。
本調査を通じて、産前から産後にかけて、一人で心と体の悩みを抱え込む女性の姿が浮き彫りになると同時に、産後うつを防ぐのに有効な自宅から半径1.5キロの距離のつながりという具体的なヒントも明らかになりました。

日時 2019516日(木)14時から1445
*報告会終了後、交流会(16時まで)
場所 西宮市男女共同参画センターウェーブ411学習室(プレラにしのみや4F
対象 西宮市内在住・在勤の方で子育て中の方(出産を控えた方)と子育て支援に携わる方々
報告書 調査報告書(全57ページ)およびにリーフレット(両面カラーA3サイズ)は、HPで公開しています。


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助け合いの仕組みづくりと、人材育成事業

産前・産後の方への講座「パートナーシップと子育ての良い関係」

女性が安心して赤ちゃんを産み、育てていけるように、産前産後のココロとカラダの変化を知り、夫婦でのコミュニケーションを促す様々なワークを予定しています。
同時に西宮ならではの様々な家事・子育てサポート活用方法をお伝えします。
産前産後を西宮で迎えるご近所のご夫婦とつながる機会にもなります。

・産前の方を対象にした講座:720日、1026日、229
・産後の方を対象にした講座:62日、929日、37

場所 親と子のほっとスペース「たんぽっぽひろば」(西宮市雲井町8-43 コブレンツ雲井1FB1
時間(全講座共通) 13時~15時半

男性のための料理教室

家事のなかでも、男性の分担度がかなり低く、かつ女性がサポートを希望することが多い、それが「料理」です。
1
年目の調査結果で明らかになったこの事実から男性のための料理教室を開催します。
男性の家事参加を促進すると同時に、他の男性の参加者との交流を通じて、子育てに関する情報を共有します。

日時 921日と12月 各1回 10時〜13
場所 西宮市内
講師 木下麗子さん(管理栄養士、キッチンチュラ主宰)

地域子育てサポーター養成講座 7月コース&2月コース

家族も含め、自分が暮らす地域で子育て中の方たちに最新の知識と実践的な技術でケアにあたり、必要に応じて専門家をはじめ様々なサポートにつなげてゆけるようになる講座です。(連続4回講座及び実地1回)

1産前産後ケアと赤ちゃんの発達講座 (森田輝・助産師)
2
シンプルな質問で身につくわかりあう対話術(ムラのミライ)
3
産前産後の行政・民間サービスと実際の現場の様子についてa little
4
産前産後の女性の心の変化(藤澤真理・臨床心理士)

7月コース  1日、8日、15日、22 (月曜)+実地(随時)
2
月コース 7日、14日、21日、28 (木曜) +実地(随時)

時間 午前10時から12時(全5×2回共通)
場所 西宮市内

ファミリースタート

地域子育てサポーター養成講座の受講生が、実際に子育て中のご家庭を訪問して家事や育児のちょっとしたお手伝いをします。

日時 8月以降にスタート
場所 西宮市内

パートナーと楽しむマタニティヨガ

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