ラベル C著者 02中田豊一 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル C著者 02中田豊一 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2023年10月23日月曜日

思春期の子どもとのコミュニケーション講座ができるまで

子育てに活かした3原則とメタファシリテーション(R)

私(中田)が、メタファシリテーション(R)手法のもともとの創設者である和田信明の開発援助の現場でのあまりに見事な対話術に出会って驚愕したのが2000年。
それを自分のものにすべく練習を始めたのですが、その際に私が練習相手に選んだのが、一番手近にいて、しかもやり取りにいくらでも時間を割ける2人の子どもでした。

本格的に練習を始めた2002年頃、娘が10歳、息子が6歳ほどでしたが、その後、彼らが大学を出る頃までの間、対話術の練習と試行、さらには体系化のための分析にフルに利用させてもらいました。


そこで依拠した主な原則は、次の3つでした。

1)「なぜ?」「どうして?」と聞かない

特に、終わったことに対して、「なぜ〇〇しなかったのか?」とは絶対に尋ねない。

2)相手が求めてこない提案(アドバイス)をしない

相手が求めてこない提案やアドバイスをこちらから与えることを厳に慎み、できる限り質問の形をとる。

3)他者との比較をしない・一般論に基づく働きかけをしない

「〇〇君はこんなことができるそうだが、お前はできないのか?」などという他者との比較、あるいは「お姉ちゃんなんだから、〇〇すべき」などという一般論に基づく働きかけは決してしない、などでした。

これだけの制約を自分に課すだけでも本当にたいへんでしたし、それに代わる働きかけ方を見出して実行するのはますます容易でありませんでした。

対等で信頼関係に満ちた親子関係と子どもの主体的な進路選択

しかしながら、これらを地道に積み重ねていった結果、私の対話術は着実に上達し、さらにうれしいことには、子どもたちとは対等で信頼に満ちた関係が築かれて行ったのです。それが、子どもたちの自由で主体的な進路選択にも繋がったようです。
長い人生ですので、これからもこの関係が続くかどうか、その選択が本当によかったかの保証はまったくありません。とはいえ、子育て期間を振り返ってみて、業務上の目的のために子どもたちを練習台に使わせてもらったことが、結果としてお互いにとっての豊かな関係に繋がったことは、幸運以外の何ものでもありませんでした。

成果がでる/でないの分かれ道

今さらながらですが、この経験を、私に比べれば年若い皆さまと共有することで、よりよい親子関係のために少しでもお役に立てていただければという思いから、この手法の開発と普及に努めてきたわけです。
関係は複数の要素の相互作用で成り立っています。
コミュニケーションの改良だけで、確実に改善するという保証はないわけものの、これまでの経験から改めてわかったのは、成果が出るかどうかは、まず、ご自分の状況をどのように受け止め、それに基づき、どう自分を変えていけるかにかかっているということです。
 
中田 豊一(ムラのミライ 代表理事)

 

→思春期の子どもとのコミュニケーション講座の詳細・お申し込みはこちら



 

2023年9月25日月曜日

再開します、思春期の子どもとのコミュニケーション講座

コロナ禍で中断

コロナ禍以前から、思春期に入った(入る直前の)お子さんとどう接していいのか、戸惑っている方の声を、私の周囲ではかなり頻繁に耳にしていました。
成長過程での一過性の問題で済む場合がほとんどなのでしょうが、この時期の親子のコミュニケーションの齟齬が、運悪くお子さんの心に傷を残したり、親子関係を将来にわたって損ねたりすることも少なくない現実を垣間見てきました。

ムラのミライの子ども・子育て支援チームの講師たちは、国際協力の現場では最強のコミュニケーションツールとして知られるメタファシリテーション(R)手法を使って、日本国内で子育てに悩む親御さん向けに研修を開催し、2016年以降、子どもとのコミュニケーションでも大きな成果を挙げてきました。特に小学校低学年くらいまでのお子さんを持つ保護者を対象にしたものは、コロナ禍の間もいろいろな形を取って続けてきました。

しかし、思春期の子どもたちとのコミュニケーションを扱う講座は、2020年以来中断されてきました。そこには、オンラインだけでは微妙なニュアンスを伝えにくいとい事情があったためです。

しかしながら、一般のメタファシリテーション(R)講座(ステップ1〜3)や子ども・子育て支援者向けの講座の参加者などから、思春期の子どもとのコミュニケーションに特化した講座を開催してほしいとの要望が多く寄せられて来たことを受けて、対面での講座が可能になった今、思春期の子どもとのコミュニケーション講座(以下略、思春期講座)を再開することになりました。


2019年から2020年にかけての思春期講座でわかったこと

2019年から2020年にかけて、コースごとに回数などは違うものの、合計3コース、延べ20名(講座回数、受講人数要確認)の講座を実施したところ、少なめに見積もって半分以上の参加者が、3回目の講座までに、お子さんとの関係がはっきり変わり始め、回を重ねるうちには、不登校などいくつかの深刻なケースにおいても、顕著な進展が見られたとの報告を受けています。
この手法をお伝えすることで、よりよい親子関係を築くための一助になること、そして、それによってお子さんの心身の成長に少しでもお役に立てると、関係者一同、強く思うようになってきました。

新講座をお勧めしたい保護者の皆さん

新思春期講座は、10歳から20歳くらいまでのお子さんとのよりよいコミュニケーションを望む保護者の方にお勧めしたいと思っています。
お一人の参加も、パートナーとの参加もどちらでも歓迎いたします。
講座で扱う内容は、親子間の日常的・一般的なコミュニケーションで、コミュニケーションや関係作りが深刻な状況にある場合も想定しています。
但し、不登校、引きこもり、DV、知的障害、発達障害などがある場合は、既に専門の支援機関に相談し、何らかの対処を始めているケースに限ることにさせていただきます。
それがまだの場合、個別の対応が必要となり、大きな時間とエネルギーを割かざるを得ない可能性があります。
他の受講者の方とのバランスを考慮して、この講座へのご参加は残念ながら遠慮願うこともありますが、該当するかどうか明確でない場合は、まずはご相談ください。
学習支援など、思春期のお子さんたちの居場所に勤務されておられる方や、教育、福祉などの専門職の方も、ご自身で養育されている思春期のお子さんとのコミュニケーションに実践していただける場合に限って、ご参加いただけます。

 

新講座の3つの特徴

講義・練習・互いの実践内容の共有と検討を繰り返しながら、コミュニケーション技術を習得していきます。少人数(定員4人)で丁寧に進めていく予定です。

1)    自己肯定感を高める対話の仕方を学ぶ

「事実質問」を使って質問を組み立てることで、お子さんの自己肯定感を高め、信頼関係を築くことができます。それが、主体性を育むことにも繋がります。
講座では、まず「自己肯定感を下げるやりとり」と「自己肯定感を高めるやりとり」を識別できるようになり、次によりよいものに変換していくための考え方と対話術を習得します。
たとえば、「どうして〇〇しなかったの?」のような質問の形を取った押し付けや非難を止め、当人の気づきを促すことができるような質問に変えていくスキルと関わり方を学びます。これまで無自覚だった自らのコミュニケーションのクセに自覚的になることさえできれば、誰でも習得でき、実践できる技能で、構成されており、この部分が講座の中心になります。

2)コミュニケーションの場の作り方を学ぶ

思春期に入ると、親子のコミュニケーションの時間が少なくなるのは自然です。
それに従って親はせっかくの機会を、提案や助言、場合によっては、何かを問いただすために使いがちですが、前のめり過ぎると、両者の距離をかえって遠ざけることになります。
講座では、コミュニケーションの場を意識的かつ計画的に作り出し、活用する技術を学びます。

3)感情的になった場合の対処方法を学ぶ

メタファシリテーション(R)の基本的な姿勢は、感情的にならないで、自分のコミュニケーションのあり方を冷静に観ることにあります。
とはいうものの、よそ行きの顔をする必要がない家族を相手にすると、つい感情的になるのは自然なことです。
しかしいつもそうだと対話は深まりません。講座では、冷静にお子さんと向かい合うためのセルフモニタリングとセルフコントロールの方法を、メタファシリテーション(R)手法の原理に基づいてお伝えします。

以上の3つを数回の講座で、すべて詳しくやるには時間的に無理があるものの、参加者の皆さんの実際の状況などを材料に使わせていただきながら、最低限のことは、具体的かつ実践的にお伝えします。
講座の日程や参加費などはホームページをご覧ください。
思春期のお子さんを持つ保護者の皆さんのご参加をお待ちしています。

中田 豊一(ムラのミライ 代表理事)

2020年4月17日金曜日

親子のコミュニケーションをよくするためのコツ=鉄板の鉄則  実践編 後編~夫婦で練習してみる~




前号の「実践編 前編」に挑戦された皆さん、やってみて、いかがでしたか?
今回はいよいよ最終回「実践編 後編~夫婦で練習してみる」をお届けします。




時間がかかる事実質問を使った対話術

「夫婦で練習してみる」の前に、少し前回までの復習です。
これまでの入門編、実践編に挑戦された方はお気づきかとおもいますが、
正直なところ、事実質問を使った対話術を習得するには、かなりの練習が必要です。
事実質問が思いつかない場合は、率直に、
「お願いがあるんだけど、〇〇してくれない」とか、
「これはお母さんの意見なんだけど、君はどう思う?」というように、
こちらの意図を明確にした物言いをするのが有効であることもすでに実証されています。

この手法と練習方法を詳しく説明するとかなり長くなります。
本当に関心をお持ちの方は、このブログの最後にあるPDFをご覧になって下さい。
このPDFは、私が書いた「対話型ファシリテーションの手ほどき」という小冊子のダイジェスト版で、
今回のブログ(入門編2回+実践編2回)の読者のために再編集したものです。


夫婦でやってみませんか


4月16日、いよいよ全国にも緊急事態宣言が出され、子どもだけではなく、両親ともに自宅に留まらなければならなくなったご家庭が増えていることでしょう。
母子のやり取りを横から見ているお父さんの中には、「あんなにガミガミ言わなくてもいいのに」と思いながらも、触らぬ神に祟りなしと黙っている方もいらっしゃるでしょう。

普段は、母親任せにしているので急に割って入るのは難しいかもしれません。
そんなお父さんでも、進路選択に際しては、口を出さざるをえなくなる時が必ずやって来るのです。その時に備えて、このお子さんと接する時間が嫌でも増えている今、もう少し参加の度合いを高めるよう努力してはいかがでしょう。


「人の振り見て我が振り直せ」が早道

あるいは、この際なので、このエッセイを二人で読みながら、互いにどう見えているか意見交換してみる機会にするという手もあります。
自分の振る舞いに対して自ら意識的になるのは簡単ではありません。
「人の振り見て我が振り直せ」と昔から言うように互いに気付かせ合うのが早道です。
ただし、その際に大切なのは、頭ごなしに断定的な評価を下したり、上から目線で提案したり、助言したりすることを厳に慎むことです。これが夫婦の間でできなければ、子どもとの間でもできませんよね。
逆に言えば、シングルペアレントの場合、あなた一人が変わればいいだけなので、却って好都合と言えるかもしれませんね。


家にいる時間は自己訓練のチャンス

毎日家族だけで顔を突き合わせていると、互いに感情的になりやすいことを私自身痛感するこの頃です。だからこそ、自分を冷静に客観的に見て、必要な自己抑制をするための自己訓練が必要になります。そういう親の姿を見せることほど素晴らしい教育はないと私たちは確信しています。

最後になりましたが、4回シリーズのエッセイのほんの少しでも「これならできそうだな」というところからでいいので意識してやってみてください。
お子さんへの質問がちょっと変わり、お子さんにもそのことがちょっと伝わったら、とても嬉しいです。

2020年4月15日水曜日

親子のコミュニケーションをよくするためのコツ=鉄板の鉄則 実践編 前編~子どもが答えやすい質問で対話してみる~


子どもが答えられることを聞く


ここから先は、
前にお届けした<入門編~試しにやってみましょう~>の鉄則に従う形で、自分の子どもとのやり取りを意識的に振り返ることを、一度でもやってみた方のためのものです。




親子のやりとりに意識を向けてみると…

実際には、そんなことは今まで意識したことがなかった、という方が大半でしょう。
親子のやり取りは、あまりに自然で日常的なことなので、いちいち意識することに違和感を抱かれた方もいらっしゃるかもしれません。
あるいは、意識しなくてもそれなりにうまく行っていると感じている方もおられるでしょうか。

「いやいや、親はうまく行っていると感じてるけど、子どもからすればどうなんだろう」、などと改めて思った方は、意識した甲斐があったというものです。
セクハラでもパワハラでも、ひどい場合は児童虐待でも、するほうとされるほうの感じ方、捉え方はずいぶん違っていることが、昨今では問題となっているではありませんか。

そのへんのことに少し気付いたとしたら、声掛けの方法を変えるチャンスです。
前にも書いたように、「なぜ〇〇しなかったの?しないの?」は質問の形を取った叱責であり詰問です。
子どもが萎縮したり反発するのは当然です。
あるいは、求められない助言や提案を唐突に行うのは、親の意見や価値観の押し付けに過ぎません。


詰問しないで、押しつけないで、子どもが答えやすい質問をする


話しは簡単です。
本当の質問にすればいいのです。
あるいは、求めているかどうかを確認したうえで提案すればいいのです。
そのためにもまずは確認の質問をしなければなりません。
質問に際して心がけるのはたったひとつ。
相手が答えやすい質問にする、ということ。

内容的にも心理的にも安心して、あるいは自信をもって答えられる質問をしてあげることが、親子のコミュニケーションをよくしていくために、最も大切な原則です。


子どもが答えにくい質問って?

逆に言えば、「なぜ〇〇しなかったの?」は、答えにくい質問の代表です。
子どももよくわからないのに親が聞いてくるから、つい言い訳してしまう。
「〇〇したらどう?」は、他に答えようがないので、いやいや「うん」と応じざるを得ない。つまり他に答えようがないのは質問ではありません。
また、あいまいな質問も答えにくいものです。
その代表格が「〇〇どう(だった)?」質問です。
「勉強どう?」と聞かれても何を答えればいいのかわからない子どもはつい「まあまあ」、「普通」、「微妙」とか答えるしかないのです。


答えやすい質問とそうでない質問を見分ける

折に触れては、お子さんに対して行った質問を思い出して、
「あの質問を自分がされたら、どう答えただろうか、答えやすかっただろうか」
と立場を入れ替えて考えてみてください。
答えやすい質問とそうでない質問が見分けられるようになるはずです。


意見や考えを聞くのではなく、単純な事実を聞く

では、答えやすい質問とはどういうものでしょう。
これまた単純です。
意見や考えではなく、単純な事実を聞けばいいのです。
「勉強頑張ってる?」ではなく、
「今日は何と何を何時間やったの?」。
「なぜ片付けなかったの?」ではなく、
「遊び終わったのはいつだったの?」という具合です。


「何?」「いつ?」「誰?」+過去形で聞く

つまり「何?」「いつ?」「誰?」などの単純な疑問詞を使いながら、過去形にして聞いて行くわけです。これが私たちの手法(メタファシリテーション)の基礎をなす事実質問の基本技術です。
ただし、皆さんお気づきのように、唐突に、しかも、しかめっ面でこういう質問をすると、警察の尋問のように聞こえる恐れがあります。
ですから、まずは入門編(1,2をご覧ください)で示したように、プレッシャーをかけるような質問をしないことを心掛けることで、安心してやり取りできる雰囲気、あるいは関係を築くことが大切なわけです。
そうして関係が少しずつ変わってくれば、上記のような質問をしても素直に答えてくれるようになります。信じられないかもしれませんが、たくさんの実践事例で、このことは実証済みです。

次号は、ひとまず最終回です。
1から始まった「親子のコミュニケーションをよくするコツ」、たくさんのコメントをいただき、ありがとうございました。
皆さんからのコメントの行間に見え隠れするのが「子どもだけでなく、パートナーとの対話に使わないと!」のお声。次回の最終回は「実践編2~夫婦で練習してみる~」です。



(中田豊一 ムラのミライ 代表理事)

2020年4月8日水曜日

親子のコミュニケーションをよくするためのコツ=鉄板の鉄則 入門編~試しにやってみましょう~後編



3. 鉄則その1&2を実践する3つのステップ


前回お伝えした
鉄則1「なぜ?を封印する」と
鉄則2「求められない助言、提案を控える」
実践された方はいらっしゃるでしょうか。


今回はもう少し詳しく「とにかくやってみる」3つのステップと「入門編まとめ」をお伝えします。



ステップ1 「ああ~またやってしまった」~悔やむだけ悔む~

言ってはいけないと思っていたのに、封印したと決めたのに…。
いざとなると「なんで〇〇せーへんかったん?」(関西弁も時々交えさせてください。そのほうが軽妙に聞こえるので)と聞いてしまった。
それも一度や二度ではなく、一日に何回も言ってしまった。

まずは悔やむだけ悔やんでください。
初めからできる人など、見たことがありません。
これでいいのです。

ステップ2「あっ、言ってしまった!」~子どもの反応を観察してみる~

ステップ1は、少したってからの反省ですが、
「あっ、言ってしまった!」言ってすぐに気が付いた時のことです。

ここでは反省する代わりに、子どもの反応を観察して下さい。
特に表情やしぐさの微妙な変化をよく見てください。

その変化に気づけば、次は気を付けようと本気に思えますから。

ステップ3「言いかけたけど、途中で思いなおした」~グッと我慢できるようになる~

はい、ここまでくれば、最初のステップとしては十分です。
だまされたと思って、やってみることです。

これを何度か繰り返しているうちに、お子さんのあなたに対する態度が確実に変わってきます。

ステップ2までは、あなたは自分の感情を抑えられないままに、子どもに向かっていました。

ステップ3では、あなたは感情的になるのをがまんしています。

その変化は、恐ろしいほどお子さんに伝わります。

どう伝わるのか?
子どもはどう変化するのか?
それはどうしてなのか?
これらについては、この鉄則を試みた方だけにお伝えします。

なお、最初の数週間は、ステップ3まで行かなくても、まったく問題ありません。
ステップ1だけでも大丈夫です。
とにかく意識することが大事なのです。
自分の振る舞いを冷静に見ることができていれば、必ず、我慢できるようになります。

ステップ3まで何とか行った方からは次の疑問が湧いてくるはずです。
「じゃあ、代わりに何と聞いたらいいの?」

これは、鉄則2ついてもまったく同じことです。
提案や助言を我慢する代わりに、何といったらいいのか?
どのように働きかけたらいいのか?
という疑問です。


4. 鉄則その1&2を実践する3つのステップのその先に

「我慢はできた、ではその次になにをする?」
というのが今回のテーマです。

「なぜ?」と言うのを我慢し、
提案や助言を我慢する代わりに、
何といったらいいのか?
どのように働きかけたらいいのか?
という疑問です。


ここからは「“事実を聞く”技術」が必要

もちろんこうした疑問への答えはあります。
いや、ここからが本番だと言えます。

ただし、ここからは心構えに加えて技術が必要になります。
逆に言えば、心構えのない方に技術だけ教えても、何の役にも立ちません。
なので、ここではあえてまだお伝えしないでおきます。

とはいえ、それではあまりに殺生でしょうから、簡単に紹介しておきましょう。

一言でいえば、考えや感情を尋ねないで、事実を尋ねる質問をするということです。


考えや感情を聞く質問と事実を聞く質問の違い

つまり「なぜ、どうして」は考えや意見を聞いているので、相手は、言い訳を考えてしまうのです。
代わりに
「今朝は何時に起きたの?」
「まず何をしたの?」
「最初に誰とLINEしたの?」
「何分くらい続けたの?」
「次は?」
という具合に、事実を聞く質問を続けていくのです。
あるいは、
「オンライン塾に入ったらどう?」
と言わないで、
「オンライン塾があるの知ってる?」
「どうやって知ったの(誰から教えもらったの)?」
「お友達で誰かやったことある人知ってる?」
という感じです。
これが基本的な聞き方なのですが、たぶん、おわかりのように、このように続けていくのは簡単でありません。
また、聞き方によっては、警察の事情聴取のように捉えられかねません。
そうならないようにうまく繋げていくことは容易でないという意味で「技術」が必要だということです。


「入門編1~4:試しにやってみましょう」のまとめ

技術を身に付けるには一定の訓練が必要ですので、次のステップは少々手ごわいものになります。

とはいえ、最も大切なのは、この入門編で示した、自分のコミュニケーションのスタイル、つまり子どもとの対し方に対して自覚的になることです。

これなしには始まらず、これさえあればすべては何とかなるとさえ言えます。

繰り返します。
騙されたと思ってやってみて下さい。
お子さんとあなたとの間の景色が必ずや変わってくること請け合いです。

なお、ここでは例をお母さんと子どもとの会話にしましたが、父親でもまったく同じことです。
普段あまり家にいないお父さんが否応なくお子さんとやり取りしなくてはならない場面も増えていることでしょうから、お父さんもぜひ試してみてください。

時代とともに親子を取り巻く環境は激変しているのに、昔ながらの接し方をしていたのでは、よい関係を築くのは難しいことを私たちは痛感しています。
このプログラムが皆さまの毎日の親子のコミュニケーションの改善の一助になれば、とても嬉しいです。


(中田豊一 ムラのミライ 代表理事)

2020年4月6日月曜日

親子のコミュニケーションをよくするためのコツ=鉄板の鉄則 入門編~試しにやってみましょう~前編


1.鉄則その1~なぜを封印する~ 


親子の毎日のイライラ感染拡大防止策あります
 

新型コロナウイルス予防のために、お子さんは休校、親はテレワークあるいは一時休業ということで両方が家にいる時間が大幅に増えているご家庭は多いに違いありません。

普段でも十分にコミュニケーションできているとは言い難いのに、四六時中顔を突き合わせていると、互いに気持ちがささくれ立って、つい声を荒げたり、余計なことを言って言い合いになったり、口を開けばお小言ばかりなど、コミュニケーションが荒れてくるのは自然と言えば自然です。

とはいえ、そういうことが続くと互いにストレスが高まり、結果としてお子さんのやる気を奪ったり、イライラを増したり、元気を削いだりということが起こってきます。

これではいけないと、折に触れては反省するものの、また同じことを繰り返してしまい、ますますストレスが溜まってきている方もいることでしょう。

親子のストレスコミュニケーションの悪循環を断つ

では、そういう悪循環を断つためにいったいどうしたらいいのでしょうか。

これからシリーズでご紹介するのは、そんな悪循環を断つ手法です。

この手法は、コミュニケーションの改善が必要な様々な場面で、私たちムラのミライやその仲間たちによって幾度となく使われてきて、すでに効果が実証されているものです。

ですから、理論や理屈はともかく、まずは試しにやってみてください。

鉄則その1:子どもへの「なぜ?」を封印 


親は質問してるつもりでも、子どもにとっては〇〇されてる

今日のこと、昨日のこと、ちょっと思いだしてみてください。
こんな「なぜ?」を子どもに使いませんでしたか?

①「今朝、なぜ勉強しなかったの?毎日やることになっていたでしょう?」

②「どうして使ったらすぐに片付けないんだ?また任天堂スイッチ、出しっぱなしじゃないかっ!」

親にしてみれば、子どもに聞いているつもり(質問しているつもり)かもしれませんが、
言われた子どもにしてみれば…。

①は、親に問い詰められています(詰問されてます)。
②は、親に小言を言われている以外の何ものでもありません。


「なぜ、まだ○○してないの?」不毛なパターンの繰り返しを防ぐたった一つのこと

また思い出してみてください。
①に対して帰ってくる子どもの答えはどうだったでしょうか?

例えばこんな12歳の男の子K君とお母さんとのやりとり。

K
君「だって、今朝は朝ごはんが遅かったんだもん。それに眠かったし」。
母「それはあなたが遅くまで起きたからでしょう。YouTubeばかり見てないで早く寝なさいって何度も言ったのに聞かないから、こんなことになるんじゃないっ!」

K
君「お姉ちゃんだって見てたのに、どうして僕ばっかり怒るの」
母親「私は、怒ってるんじゃないの、ただお母さんは、心配なだけなの。ただでさえこの頃成績が落ちてのに、この休みの間にもっと遅れたらどうするの。他の子はがんばってるのに」
K君「…」

こう言われたらK君は黙り込むしかありません。

この時のK君の気持ちを察してみてください。
「今朝なんで〇〇しなかったの?」の○○を、「勉強」、「片づけ」などなどに置き換えて不毛なやり取りを毎日毎日、何度も何度も繰り返す…。

この負のサイクルを防ぐ方法は、とってもシンプルにただひとつのことをするだけ。
「なぜ質問」をやめることです。


「なぜ?」が引き金になる言い訳

次に②の続きです。
今度は14歳のAちゃんとお母さんのやりとりをみてみましょう。

A
ちゃん「Mちゃんにメールしてから片付けようと思ってたら、YちゃんからLINEが入ってきて、そのうちお昼になっちゃたんだもん」
母「あなたはすぐ言い訳ばっかりで、お母さんイヤになっちゃう。言い訳はいいからさっさと片づけなさいっ!」

実は「イヤになっちゃう」のはお母さんでなくて、Aちゃんの方です。

子どもが「自分でもよくなかったかなあ」と思っている行為に対して、「なぜ?」と聞かれたら、私たちは誰でも、とっさに言い訳してしまうように出来ているのです。
それなのに、「言い訳ばっかりでダメだ」と言われる。

実は、このやりとり、Aちゃんはお父さんに「言い訳を言わされた」のです。


イマスグ封印「なぜ/どうして〇〇しなかったの?(過去形)?」
 

このへんにしておきましょう。

とにかく最初に肝に銘じることです。
子どもに「なぜ」と聞かないと。

とりわけ、すでに起こってしまったことに対して「なぜ〇〇しなかったの?」と。
あるいは、「どうして〇〇しないの」と。


2. 鉄則その2~もとめられない助言、提案を控える~


「〇〇したら?」という押しつけ
 

またちょっと思い出してみてください。
一番最近、子どもに次のような「〇〇したら?」と言ったのはいつだったでしょうか?

「もっと早く起きて、ケンタ(犬の名前)を散歩に連れったらどう。そしたら一日のリズムができるから」

「勉強わからないんだったら、インターネットのオンライン塾に入会する?〇〇さんもやってるらしいよ」

こう親から言われた子どもは、内心では「そんなのわかってるよ」とか「余計なお世話よ。そんなことじゃないのよ、私の問題は」と思いながら、不承不承、うなずくしかありません。

それで実際に生活にリズムが出たり、勉強がわかるようになったりすればいいのですが、さてどうでしょうか。はなはだ疑わしいのではないでしょうか。


子どものとき、自分の親から言われた「なぜ?」&「〇〇したら?」
 

思い起こしてみてください。

あなたが子どものとき、頼みもしない助言や提案を親からされて、素直に受け入れたことがどれだけあったでしょうか?
反発するのはまだいいほうで、従うふりをするだけで、結局、時間とエネルギーの無駄に終わったばかりか、親に対する「ウザい感情」が増したのではないでしょうか。

それは「なぜ質問」も同じです。
あなたが子どもの頃、親に言われて全然心地よくなったはずの問いかけを、今度は自分が子どもに対してしているのではないでしょうか。

最初の一歩は、この2つを肝に銘じて子どもに臨むことだけです。
話しとしては単純ですが、実際にやってみると、恐ろしく難しいはずです。

ではどうしたらいいのでしょうか。
次はとにかくやってみる際の、そのやり方です。 


(中田豊一 ムラのミライ 代表理事)



 
・・・次の記事に続く