2023年10月23日月曜日

思春期の子どもとのコミュニケーション講座ができるまで

子育てに活かした3原則とメタファシリテーション(R)

私(中田)が、メタファシリテーション(R)手法のもともとの創設者である和田信明の開発援助の現場でのあまりに見事な対話術に出会って驚愕したのが2000年。
それを自分のものにすべく練習を始めたのですが、その際に私が練習相手に選んだのが、一番手近にいて、しかもやり取りにいくらでも時間を割ける2人の子どもでした。

本格的に練習を始めた2002年頃、娘が10歳、息子が6歳ほどでしたが、その後、彼らが大学を出る頃までの間、対話術の練習と試行、さらには体系化のための分析にフルに利用させてもらいました。


そこで依拠した主な原則は、次の3つでした。

1)「なぜ?」「どうして?」と聞かない

特に、終わったことに対して、「なぜ〇〇しなかったのか?」とは絶対に尋ねない。

2)相手が求めてこない提案(アドバイス)をしない

相手が求めてこない提案やアドバイスをこちらから与えることを厳に慎み、できる限り質問の形をとる。

3)他者との比較をしない・一般論に基づく働きかけをしない

「〇〇君はこんなことができるそうだが、お前はできないのか?」などという他者との比較、あるいは「お姉ちゃんなんだから、〇〇すべき」などという一般論に基づく働きかけは決してしない、などでした。

これだけの制約を自分に課すだけでも本当にたいへんでしたし、それに代わる働きかけ方を見出して実行するのはますます容易でありませんでした。

対等で信頼関係に満ちた親子関係と子どもの主体的な進路選択

しかしながら、これらを地道に積み重ねていった結果、私の対話術は着実に上達し、さらにうれしいことには、子どもたちとは対等で信頼に満ちた関係が築かれて行ったのです。それが、子どもたちの自由で主体的な進路選択にも繋がったようです。
長い人生ですので、これからもこの関係が続くかどうか、その選択が本当によかったかの保証はまったくありません。とはいえ、子育て期間を振り返ってみて、業務上の目的のために子どもたちを練習台に使わせてもらったことが、結果としてお互いにとっての豊かな関係に繋がったことは、幸運以外の何ものでもありませんでした。

成果がでる/でないの分かれ道

今さらながらですが、この経験を、私に比べれば年若い皆さまと共有することで、よりよい親子関係のために少しでもお役に立てていただければという思いから、この手法の開発と普及に努めてきたわけです。
関係は複数の要素の相互作用で成り立っています。
コミュニケーションの改良だけで、確実に改善するという保証はないわけものの、これまでの経験から改めてわかったのは、成果が出るかどうかは、まず、ご自分の状況をどのように受け止め、それに基づき、どう自分を変えていけるかにかかっているということです。
 
中田 豊一(ムラのミライ 代表理事)

 

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