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2020年11月12日木曜日

「いつ」「最近」を聞くだけで出てくる、意外なエピソード

2020年10月26日、愛知県のとある山を車で走っていると、以前は茅葺屋根であったであろう家が密集している集落が見えてきました(茅葺屋根の上からトタンでカバーしてある屋根)。
道路沿いに茅葺き屋根がそのまま見える状態の家が1軒だけ残っていたので、写真を撮ろうとカメラを持って車を降りました。
その家は空き家のようで、写真を撮ろうと周りを見ていた時に、近くを犬の散歩をしていたおじいさんが声をかけてくださいました。

おじいさん(以下Sさん):いいカメラ持ってるね。なんかの取材?

私:いえ、通りがかりに趣きのあるお家を見つけたので思わず車を停めてしまいました。ここは写真をとっても大丈夫かご存知ですか?(私有地の看板がたっていた)

Sさん:大丈夫だよ!奥にもっと立派な古民家があるよ。ついて行ってあげるから、写真とったらいいよ。

私:ありがとうございます。お願いします。私は〇〇市からドライブで来た加藤愛子といいますが、お名前を伺ってもいいですか?

Sさん:Sだよ。この家は10年以上前に市が家主から譲り受けて、改装して宿泊施設にしたんだ。手前の建物はコミュニティセンターで地域の野菜も売っていたんだよ。茅葺屋根が珍しくて、雪が降ったときなんか写真家の人がたくさん来たり、一時期は観光客がたくさん来たんだけどね。10年前くらいに相続の関係で元の家主が返して欲しいと言ったもんで閉鎖したんだ。

私:そうですか、こんなにいいお家をそのままにするなんてもったいないですね。

Sさん:そうだよ。ここの屋根なんて杉で作った明治くらいの様式だよ。

私:詳しいですね。失礼ですがSさんはおいくつなんですか?

Sさん:今年76になるね。君のおじいさんくらいだな。

私:そうですか。とってもお元気でお若いですね!生まれも育ちもこちらの集落ですか?

Sさん:そうだよ。ここから数軒隣の家だよ。ほら、あそこに見えるのは僕の畑だよ。(畑の周りを囲ってある金属の柵が目に飛び込んできたので、獣害について聞いてみたいと思った)

私:広い畑ですね!今あの畑には何の野菜が育っていますか?

Sさん:今はネギ、玉ねぎ、大根、人参、白菜くらいかな。

私:Sさんが育てられたのですか?

S:そうだよ。僕が全部やってるんだ。

私:たくさん育てられてすごいですね。あの畑の周りの柵もSさんが取り付けたのですか?

Sさん:うん、まぁね。

私:いつ取り付けたんですか?

Sさん:5~6年前かな。市役所に申請すると補助金をだしてくれるようになったもんで。

私:そうなんですね。その前は何も囲いはしていなかったのですか?

Sさん:そうだね、お金も手間もかかるから。
5~6年前に補助が受けられることになって、ありがたい。

私:市役所は設置する時何を補助してくれたのですか?

Sさん:柵の費用と設置も手伝ってくれたな。

私:そうですか。あの柵には電気が通っていますか?

S:いや、あれは通っていない。猿が出る地域ではもっと目が細かくて上からも侵入できないような電気柵を使ってると思うけど。ここでは鹿や猪が出るよ。鹿なんかしょっちゅうで、よく道を歩いてるよ。

私:そうなんですか!最近ではいつ鹿を見ましたか?

Sさん:今日のお昼頃も道歩いとったよ。

私:昼間から歩いているんですか!ここ最近で何か捕まえた動物はいましたか?

Sさん:つい今さっき家の裏に仕掛けたかごにアライグマがかかってたよ。(日付時刻入りの写真を見せてくれた)

私:すごい!今このアライグマはどこにいるんですか?

Sさん:まだ家の裏にいるよ。

私:まだいるんですね!罠に餌は何を入れたんですか?私の祖父も畑で捕まえようとしたのですが、だめだったんです。

Sさん:(自慢気に)魚肉ソーセージを入れたんだよ~。

私:そうですか!それはいいことを聞きました。私の祖父にも伝えておきます。そういえば、さっき鹿が昼間から歩いているのを見たと言われていましたが、Sさんが小学生くらいの時には見かけたか覚えていますか?

Sさん:いや、その頃はないね~。だんだん鹿の鳴き声が家にいても聞こえるようになってきたんだよね。夜8時にもなると山から雄鹿が求愛する声が聞こえるんだよ。

私:聞こえるようになってきたのはいつごろか覚えていますか?

Sさん:たしか僕が40歳くらいのときだったから、36年位前かな。

私:よく覚えていらっしゃいますね。その時期にこの地域で地域開発事業や大きな出来事があったのですか?(これは曖昧質問かも。そして私の憶測が色濃く反映された質問。)

Sさん:どうだったかなぁ、、、。じつは40歳ごろ市役所の地域観光課にちょうど務めていて、鹿の声を利用して、「鹿の声を聞く会」といったツアー旅行を企画したんだ。当時は鹿の声なんて珍しいから50人くらい人が集まって、名古屋から観光バスでお客さんが来たんだよね。その時は鹿がうまく鳴いてくれるように祈ったもんだよ。結局ちゃんと鳴いてくれてお客さんは喜んでくれたからよかった。そんな事があったから、鹿が降りてくるようになったタイミングは印象深く覚えているんだ。

私:そうでしたか~。面白いですね!他にもそういったツアーを企画されたことはありましたか?

Sさん:夏には「カジカガエルの声を聞く会」を企画したら、これもたくさん人が集まったんだよ!

私:カジカガエルって私は初めて聞きましたけど、最近でもこの辺りで見られたことありますか?

Sさん:うん、見てはないけど今年の夏も声が聞こえたからまだいるんじゃないかな。

ここでSさんの連れていた老犬がクンクン吠えて早く帰りたそうだったので、お礼を言って別れました。
10分くらいしか立ち話できませんでしたが、「いつ?」と聞いていくとアライグマをついさっき捕まえたことや昔ツアーを企画したエピソードなど、予想もしなかった話題が飛び出してきてとても興味深かったです。

この会話を書き出したのは対話から3週間経ったころでしたが、事実質問で質問を繋げていくと、その時どんな質問をしてどんな会話の流れになったか、メモを取らなくても後から鮮明に思い出せました。

また、こう書き出してみると、もっと深堀りして質問できたポイントがたくさんあると気づきました。

◆この地域の茅葺屋根の家
→この地域やSさん自身の住環境、生活様式、自然資源の変化が聞けたかも

◆Sさんの畑
→Sさんの畑や周囲の畑の栽培作物の歴史、地域の産業が聞けたかも

◆鹿の声が聞こえるようになった時期
→何か地域で環境に変化を与えるきっかけとなる出来事があったか聞けたかも

◆獣害の実際の被害
→実際にいつ、誰が、どれだけの被害にあったか、被害の状況を聞けたかも

◆柵の設置、捕獲用の罠、捕獲後の動物への対応
→行政がいつから、どんな経緯で、どんなサポートをしてきたか聞けたかも

◆地域に生息している動物(カジカガエルは固有種、アライグマは外来種)
→昔はいたのに見かけなくなった生物、昔はいなかったのに今では見かける生物やその時期を聞くと周辺地域からのモノ・人の行き来による環境変化が聞けたかも


この場面に遭遇したときに聞けるエントリーポイントはたくさんありましたが、自分は何を知りたいのか、そのためには何を聞くべきか、限られた時間の中で瞬時に判断できる観察力と瞬発力を磨きたいです。


加藤愛子 ムラのミライ 研修事業コーディネーター)


これは私の祖父が自宅の畑に埋めておいた筒状の罠でモグラを捕獲した時の様子。
ちなみにアライグマの罠には、知人からのアドバイスで「あんドーナツ」を餌にした
そうですが、猫がかかったそうです。あんドーナツが餌なら私が罠にかかってもおかしくないかも。



 

2020年8月14日金曜日

会話の引き際が大事! 父との対話の中で効果発見

私はすぐに提案したり、前のめりに質問してしまう癖があり、相手が自分で答えを見つけられるように会話できていないと自覚しつつもなかなか直せないでいました。
そんななか父との対話で偶然、提案や前のめり質問をしなかったため父が自分で行動を起こしました。

晩ごはんが済んだあとの父との会話。
父がいつものように食後に高血圧の薬を服用しようとしたところ、「もう残りが少ないから病院にもらいに行かないと」と言ったことに対して、着地点を“父に薬に頼る以外の対処法がないか思い出してもらう”と着地点を設定して聞いてみました。

私:高血圧の薬っていつから飲んでるんだっけ?
父:倒れたあとだから、9年前かな。

私:今朝は血圧測ったの?
父:うん、最近高くて上が140あったんだよね。

私:あらま。倒れる前は医者に血圧高いと注意されたことあったの?
父:いや、なかったね。

私:入院した時は血圧高いって言われたの?
父:うーん、というか血圧の薬は血液をサラサラにするために飲んでるんだわ。ドロドロだと血圧が上がって血管つまるといかんで。

私:ふーん。薬を飲む以外に血液をサラサラに保つ方法は病院で説明された?
父:水をたくさん飲むことと、サラサラにする食べ物も教えてもらったな。

私:そうなんや。今日仕事には水持っていった?
父:500mlのペットボトル持っていった。

私:水筒はもってるんだっけ?

ここで、私は食器を洗うため席を立ち、会話をやめました。
その後、父が自分で
「そういえば去年母さんに保冷できる1.5リットルの水筒買ってもらったな。どこにあったっけ?」
と言って、水筒を探し、次の日にさっそくお茶を入れて持って行きました。

普段だったら、「水筒もって行きなよ」って提案していたと思いますが、たまたま会話をやめたことで父が自分で「水筒を持っていく」と決めた。会話の引き際がすこし分かった会話でした。

みなさんも周りの方との対話にメタファシリテーションを試してみてください。
暑い夏が続きますが、私の父のようにたくさんお水を飲んで熱中症にならないようお過ごしください。



加藤愛子 ムラのミライ 研修事業コーディネーター)


2020年1月10日金曜日

Terangaの国セネガル

今年開催されるオリンピック招致の際に、ある言葉を日本の文化としてアピールしたスピーチが話題になりましたが覚えていますか?

「お・も・て・な・し」

実はセネガルにもTeranga(テランガ)という文化が強く根付いています。
Terangaとは「おもてなし」「ホスピタリティ」「シェアする」といった意味です。

実際にここ数ヶ月でもいたるところでセネガルの方のTeranga精神を感じました。
例えば、仲良くなると「うちにご飯食べに来なよ」と誘ってくれます。
ご飯を食べるときには大皿に盛ったご飯をみんなで分けながら食べます。
盛り付けられている魚・肉・野菜などの具がまるごと乗っているものを、全員がまんべんなく食べられるようにちぎって分けます。

また、アタヤという甘いミントティーを軒先で作っている人がいると、「アタヤ飲んでいきな~」と誘ってくれたり、とにかく知っている人も知らない人も分け隔てなく招いてくれます。

私が泊まっている宿のガードマンさんやそのお友達が話したり、テレビを見ているところによく混ぜてもらっていますが、毎晩アタヤを作って、断らない限り次から次へと勧めてくれます。一日にいったいいくらアタヤに出費するのか気になり、事実質問で聞いてみました。

私(以下、A):今日はアタヤに使う茶葉は何パック買ったの?
ガードマン(以下、B):今日は3パックかな。
A:昨日は何パック買ったの?
B:昨日も3パック買ったね。
A:どこで買ったの?
B:近くのブティック(商店)だよ。
A:1パックいくら?
B:150Fだったね
A:て、ことは3パックで450F(約90円)だね。じゃあ、お砂糖は何袋買ったの?
B:今日はsoow(ヨーグルト)も作ったから2袋買ったよ。
A:それも商店で買ったの?
B:うん。でもアタヤだけ作る日は1袋で大丈夫だよ。
A:砂糖は1袋いくらだったの?
B:一袋これも150F。
A:2袋で300F(約60円)か。じゃあ、ミントはどこで買ったの?
B:これもブティックで100F(20円)くらいだったかな。
A:じゃぁ、アタヤを沸かす燃料の炭はいくら?
B:一袋100F(20円)でこれもブティックで手に入るよ。
A:何でもブティックで手に入るんだね。てことは合計950F(190円)かぁ。一月、30日とすると28,500F (5,700円)!

Bさんも頭では大体わかっていたけど計算したことは無かったようで少し驚いていましたが 、すかさずこう言われてしまいました。
「これはTerangaだからお金じゃないんだよ~。僕が一生懸命働くのは友達にこうやってアタヤを配って楽しい幸せな時間をシェアするためなんだ。Richという事はただお金をたくさん持っていることじゃなくて、どれだけそれをみんなのために使えるかなんだ。それに心からTerangaしていたら神様はちゃんと見ていて、困ったときには仲間が助けてくれるんだよ。」

はい、ごもっともです。
事実質問したことでいくら出費しているかだけでなく、彼らのTerangaの考えも聞くことができました。同時に、自分がいかに「自分のもの」「他人のもの」の線引をしているか自分にも気づきがありました。そもそも、そこに境界線の意識をあまり持たない彼らにとってはアタヤの出費など気にならなかったのかもしれません。セネガルの人にとってTeranagaし合うことは助け合いネットワーク作りとしても大切な意味合いを持っていると思います。
疲れていたり時間がなかったり、余裕がないとすぐに自分優先になってしまう私。
お金や置かれた状況に余裕がなくても、相手のことを優先するセネガルの人の姿勢には教わることばかりです。

相手が快適に過ごせるように細やかに心配りする日本の「おもてなし」
別け隔てなく相手を受け入れ、幸せを分かち合うセネガルの「Teranga」
方法はそれぞれだけれど、「相手を想う」という一番大切な部分は日本もセネガルも共通しています。

さぁ、みなさんは明日どんな“おもてなし/Teranga”をしますか?



PS:ムラのミライのセネガル駐在員 菊地さんは、
すぐに些細なことや相手の気持ちに気づき、さり気なくフォローして下さったり、
どこかにちょっと外出したらお土産を用意して下さったり、
「おもてなし」と「テランガ」を兼ね備えています^^

(加藤愛子 ムラのミライ インターン)


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2019年12月20日金曜日

名前とアイデンティティー

皆様、Nanga def? (ウォロフ語:お元気ですか?)
ここ1ヶ月ほどセネガルで過ごし、だんだん長い挨拶もスムーズに対応できるようになってきました。(第一回参照)

初対面の方と挨拶するとき名前を聞かれた後よく「名字は?」と聞かれることがあり、不思議に思っていました。今まで訪れた国の中でこんなに名字まで聞かれたことがなかったからです。

セネガルにはウォロフ族、セレール族、プル族、その他の民族、さらに近隣国からの移民と多くの民族が暮らしています。それぞれの民族によって特有の名字があり、名字を聞けばどの民族かだいたい分かるそうです。
もしかしたら、名字まで確認することは無意識にその人のバックグラウンドを確かめるために聞いているのかもしれません。
また、名前にも宗教的な要素が反映されており、例えばイスラム教の男性だったらママドゥ、女性だったらアイシャなどイスラム教関係の名前をつけることがよくあるそうです。

先日、赤ん坊が生まれて1周間後に行うイスラム教の命名式(ngente)に参加してきました。
会場となる家の前には華やかに着飾った人が50人以上集まっていました。

子供の名前は親が親族や親しい友人の名前から選んでつけるそうで、選ばれたその人は赤ん坊の経済的・精神的な支えとなるそうです。ウォロフ語には自分と同じ名前の人のことを「サマ トゥール ンドゥール」「サマ トーマ」という専用の言葉があることから、それが重要な意味を持つことが伺えます。

命名後、集まった人たちにイスラム教指導者がコーラン(イスラム教の聖典)に書かれている、“みんなで子どもたちをどう守り、育むか”を解説していました。たくさんの人が生まれてきた赤ちゃんを祝福し、みんなで成長を見守ろうとすることに心が暖かくなりました。

セネガルの方にとって、名前は民族・宗教・家族などのアイデンティティーに加え、揺るぎない繋がりを感じられる大切なものだとわかりました。セネガルの人の明るく穏やかな情緒は、そうしたなかで育まれたものだと思います。
(ちなみに私の名前は愛子なのでセネガルネームはアイダです。)
(加藤愛子 ムラのミライ インターン)



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2019年11月20日水曜日

アフリカ発祥オクラとスープカンジャ

アッサラームアライクム!(こんにちは!)
※セネガルはイスラム教の方が多い国です

日本でも食べられているオクラ、実はアフリカが原産らしいです。
日本から13,682km離れたセネガルではどうやって食べられているかご紹介します。
セネガルで多く話されているウォロフ語でオクラはkanja(カンジャ)といいます。

みんな大好きSoupkanja(スープカンジャ)


魚介の出汁が効いたオクラのネバネバ料理。ご飯にかけて頂きます。
味に深みがあって美味しく、日本人の舌にも合う味です。

材料:オクラ、オクラパウダー、玉ねぎ、ピーマン、苦ナス、生の魚、にんにく、干した魚、塩漬けした魚、干した貝、発行させた豆、エビパウダー、唐辛子、ブイヨン、パーム油

作り方
1.オクラを薄く切って杵と臼で潰します
2.切ったオクラ以外の材料を切り鍋に入れて煮込みます
3.3から魚のみ取り出して骨を取る
4.2に1の潰したオクラを入れて煮込む
5.最後にパーム油を入れて完成

大皿に盛ったご飯にかけて、みんなで食べます。

海に面し豊富に魚介が採れるセネガルと日本、干した魚を出汁に使うことや発酵させた豆を使うところが似ていて、日本人の味覚にも合うのかもしれません。
一方、乾燥地帯にあるセネガルは油を多く使った料理が多いと感じました。
料理にもその国の気候や環境が反映されていますね!

「農村部で採れた野菜がどのよう調理され、消費されているか観察する必要がある」と、ここ2週間完全セネガルご飯で生活していますが、いっこうに飽きが来ないほど美味しいです。(ただ食べたいだけでしょ?とは言ってはいけない)



(加藤愛子 ムラのミライ インターン)


ムラのミライの農業プロジェクト地で栽培されたオクラ



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2019年11月12日火曜日

“jamm”の国 セネガル

こんにちは!
ムラのミライでインターンをさせて頂いています、加藤愛子です。
セネガルで行われている農業プロジェクトの様子やセネガルの様子を発信していきます!

私がセネガルに来てまず一番印象的だったことは、とにかく“jamm=平和・安らぎ”が大切なこと。
現地のウォロフ語を覚える中で一番最初に覚えたことは、”jamm”がたくさん出てくる長い挨拶でした。
よくあるウォロフ語の挨拶を紹介します。

Nanga def?ナンガ デフ?(どうしてる?) 
Mangi fii rekkマンギ フィ レック(元気だよ)
Yangi noos? ヤンギ ノース?(生活は順調?)
Mangi noosマンギ ノース(順調だよ)
Mbaa yaangi ci jamm? ンバー ヤーンギ チ ジャム?(生活は平穏ですか?)
Mangi ci Jammマンギ チ ジャム(平和です)
Sa yaram jamm? サ ヤラム ジャム?(体の調子はどぉ?)
Jamm rekkジャム レック(好調です)
Yendul ak jamm! イェンドゥル アク ジャム(よい1日を平和とともに)

とにかく、みんなが平和でいる(jammである)ことを確認し、願います。



初日にも、「ここではみんなお互いにリスペクトはあるけど、ヒエラルキー(上下関係)はないんだ。だからリラックスしてハッピーに過ごしてね!」「セネガルではみんな笑顔なんだ。だから君も笑顔で過ごせますように」と言われたことに感激しました。
そして言葉からだけでなく、彼らの屈託のない笑顔からもそれは伝わってきます。
セネガルの雰囲気に身を委ねて心はゆるゆるとリラックスしていきました。

毎日の挨拶から平和を意味する”jamm”を口にすることで、セネガルの方の意識の中に“平穏”であることが根付いているなぁと実感した最初の1週間。
この先も素敵な滞在になること間違いなしです!

(加藤愛子 ムラのミライ インターン)





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2017年8月1日火曜日

青年海外協力隊の現場から~ゴミ今昔物語(後半)

前回の続きです。

台所は2階にあったので、急な階段をそろそろと登って一同移動。茶葉は他の生ごみと共に、ビニール袋ではなくプラスチック製のバケツに入れられていました。その横には、ビニール類のゴミがビニール袋に入れられ置かれていました。

M:すごい整理整頓されたキッチンですね。ゴミを回収車に持って行くのは誰か、決まっているのですか?

L:私です。

M:どのように回収車までゴミを持って行くのですか?

L:このバケツごと持って行くのよ。

M:ゴミを回収車に積んだ後、このバケツはどうするの?

L:家に持ち帰って洗って、またゴミを入れるのよ。

≪※細分化:この台所から収集場所まで、そして帰ってきてからの動作を聞く≫

M:ここにゴミがまだあるけど、今日は回収車来ましたか?

L:まだなのよ。こんな時間なのに。(この時10:30ごろ)

M:最後にゴミを出したのはいつですか?

L:2日前。

M:えっ、昨日は?

L:昨日は笛の音が聞こえなくて、持って行ったときにはもう回収車が行った後だったのよ。
(坂になっているこの地区では、主要道路に収集車が来た時に鳴らされる笛(ホイッスル)が、ゴミ出しの合図になる。坂の上の方に行くほど、笛の音は聞こえない)

M:それは大変でしたね、、、。2日前はどうやって回収車が来たことを知ったの?

L:お買い物から帰ってきたときに、たまたま回収車が来ているのを見つけたから、急いでゴミを出したの。

M:その時、ご近所さんにも知らせましたか?

L:えぇ、もちろん。

M:逆にご近所さんから知らされたことはありますか?

L:もちろん、あります。生ごみは毎日回収に来るけど、ビニールは日曜しか回収に来ないから、出し忘れると沢山たまって大変なのよ。(この時、各曜日の収集ゴミの種類を聞いた)

≪※問題への対処:地区のごみ問題で、夫婦あるいは他の住民たちが「決まった時間に収集場所にゴミを持って行けない」という状況に、どのように対処しているかを聞く。自分が相手だったらどうするだろう、という視点も≫

M:そうですよね、、、。じゃあこのプラスチック系のごみは、1週間分なのですね。こうしたプラスチックのゴミを減らすように、今まで何か取り組んだことはありますか?

≪※問題への対処:今は、ビニール袋のゴミに悩んでいる。というか、分別等々、外から言われ続けている。分別はしているから、出たゴミを何とかするのではなく、元から断つ(=ゴミを出さない)ために何かアクションを起こしたことがあるかどうか、経験を聞く≫

G・L:うーん、ないなぁ、、、。

L:今度お買い物に行く時に、何かバッグを持って行こうかしら。

M:それは良いですね!じゃぁ、お湯も沸いているし、どうぞご飯を食べてください。お邪魔してすみませんでした。
(ここで私はキッチンから階下に先に降りたのだが、Kさん始め他の人たちはまだキッチンに残っていた。そうしたところ、Gさんと引き続き以下のような会話があったらしい)

G:野菜とかはバッグでも良いけど、お肉や魚の時はどうしたら良いんだろう?

K:さっき話してくれたみたいに、昔はどうしていたんだっけ?

G・L:、、、、。そうか、昔はそれもビニール袋を使っていなかったね。明日から買い物に行くときは、家から袋を持って行くようにするよ!どんなの使ったか見せるから、明日また来て!

お礼を言って家を後にするとき、ガネーシュさんとラクシュミさんが、話を聞いてくれて嬉しかった、楽しかったと笑顔で言ってくれていたとのこと。




その後、1時間ほど地区の中を歩き回り、市役所支部に戻っての振り返り。
松浦さんチームともお互いのフィールドワークを共有し、市役所職員の方からも感想をもらった。





 

「こちらから答えを与えるのではなく、彼らが自ら解決策を思いついて、バッグを使うと宣言したことにとても驚いた。」

Kさん曰く、この職員自身も2年間ほどこの地区を担当しゴミ指導をしているが、昔(と言っても20年ほど前)は、そのような未舗装の道路で土壁の家が立ち並ぶ地区だとは知らなかった上に、彼らのキッチンや実際の家でのゴミ分別の仕方を目にしたことは、一度もなかったらしい。Kさん自身も、「今」のことは細かく知っているし、昔の事も聞いたことはあったけど、今回のように具体的な話を聞いたのは初めてだったとのこと。

家の立ち並び方、この都市自体の歴史からして、この地区も急激に人口が増えたことが分かるし、第一、ゴミ=プラスチック・ゴミ(ビニール袋ゴミ)は外から持ち込まれるもの。野菜くず等の生ごみは何千年もの昔から存在するが、微生物が分解する環境では、いつかは土に還るためそれをゴミとは感じない。ゴミと認識するのは、いつまでもそこに残り続ける物質である。

プラスチック・ゴミが「無い」(という認識を生んでいた)生活はいつで、どんな状況だったのだろう、と思って聞き出していったわけだが、このやり取りを聞いていた他の隊員からはこんなコメントももらった。

「いつこのお家を建てたのか、という質問の時には、講座で聞いた【時系列】を思い出したが、そんなに昔にさかのぼるの?とはっきり言って、驚いた。けれど、そこから紡ぎ出された会話を聞いていると、とても自然で聞いていても不思議じゃなかった。だからガネーシュさんもああいう「やってみよう」という言葉が出てきたのですね」

後日談としてKさんから聞いた話によると、この対話の数日後にラクシュミさんを訪ねていくと、買い物帰りのエコバッグを見せてくれたとのこと。意識の変化が行動の変化に結び付きました。

偉そうに解説まで書きましたが、現場でやり取りしている時には私自身、理論は頭から抜けて体で反応しています。今回はこういう対話になりましたが、同じゴミ問題でも対話の始まり方や流れは千差万別なので、あしからず。
前川香子 ムラのミライ認定トレーナー)



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→読み切り形式でどこからでも読める、メタファシリテーションの入門本。
  

2017年7月25日火曜日

青年海外協力隊の現場から~ゴミ今昔物語(前半)

南アジアのとある国で活動する青年海外協力隊の友人Kさんから、宮下和佳さんにメタファシリテーション講座開催とKさんのフィールドを見て欲しい、という相談が来ました。そして和佳さんから「行ってみません~?」と誘われ、行ってみることに。

基礎講座には多くの隊員も参加して、Kさんのフィールドにも5名ほどが参加してきました。一緒に講師として来ていた松浦さんと、「予想以上に熱い意気込みですねぇ」と話しながら、2つのグループに分かれてフィールドを歩きました。

Kさんの活動は「コミュニティ開発」で、啓発活動を取り入れながら、特にゴミ問題に取り組んでいます。地区では、市役所が雇う清掃人の人たちが、決められた場所で決められた時間に掃除したりゴミ収集をしたり、そして市役所の職員がそれら作業を監督します。

市自体は、日本でいうと京都のような古都で、Kさんの担当地区は主要道路に沿って斜面になっている土地にコンクリの家が立ち並び、通路はくねくねと入り乱れ、その地区内に共用シャワーと共用トイレが設置されています。むき出しの排水溝にはビニール袋が無造作に投げ込まれ、道路の隅に捨てられた、やはりビニール袋に入れられた生ごみは、野良犬に漁られていました。

Kさんと彼女の相棒の市役所職員、そして他の隊員たちと計7人くらいで歩いていると、さすが約1年半の間、普段から歩き回っているKさん。次々と住民から声がかかります。「よう、今日は何しに来たんだい?」「ほら、今日も掃除しているよ」という挨拶をしていると、ゴミの分別や収集に非常に熱心だというガネーシュさんと鉢合わせました。

ガネーシュさん、色々とゴミについてまくしたてます。市役所職員も、色々何か言っています。とりあえずお家に行かせてもらうことになりました。
コンクリのお家は2階建てで、入ってすぐがリビングで8畳くらい。テレビやいろんな飾り物があります。壁は綺麗に緑色に塗られていました。部屋の中には、お連れ合いのラクシュミさんと子どもたちが数人いました。プラスチックの椅子が10個近く積み上げられているのを見ると、お家を訪ねてくる人も頻繁にいそうです。
座った後も、ガネーシュさんとラクシュミさんとKさんで、ごみについての話に盛り上がっています。どうやら、各家でビニール袋で集めたゴミも、回収時には中身だけなので、汚れたビニール袋だけが残ってイヤだの、そうしたビニール袋が捨てられているだの云々。

そしてKさんが「他のお家では、ビニール以外にゴミを入れているところはありますか?」という事を聞いている。ガネーシュさん曰く「プラスチックのバケツに入れているところもあるけど、買えるからいいよね」みたいなことを言っているらしい。

そんな問答が数分続き、市役所職員がなにやら説教を始めて一呼吸おいたところで、自己紹介をして話を聞かせてもらうことにしました。(以下の対話は、Kさんがとりまとめてくれたものを使わせてもらっています)



前川(M):お二人とも生まれ育ったのはどこですか?

ガネーシュ(G)・ラクシュミ(L):この地区です。(実際には地区名を言っている)

≪※時系列で聞く:過去から遡ってくるために、まず、彼らがいつからこの地区に住んでいるのかを知る≫

M:この家はいつからここにあるんですか?

G:70年前からです。おじいさんの時代から。

M:へー、ずいぶん前からここに暮らしているんですね!今のこのコンクリの家を建てたのは誰ですか?

G:私です。

M:いつ建てたのですか?

G:20年くらい前です。

≪※見た感じそれほど古くないと思われた上、祖父の代から住んでいるというので、いつ建てられたのかを確認=これ以降の会話に繋がる≫

M:前の家の材質は何でしたか?

G:土でできていました。

M:土だったんですね!屋根は何でできていたんですか?

G:トタン屋根です

M:そうですか!土壁にトタン屋根のお家だったんですね。じゃぁその頃、この家の周りの道路はどんな道でしたか?今はコンクリですよね。

G:未舗装の、土の道路でした。

≪※状況の細分化:自分が暮らしていた家を細かく思い出してもらう。同時に、私自身もその家が思い描けるように(=ガネーシュさんが思い出しているのと同じ家を描けるように)聞いていく。土壁だからと言って必ずしも藁やヤシの葉の屋根ではない。だから、屋根の材質も聞く。地区内の様子の内、一番変化の激しい道路についても聞くことによって、当時の地区の様子がより鮮明になる≫

M:そうでしたか。その頃、Gさんにご飯を作ってくれていたのは誰ですか?

G:私の母です。

≪※当時の台所やそれにまつわる記憶を呼び起こす。ご飯を作るのは母親と限らない。祖母や叔母、いとこ、兄弟姉妹かもしれない≫

M:食材はどこから入手していましたか?

G:この街の中のお店で買っていました。

M:誰が買いに行っていましたか?

G:父と私です。

M:Gさんが野菜や果物を買いに行った時、その時お店の人は品物を何に入れて渡してくれましたか?

G:新聞紙や葉っぱに包んでいました。それを家から持参した布のバッグやかごに入れて家まで持ち帰りました。お肉や魚も、そうでした。

M:そうだったんですね!それじゃあ、スパイスは何に入って売られていました?

G:それも新聞に包まれていたなぁ。

M:じゃあ、お米は何に?

G:それも紙の袋だったなぁ。ほらこんな感じの。(家にあった似た材質の紙を指さしながら)

≪※細分化:ごはんづくりに必要な食材カテゴリーを、一つ一つ聞いてみる。スーパーではなく、八百屋、肉屋、魚屋、スパイス屋等々と食材ごとに店がある。それらの買い物体験を思い出してもらう≫

M:なるほどなるほど。じゃあ、そのゴミを地域の中で集める場所はありましたか?

G:今の駅があるあたりに、集める場所としてコンクリの入れ物があって、そこに入れていたよ。私も捨てに行っていた。そこに市役所が回収しに来ていたんだ。

M:そこに持って行く前に、家の中ではどのようにゴミを置いていたのですか?

G:バケツに入れてました。

M:そのバケツの材質は何でしたか?

G:金属です。

≪※細分化:母親が料理をして、そこからゴミ(生ごみや紙類)が発生する→ごみ収集場所に持って行く、という行為で、家から収集場所に持って行くまでに私が相手ならどうするだろう、という視点から、家でのゴミ置き場について聞く。まだプラスチックの類は出てこない、そういう生活をしていたのが見えてくる。≫

M:ほー、そうだったんですね。その当時、大人がゴミ問題について騒いでいるのを聞いたことがありますか?

G:いや、そんなことはなかったなぁ。

M:そうですか。そういえば、今日は朝ごはんを食べましたか?

≪※時系列:プラスチックのゴミが(ほぼ)無かった時の事を思い出しきったところで、今の時点に戻る。ピンポイントで、今日の朝について。この時点で10時半前なので、忘れていることはない≫

L:それが、作ろうと思ったら皆さんが来たから、まだ食べていないの。

M:あれまぁ。それは申し訳ない!

G・L:良いんですよ。話を聞いてくれて、とても嬉しいし。

M:すみませんね。じゃぁ朝起きてから、何か口にしましたか?

G:紅茶を飲んだよ。パンも食べたかな。

M:誰が紅茶を淹れたんですか?

G:私の妻です。

M:奥さんが淹れられたんですね。紅茶をどのように淹れたか教えてもらえますか?

≪※聞く相手は、実際にその行為をした人。この時も、ガネーシュさんが答えようとしたので、敢えてラクシュミさんに聞いた。ガネーシュさんの答えも合っているかもしれないが、もしかしたら「そう思っている」だけかもしれない。≫

L:お湯に茶葉と砂糖とミルクパウダーを入れて、茶こしでこすだけよ。

M:へー、ミルクパウダーを使うんですね。使い終わった茶葉はどうしたのですか?

L:もちろん捨てたのよ。

M:どこに?

L:キッチンのゴミ箱によ。

M:良かったら、キッチンを見させてもらってもいいですか?

≪※観察:実際に、どのようにゴミを入れて置いているのかを見てみる。百聞は一見に如かず。また、聞いた事と実際の行為が合致するかどうか(自分の理解が正しいかどうか)確認する。あるいはクロスチェックする。≫


続きは次回に!前川香子 ムラのミライ認定トレーナー)



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