2019年12月20日金曜日

名前とアイデンティティー

皆様、Nanga def? (ウォロフ語:お元気ですか?)
ここ1ヶ月ほどセネガルで過ごし、だんだん長い挨拶もスムーズに対応できるようになってきました。(第一回参照)

初対面の方と挨拶するとき名前を聞かれた後よく「名字は?」と聞かれることがあり、不思議に思っていました。今まで訪れた国の中でこんなに名字まで聞かれたことがなかったからです。

セネガルにはウォロフ族、セレール族、プル族、その他の民族、さらに近隣国からの移民と多くの民族が暮らしています。それぞれの民族によって特有の名字があり、名字を聞けばどの民族かだいたい分かるそうです。
もしかしたら、名字まで確認することは無意識にその人のバックグラウンドを確かめるために聞いているのかもしれません。
また、名前にも宗教的な要素が反映されており、例えばイスラム教の男性だったらママドゥ、女性だったらアイシャなどイスラム教関係の名前をつけることがよくあるそうです。

先日、赤ん坊が生まれて1周間後に行うイスラム教の命名式(ngente)に参加してきました。
会場となる家の前には華やかに着飾った人が50人以上集まっていました。

子供の名前は親が親族や親しい友人の名前から選んでつけるそうで、選ばれたその人は赤ん坊の経済的・精神的な支えとなるそうです。ウォロフ語には自分と同じ名前の人のことを「サマ トゥール ンドゥール」「サマ トーマ」という専用の言葉があることから、それが重要な意味を持つことが伺えます。

命名後、集まった人たちにイスラム教指導者がコーラン(イスラム教の聖典)に書かれている、“みんなで子どもたちをどう守り、育むか”を解説していました。たくさんの人が生まれてきた赤ちゃんを祝福し、みんなで成長を見守ろうとすることに心が暖かくなりました。

セネガルの方にとって、名前は民族・宗教・家族などのアイデンティティーに加え、揺るぎない繋がりを感じられる大切なものだとわかりました。セネガルの人の明るく穏やかな情緒は、そうしたなかで育まれたものだと思います。
(ちなみに私の名前は愛子なのでセネガルネームはアイダです。)
(加藤愛子 ムラのミライ インターン)



セネガル・プロジェクトへのご寄付を募っています。
バナーのリンク先で、プロジェクトの背景・これまでの成果・今後の活動などをご覧頂けます
http://muranomirai.org/donationsenegal2019