2020年4月8日水曜日

親子のコミュニケーションをよくするためのコツ=鉄板の鉄則 入門編~試しにやってみましょう~後編



3. 鉄則その1&2を実践する3つのステップ


前回お伝えした
鉄則1「なぜ?を封印する」と
鉄則2「求められない助言、提案を控える」
実践された方はいらっしゃるでしょうか。


今回はもう少し詳しく「とにかくやってみる」3つのステップと「入門編まとめ」をお伝えします。



ステップ1 「ああ~またやってしまった」~悔やむだけ悔む~

言ってはいけないと思っていたのに、封印したと決めたのに…。
いざとなると「なんで〇〇せーへんかったん?」(関西弁も時々交えさせてください。そのほうが軽妙に聞こえるので)と聞いてしまった。
それも一度や二度ではなく、一日に何回も言ってしまった。

まずは悔やむだけ悔やんでください。
初めからできる人など、見たことがありません。
これでいいのです。

ステップ2「あっ、言ってしまった!」~子どもの反応を観察してみる~

ステップ1は、少したってからの反省ですが、
「あっ、言ってしまった!」言ってすぐに気が付いた時のことです。

ここでは反省する代わりに、子どもの反応を観察して下さい。
特に表情やしぐさの微妙な変化をよく見てください。

その変化に気づけば、次は気を付けようと本気に思えますから。

ステップ3「言いかけたけど、途中で思いなおした」~グッと我慢できるようになる~

はい、ここまでくれば、最初のステップとしては十分です。
だまされたと思って、やってみることです。

これを何度か繰り返しているうちに、お子さんのあなたに対する態度が確実に変わってきます。

ステップ2までは、あなたは自分の感情を抑えられないままに、子どもに向かっていました。

ステップ3では、あなたは感情的になるのをがまんしています。

その変化は、恐ろしいほどお子さんに伝わります。

どう伝わるのか?
子どもはどう変化するのか?
それはどうしてなのか?
これらについては、この鉄則を試みた方だけにお伝えします。

なお、最初の数週間は、ステップ3まで行かなくても、まったく問題ありません。
ステップ1だけでも大丈夫です。
とにかく意識することが大事なのです。
自分の振る舞いを冷静に見ることができていれば、必ず、我慢できるようになります。

ステップ3まで何とか行った方からは次の疑問が湧いてくるはずです。
「じゃあ、代わりに何と聞いたらいいの?」

これは、鉄則2ついてもまったく同じことです。
提案や助言を我慢する代わりに、何といったらいいのか?
どのように働きかけたらいいのか?
という疑問です。


4. 鉄則その1&2を実践する3つのステップのその先に

「我慢はできた、ではその次になにをする?」
というのが今回のテーマです。

「なぜ?」と言うのを我慢し、
提案や助言を我慢する代わりに、
何といったらいいのか?
どのように働きかけたらいいのか?
という疑問です。


ここからは「“事実を聞く”技術」が必要

もちろんこうした疑問への答えはあります。
いや、ここからが本番だと言えます。

ただし、ここからは心構えに加えて技術が必要になります。
逆に言えば、心構えのない方に技術だけ教えても、何の役にも立ちません。
なので、ここではあえてまだお伝えしないでおきます。

とはいえ、それではあまりに殺生でしょうから、簡単に紹介しておきましょう。

一言でいえば、考えや感情を尋ねないで、事実を尋ねる質問をするということです。


考えや感情を聞く質問と事実を聞く質問の違い

つまり「なぜ、どうして」は考えや意見を聞いているので、相手は、言い訳を考えてしまうのです。
代わりに
「今朝は何時に起きたの?」
「まず何をしたの?」
「最初に誰とLINEしたの?」
「何分くらい続けたの?」
「次は?」
という具合に、事実を聞く質問を続けていくのです。
あるいは、
「オンライン塾に入ったらどう?」
と言わないで、
「オンライン塾があるの知ってる?」
「どうやって知ったの(誰から教えもらったの)?」
「お友達で誰かやったことある人知ってる?」
という感じです。
これが基本的な聞き方なのですが、たぶん、おわかりのように、このように続けていくのは簡単でありません。
また、聞き方によっては、警察の事情聴取のように捉えられかねません。
そうならないようにうまく繋げていくことは容易でないという意味で「技術」が必要だということです。


「入門編1~4:試しにやってみましょう」のまとめ

技術を身に付けるには一定の訓練が必要ですので、次のステップは少々手ごわいものになります。

とはいえ、最も大切なのは、この入門編で示した、自分のコミュニケーションのスタイル、つまり子どもとの対し方に対して自覚的になることです。

これなしには始まらず、これさえあればすべては何とかなるとさえ言えます。

繰り返します。
騙されたと思ってやってみて下さい。
お子さんとあなたとの間の景色が必ずや変わってくること請け合いです。

なお、ここでは例をお母さんと子どもとの会話にしましたが、父親でもまったく同じことです。
普段あまり家にいないお父さんが否応なくお子さんとやり取りしなくてはならない場面も増えていることでしょうから、お父さんもぜひ試してみてください。

時代とともに親子を取り巻く環境は激変しているのに、昔ながらの接し方をしていたのでは、よい関係を築くのは難しいことを私たちは痛感しています。
このプログラムが皆さまの毎日の親子のコミュニケーションの改善の一助になれば、とても嬉しいです。


中田豊一 ムラのミライ 代表理事)