1.鉄則その1~なぜを封印する~
親子の毎日のイライラ感染拡大防止策あります
新型コロナウイルス予防のために、お子さんは休校、親はテレワークあるいは一時休業ということで両方が家にいる時間が大幅に増えているご家庭は多いに違いありません。
普段でも十分にコミュニケーションできているとは言い難いのに、四六時中顔を突き合わせていると、互いに気持ちがささくれ立って、つい声を荒げたり、余計なことを言って言い合いになったり、口を開けばお小言ばかりなど、コミュニケーションが荒れてくるのは自然と言えば自然です。
とはいえ、そういうことが続くと互いにストレスが高まり、結果としてお子さんのやる気を奪ったり、イライラを増したり、元気を削いだりということが起こってきます。
これではいけないと、折に触れては反省するものの、また同じことを繰り返してしまい、ますますストレスが溜まってきている方もいることでしょう。
親子のストレスコミュニケーションの悪循環を断つ
では、そういう悪循環を断つためにいったいどうしたらいいのでしょうか。
これからシリーズでご紹介するのは、そんな悪循環を断つ手法です。
この手法は、コミュニケーションの改善が必要な様々な場面で、私たちムラのミライやその仲間たちによって幾度となく使われてきて、すでに効果が実証されているものです。
ですから、理論や理屈はともかく、まずは試しにやってみてください。
鉄則その1:子どもへの「なぜ?」を封印
親は質問してるつもりでも、子どもにとっては〇〇されてる
今日のこと、昨日のこと、ちょっと思いだしてみてください。
こんな「なぜ?」を子どもに使いませんでしたか?
①「今朝、なぜ勉強しなかったの?毎日やることになっていたでしょう?」
②「どうして使ったらすぐに片付けないんだ?また任天堂スイッチ、出しっぱなしじゃないかっ!」
親にしてみれば、子どもに聞いているつもり(質問しているつもり)かもしれませんが、
言われた子どもにしてみれば…。
①は、親に問い詰められています(詰問されてます)。
②は、親に小言を言われている以外の何ものでもありません。
「なぜ、まだ○○してないの?」不毛なパターンの繰り返しを防ぐたった一つのこと
また思い出してみてください。
①に対して帰ってくる子どもの答えはどうだったでしょうか?
例えばこんな12歳の男の子K君とお母さんとのやりとり。
K君「だって、今朝は朝ごはんが遅かったんだもん。それに眠かったし」。
母「それはあなたが遅くまで起きたからでしょう。YouTubeばかり見てないで早く寝なさいって何度も言ったのに聞かないから、こんなことになるんじゃないっ!」
K君「お姉ちゃんだって見てたのに、どうして僕ばっかり怒るの」
母親「私は、怒ってるんじゃないの、ただお母さんは、心配なだけなの。ただでさえこの頃成績が落ちてのに、この休みの間にもっと遅れたらどうするの。他の子はがんばってるのに」
K君「…」
こう言われたらK君は黙り込むしかありません。
この時のK君の気持ちを察してみてください。
「今朝なんで〇〇しなかったの?」の○○を、「勉強」、「片づけ」などなどに置き換えて不毛なやり取りを毎日毎日、何度も何度も繰り返す…。
この負のサイクルを防ぐ方法は、とってもシンプルにただひとつのことをするだけ。
「なぜ質問」をやめることです。
「なぜ?」が引き金になる言い訳
次に②の続きです。
今度は14歳のAちゃんとお母さんのやりとりをみてみましょう。
Aちゃん「Mちゃんにメールしてから片付けようと思ってたら、YちゃんからLINEが入ってきて、そのうちお昼になっちゃたんだもん」
母「あなたはすぐ言い訳ばっかりで、お母さんイヤになっちゃう。言い訳はいいからさっさと片づけなさいっ!」
実は「イヤになっちゃう」のはお母さんでなくて、Aちゃんの方です。
子どもが「自分でもよくなかったかなあ」と思っている行為に対して、「なぜ?」と聞かれたら、私たちは誰でも、とっさに言い訳してしまうように出来ているのです。
それなのに、「言い訳ばっかりでダメだ」と言われる。
実は、このやりとり、Aちゃんはお父さんに「言い訳を言わされた」のです。
イマスグ封印「なぜ/どうして〇〇しなかったの?(過去形)?」
このへんにしておきましょう。
とにかく最初に肝に銘じることです。
子どもに「なぜ」と聞かないと。
とりわけ、すでに起こってしまったことに対して「なぜ〇〇しなかったの?」と。
あるいは、「どうして〇〇しないの」と。
2. 鉄則その2~もとめられない助言、提案を控える~
「〇〇したら?」という押しつけ
またちょっと思い出してみてください。
一番最近、子どもに次のような「〇〇したら?」と言ったのはいつだったでしょうか?
「もっと早く起きて、ケンタ(犬の名前)を散歩に連れったらどう。そしたら一日のリズムができるから」
「勉強わからないんだったら、インターネットのオンライン塾に入会する?〇〇さんもやってるらしいよ」
こう親から言われた子どもは、内心では「そんなのわかってるよ」とか「余計なお世話よ。そんなことじゃないのよ、私の問題は」と思いながら、不承不承、うなずくしかありません。
それで実際に生活にリズムが出たり、勉強がわかるようになったりすればいいのですが、さてどうでしょうか。はなはだ疑わしいのではないでしょうか。
子どものとき、自分の親から言われた「なぜ?」&「〇〇したら?」
思い起こしてみてください。
あなたが子どものとき、頼みもしない助言や提案を親からされて、素直に受け入れたことがどれだけあったでしょうか?
反発するのはまだいいほうで、従うふりをするだけで、結局、時間とエネルギーの無駄に終わったばかりか、親に対する「ウザい感情」が増したのではないでしょうか。
それは「なぜ質問」も同じです。
あなたが子どもの頃、親に言われて全然心地よくなったはずの問いかけを、今度は自分が子どもに対してしているのではないでしょうか。
最初の一歩は、この2つを肝に銘じて子どもに臨むことだけです。
話しとしては単純ですが、実際にやってみると、恐ろしく難しいはずです。
ではどうしたらいいのでしょうか。