2018年11月20日火曜日

住民主体の地域づくりを生むコミュニケーション、基本の基本

わが自治体も、地域づくり、地域おこしに取り組もう!
市民との協働で・・・地域資源を活かして・・・と、がんばって開いた住民参加型ワークショップ。
いろいろなアイデアが出た挙句「あとは事務局に」と言われて、逆に役所の仕事が増えてるんですけど・・・なんてことも、あるとかないとか。

「この行政依存、何とかしたいよね」
・・・でも、いったい依存させているのは誰?どうすれば、その構造から抜け出せる?

コミュニケーションという観点から考えてみるために、以前にムラのミライがインドネシアで実施した研修での一コマをご紹介します。

2016年3月、インドネシアのロンボク島で研修が開かれました。
主催したのは、インドネシアのファシリテーター・ネットワーク。
以前にJICAプロジェクトを通じてメタファシリテーションを学び、インドネシア各地で実践しているマスターファシリテーター達が6年ぶりに大集合し、フォローアップを兼ねた指導者養成研修を自ら企画・実施したのでした。
講師はメタファシリテーションの生みの親=和田信明。研修参加者は、NGOや国際機関・行政など様々な組織で、あるいは独立コンサルタントとして、コミュニティ開発に携わるインドネシアのファシリテーターたちです。


初日、各自の近況をシェアした後、講師から参加者へのこんな質問から研修がスタートしました。
 

講師  村人が「定期的に貯蓄なんてできない。ビンボーだから」と言ってきた。何て答える?
参加者 「なぜですか?」
講師  ちがう!
参加者 「いちばんお金のかかる生活必需品は何ですか?」
講師  ちがーう!
参加者 「今日は何を買いましたか?」
講師  うーん、悪くないけど・・・ちがう!
・・・
参加者 「ビンボーって、どういう意味?」
講師  その通り!これ、6年前に教えたぞー。覚えてるか?
参加者一同 (異口同音に)ハイ、覚えてます!
講師  ウソついてるだろ!
(一同爆笑)

以前のプロジェクトを通じて既に和田からイジめられ・・・いえ鍛えられてきた参加者たち。ぐりぐりとイジめられるのが楽しくて仕方がない様子(笑)


講師  じゃあ、続き。「ビンボーって、どういう意味?」って聞いたら、相手が「お金が足りないってことよ」と答えた。次に何て質問する?
参加者 「いくら足りないの?」
講師  そう。こう聞くと、答えられないことが多い。で、たとえばこう言ったりする。「精米機が必要なんだけど、お金がなくて買えないのよ」。そしたら、何て聞く?
参加者 「収穫期はいつ?」
講師  ちがう。
参加者 「どこで精米するの?」
講師  ちがう。
参加者 「(その精米機は)いくらするの?」
講師  そう。知らなければ、それは単なる願望。知っていたなら次に「○○ルピア足りないって、どうやって(いつ)わかったの?」と、さらに聞いていくことができる。

講師  この場面で、ファシリテーターの担うべき役割は何だ?
参加者 情報を橋渡しすること。
参加者 精米機が必要かどうかをふりかえらせること。
参加者 リアリティを見ること。
参加者 相手に考えさせること。
講師 その通り。質問を重ねていくことで、相手を考えさせる。相手が「そういえば・・・」と考え始めた時、物事のイニシアティブは相手のものとなる。考えさせることができず、こちらから答えを提供してしまったら、相手はずっとイニシアティブをこちらに求めてしまうことになる。依存関係ができてしまう。

その後も、次々と参加者に質問をつきつける和田。果敢に答えようとする参加者。

いみじくも、”ファシリテーターの役割は、相手に考えさせること”という原則通り、研修は展開していったのでした。



宮下和佳 ムラのミライ専務理事)

ティータイムに「次はどうやってあいつらイジめようかな…」とほくそ笑む講師


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