2017年2月21日火曜日

1月の暖かい風とメタファシリテーション①


8時のとある空港の出口。冷房の効いた空港建物を一歩出ると、なま暖かい南国の風が頬をなで、ふと下を見ると、私のスーツケースの脇をゆったりと子猫がすり抜けていきました。到着した人、出迎える人などの騒がしい話し声などお構いなしに気持ちよさそうに眠る犬、そこはかとなく漂ってくる甘いような辛いような食べ物の臭い。とても初めて訪れた国とは思えないお馴染み[1]の空気感と気温28度の心地良さ。メタファシリテーション講座のお仕事で、やってきたのはカンボジア王国首都プノンペン。


気温0度の冷たい風が顔に突き刺さる早朝の京都を発ったのはわずか12時間前のことですが、すでに遠い昔のことに思えてきます。「寒くない」喜びを噛みしめながら、空港から市内に向かうタクシーに乗りました。


プノンペンでの3日間のメタファシリテーション基礎講座の参加者は、在カンボジアNGO日本人ネットワーク(以下略JNNC)加盟団体のNGO職員15(クメール人9名・日本人6)です[2]。プノンペンやシェムリアップで定期的に開かれるJNNCのミーティングで挙がった「コミュニケーションスキルの不足がプロジェクト推進の課題となっている。一度、ムラのミライの和田信明氏によるメタファシリテーション基礎講座を受講してみたい」というリクエストが始まりでした。


和田だけの講師派遣かと思いきや「アシスタントも同時派遣可」と言われ、我先にと手を挙げました。それに「研修アシスタント」というのも一見気楽そうです。実際に「原は気楽にしていた」という言う参加者も多いでしょう。しかし「ここからは君がワークショップをやりなさい」といつふられるのか全くわからないのが和田のアシスタント。気楽で脳天気そうな私の外見からは想像するのは難しいでしょうが、どんなタイミングでもすぐにワークショップができるよう、常に集中して「自分ならどう進めるか」と3日間、神経を張り詰めていたのです。さらに、カンボジアでは、午前7時半から午後5時半(途中に2時間の昼休み)というのが一般的な就業時間で、毎日朝が早かったので、眠ってしまわないよう、いつも以上に神経を集中させて目を開けていなければなりませんでした。


1日目にメタファシリテーション基礎を教室で学び、2日目に集落を歩いて、参加者が村人に事実質問でインタビューを実践し、3日目にまとめ、という3日間の講座です。


さて1日目、参加者全員の自己紹介の後、講座が始まりました。「事実質問とそうでない質問の見分け方」「事実質問はどういうときに使うのか」「事実だけで聞いてゆく方法」についての講義と演習を繰り返しました。

2日目は、プノンペンからバスで1時間半ほどの郊外にある集落で、事実質問や集落を観察する練習です。集落を歩き始める前に、和田が参加者に聞きました。
 
「最初に訪れた村でやることは何ですか?」

読者の皆さんも一緒に考えてみてください。
 次の質問は「村で生きるために必須のものは何でしょう?」です。

和田の答えは次の通りでした。

「最も大事なのは土と水という資源です。水と土の管理に関する『今』『昔』を知ることです。もうひとつ、村人に話を聞く前に必ず『なぜ』この村に来たのか、自己紹介をするのを忘れずにしてください。謙虚な姿勢で『自分が知らないこと』『知っているつもりになっていること』を聞いてみてください。カンボジアだけでなくて、どこの国でも『村のリアリティ』を理解する第一歩がこれです。」



 和田の話を聞きながら、この「当たり前の第一歩」を自然に踏み出し、事実だけで何時間でも質問をつなげてゆけるようになるまでに、いったい何百回、何千回と「援助する側の上から目線」で村を訪れ、村人の話を聞いたつもりになっていたことか、と我が身を振り返りました。



私も集落を歩く参加者について回ったのですが、この「当たり前」のことは、なかなか出来ない様子でした。「いつもはどうですか」「他の皆さんはどうですか」「今月の収入はいくらですか」と聞いてしまう人ばかりで、なかなかその人・その村の具体的な話は浮かび上がってきません。何度も参加者に頼まれてもいない助言をしたくなり、自分で村人にインタビューしたくなったのですが、この日はまず参加者11人が「事実質問だけで聞いてみる」という練習でしたので、黙って見ていました。


最終日、和田が参加者にかけた言葉とは…次週へ続く~





[1] 筆者(原康子)は長年のインド・ネパールに暮らしと夏の国ばかりでの短期の仕事のせいで、気温3040度の南国慣れはしていますが、16年ぶりに体験する毎日10度以下という京都の冬にはなかなか馴染めず、すっかり震え上がっています。
[2] JICAカンボジア事務所 NGO-JICAジャパンデスク「2016 年度 NGO 等活動支援事業」というスキームで実施されました。



原 康子 ムラノミライ認定メタファシリテーション講師)




読み切り形式でどこからでも読める、対話型ファシリテーションの入門本。
対話型ファシリテーションの手ほどき」 (700円+税 2015年12月発行)


2時間で理論と実践方法学べる1,000円セミナー
メタファシリテーション入門セミナー」 (各地で開催)

2017年2月14日火曜日

私の入門セミナー体験記



今回は私が初めてメタファシリテーション入門セミナー(兵庫県西宮市)に参加した時の話をしたいと思います。



それは昨年の4月のこと…火曜日の夜ということもあり、私のほかにいた3人全員が学生でした。



大学の講義でちょうど「良いファシリテーターとは」という話を聞いたばかりの私は、

「まあ他の学生の子達よりファシリテーションについて知っているやろ~」

なんて思っていました。



しかしセミナーが始まるとすぐに大学の内容とは全然違うこと気づきました。

大学の講義は「ワークショップ等において、いかに全員から平等に意見を聞きだすか」という内容でした。

それに対し、メタファシリテーションは(皆さんもご存知かと思いますが、)

『なぜ』を使わずに事実だけを聞き出し、相手自身に自覚させる手法です。





セミナーの具体的な内容は皆さんにも是非参加していただきたいので控えさせていただきますが、

二人組みになって「治したい習慣」についてメタファシリテーションを練習していきました。

私の相手悩みは『朝なかなか起きられない』でした。



そこで私は、

「今日は何時に起きましたか?」「昨日は何時でしたか?」…

と質問をしていきました。


『なぜ』を使わずに使わずに…とひたすら頭の中で考えて質問していた私は、質問と質問につながりがなく、かつ次の質問を考えるのに必死で相手の返答をよくよく聞いていませんでした。

当然、質問にも詰まり、自分が聞きたかったことは何だったのだろう…と困っている時、宮下さんが助け舟をだしてくれました。



「朝が起きられないことに対して何か対策をしたことがありますか?」



なるほど。このようにきくことで、「そもそも相手が本当にその習慣を治したいと思っているのか」ということを確認できるのか…

頭をフルに動かしながら、入門セミナーは終わりました。






さて話は元に戻りますが、先ほど話した私が大学で習ったファシリテーションとムラのミライのメタファシリテーション、違うものに見えますが実は共通している点もあります。




それは、「自分の意見・考えを相手に押し付けない」ということです。



全員から平等に意見を聞き出すファシリテーターが自分の意見を言ってしまうと、議論に偏りが生じてしまいます。
メタファシリテーションを行うにあたっても、

「○○だからじゃない~?」「きっと××だからだよ!」

と自分の意見を言ってしまうと、

相手は「あぁ、そうなのかもしれない…。」と思い込んでしまいます。




とは言っても、入門セミナーの練習の時もついつい「多分○○なんでしょうね~。」等と自分の思い込みを言ってしまいそうになりました。

相手の思い込みを解消するにはまず自分の思い込みを解消する必要があるな…と感じました。



皆さんも新生活のスタートと共にメタファシリテーションを習得してみませんか?




(ムラのミライ 関西事務所インターン  吉崎日菜子



読み切り形式でどこからでも読める、対話型ファシリテーションの入門本。
対話型ファシリテーションの手ほどき」 (700円+税 2015年12月発行)


2時間で理論と実践方法学べる1,000円セミナー
メタファシリテーション入門セミナー」 (各地で開催) 


本気で実践スキルを身につけたい方へ:フォローアップつき・丸1日の本格講座

メタファシリテーション基礎講座」 (各地で開催) 

2017年2月7日火曜日

進路に悩める友人にかける言葉


こんにちは。一週間後はバレンタインデーですね。自分用に高級チョコを買おうか悩んでいるインターンの吉崎です。

さて、久しぶりに『クイズで学ぶ対話型ファシリテーション』シリーズをお送りしたいと思います。



今回のお題は…『悩んでいる友人に対するメタファシリテーション』
はい、バレンタインが近いからといって、恋愛に関するクイズではありません。


【問題】あなたの友人Aさんは最近これから自分がどのような進路を進めばいいのか悩んでいるようです。

友人A「う~ん。自分がこれから何をしたいのか全然分からないんだよねー…。」

あなた「」



さて、そんな友人Aにあなたは何と返すべきなのでしょうか?

     「そっかー、なんでなの?」

     「そっかー、最近そう感じたのはいつなの?」

     「そっかー、いろんなことに興味があるからじゃない?」











【解答・解説】答えは………②です! 
3つの選択肢の中で事実質問をしているのは②だけです。 
①は「なんで?」と訊いてしまっていますね。相手の感情・意見・思い込みを引きだしてしまう可能性のある『なんで』はメタファシリテーションを行ううえで禁句ワードです。③は聞き手自身の思い込みが入っているので、こちらも事実を訊くことが出来ないでしょう。

②のようにきけば、そこから「どこ」で「何」をしてそう感じたのか等から進路について悩んでいる原因を探ることができるでしょう。また、その悩みを感じた「一番最近」を訊く代わりに悩みだした「最初」の時点を聞きだすことも出来るでしょう

もう気がつけば、2月に入りもう2ヶ月もしないうちに新年度が始まります。新たな道に進む方も少なくないでしょう。自分の進むべき道に悩んでいる方はぜひ自分自身にメタファシリテーションをおこない、本当に進みたいと思う道を進んでください。




(ムラのミライ 関西事務所インターン  吉崎日菜子



読み切り形式でどこからでも読める、対話型ファシリテーションの入門本。
対話型ファシリテーションの手ほどき」 (700円+税 2015年12月発行)


2時間で理論と実践方法学べる1,000円セミナー
メタファシリテーション入門セミナー」 (各地で開催) 


本気で実践スキルを身につけたい方へ:フォローアップつき・丸1日の本格講座

メタファシリテーション基礎講座」 (各地で開催)