2014年6月10日火曜日

「いつも」では聞けない本当の「いつも」

今回は日常会話によく登場する「いつも」という言葉について考えます。
関西事務所のある神戸には、九州や四国など様々な地方からたくさん人が集まってきます。私もその一人ですし、皆さんの周りにもけっこう多いはずです。

大学生である私は、一人暮らしの話になると決まってこう聞かれます。
「…じゃあ、いつも自炊しているの?」
そして私はたいていの場合、
「そうですね、いつも自分で作っています」と返します。
一見すると他愛のないこのやり取り。皆さんも一度はしたことがあるでしょう。
しかし、実はここに大きな食い違いが生じてしまっているのです。

先ほどの例に似た質問を挙げてみます。
    「あなたは何を料理するのが好きですか」
    「あなたは昨日の晩、何を作りましたか」
どちらも先ほどの例と同じく、ごくごく普通に聞かれるものです。
まず、①の質問は「好み、感覚、感情(feeling)」を聞く質問。
そして②の質問は「事実(fact)」を聞く質問です。

それでは先ほどの「いつも自炊しているの?」という質問はどうでしょうか。
「事実」を聞いているように思われがちですが、
実は、これは「思い込み、考え、意見(perception)」を聞く質問なのです。
先ほど「いつも自炊する」と答えた私ですが、昨晩は大学の食堂で済ませたため実際に料理はしていません。このように、自分では「事実」を聞いたつもりでも、相手には「思い込み」を尋ねてしまっているのです。

日常で使いがちになる、この「思い込み」を聞く質問。
「いつも自炊しているの?」と聞くのではなく、
「昨晩は自分で作ったの?」「お昼は?」「じゃあ、一昨日の晩は?」という具合に事実質問に置き換えてみましょう。そこで初めて、その人の「いつも」がわかるはずです。

とはいえ、事実質問で質問攻めにしてしまうと、相手は尋問されているように感じるかもしれません。コミュニケーションはあくまで相互のやり取り。矢継ぎ早に質問するのではなく、相手の話に耳を傾けることも忘れないようにしましょう。


(2014年度インターン 山下)