2015年6月16日火曜日

学びのプロセスを「学ぶ」ことこそメタファシリテーションの神髄

この2回、新企画「産地直送シリーズ」として、駐在員の實方さん(5/26)池崎さん(6/9)の記事を掲載しました。二つの記事について、「途上国の人々との話し方」の著者の一人である中田さんより公開フィードバックをいただきました。読者のみなさんにも学びのある内容ではないでしょうか。(ブログ担当 東田全央)

-----
實方さんの記事を読むと、現場で学びを深めていることがよくわかり、頼もしい限りです。言葉はとかく一般化されがちなので、「あれ?」と思ったら、よりかみ砕いて聞いて行くという態度と質問術を身に付けることは、メタファシリテーションの神髄とも言えます。

では、實方さんの学びの経過をさらに知りたく質問するとしたら、この記事の内容に関してどういう事実質問が可能でしょうか。皆さんも一緒に考えてみて下さい。私であれば、この記事に対してまず次のように質問するでしょう。

私「『先日』とありますが、この村でのやり取りはだいたいいつ頃のことでしたか?」
實方「○月○日頃です」
私「では、前川さんが村人と研修のことでやり取りしているのに同席したのは、いつでしたか?」
實方「正確にはわかりませんが、○月頃だと思います。」

もし、その時期がずいぶん前であったら、私としては、その間にもいろいろと学んだり、使ったりする場があったのではないかと考え、そのことを知りたいと思うに違いありません。たぶんそれは私だけではないはずです。逆に實方さんからすれば、読者のそのへんの反応を先読みして、それぞれの時期を記事中に示し、その間の経緯をひとことでいいので書いておくと、読者に対してよりダイナミックに学びのプロセスが伝わるはずです。

そのことは、実は池崎さんの記事についても同じことが言えます。

今ひとつうまくいかなかったウジャールさんとの事実質問の練習と記事で池崎さんが示した分析との間に何があったのか、あの分析は自分で考えたことなのか、あるいは誰かに相談したのか、などなど、学びのプロセスについての読者の関心に応えるような記述があるともっとわかりやすいと思います。

相手の視点に立ってものを見たり考えたりするよう普段から心がけることが、ファシリテーターとしての上達の道です。ますますの精進を期待しています。

(ムラのミライ共同代表 中田豊一