2017年6月20日火曜日

「自分が好き!」が問題を解決する力になる「対話」って?

今回も息子の話なのですが、テーマは「立ち位置」と「自己肯定感」です。
「また子どもの弁当の話か〜」と思われた方、その通りです。
「もう弁当の話はいいや〜」という方は、来週の『解説』から読んでいただくとよいかもしれません。
 
「立ち位置」と「自己肯定感」。最初にお断りしますと、自分の立ち位置を明確にし、かつ相手の自己肯定感を高めるような対話を365日24時間試みていたら疲れてしまいます。私も、この手法の方法論の生みの親である夫も、そんな「対話型ファシリテーション」スイッチをいれたのは、「先週だったか、先々週だったか?」というほどです。

『お母さんもお父さんも、いつも「なんで○○したのっ!」とか「絶対ダメ!」とか、怒るばっかりだよ』と息子が証人となってくれるでしょう。

というわけで、少し前の話になりますが、私と夫が息子に対して、対話型ファシリテーションのスイッチを入れたときのお話をご紹介します。


注:夫=和田信明中田豊一途上国の人々との話し方〜国際協力メタファシリテーションの手法〜」みずのわ出版2010年の、和田信明の方が連れ合いです。「対話型ファシリテーションを使って家族の会話は毎日さぞスムーズなことでしょう!」と思われた方がおられたらそれは大間違い。「なんで〜○○できないの?」「○○はどうだった?」「だからいつも○○なんだ!」と講座では皆さんに禁止している「なぜWHY」、「どうHOW」、「いつも・みんなは・毎回」満載の日常会話です。スイッチを入れないときの会話はそんなものです。


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前号でお伝えした後も、息子が学校のお弁当の時間に、C君に邪魔されて「お弁当をちゃんと食べられない」という問題は続いています。

問題は続いていますが、だからといってお弁当を持って行くのを止めるわけにはいかず、夫が長期で出張中の現在(2017年5月)、毎朝6時に起き、月曜から金曜まで、私が毎日お弁当を作っています。

①栄養、②限られたおかず(私が作れるおかずは少ない)、③予算、④手持ちの食材、などなど総合的に考えなければ作れないのがお弁当です。1度に1つのことをするのも精一杯の私が、事前に①から④まで総合的に考え、段取りをつけておかなければ、朝の1時間でお弁当は作れません。そうやって苦労して作ったお弁当の半分以上が、毎日のように「C君の唾が飛んできた、ゴミを飛ばされた」と、ゴミ箱行きとなっています。

息子なりに精一杯やっているのは分かっています。C君の攻撃を避けられるように始めた合気道は続いていますし、唾が飛んできそうになったらお弁当のふたを素早く閉めたり、C君がトイレに行っている間に素早く食べたり。

料理が苦手な私が毎朝6時に起きて、お弁当や朝ご飯を作り、夕ご飯もがんばって作っていることも分かっている息子は、お弁当が半分以上残っている日は、本当に申し訳なさそうに帰ってきます。

頭では「こんなことで怒っても仕方ない」とわかってはいても、ごはんやおかずをごみ箱に捨てるとき、息子が食べるのを毎日邪魔するC君と、C君をきちんと注意してくれない先生たちに腹が立ってしまいます。

日本で、そして様々な世界で、ご飯を食べられない子どもたちは大勢いるのに、貴重な食べ物を捨てなくてはいけない毎日。せっかく朝6時に起きてがんばって作ったお弁当なのに、という気持ち。

我が家で使っている米と野菜は、どうやったら持続可能な資源の利用をしながら安全な食糧を作ってゆけるかを考えて農業をしている人たちのものを選んで買うようにしています。彼らが大切に育ててくれたありがたい野菜や米を、ゴミ箱に捨てなければならないのも辛い話です。私の気持ちはおかずとご飯の残ったお弁当箱を見る度に、暗くなる一方です。

 

2週間ほど、『朝、お弁当を作る・夕方、中身を半分以上ゴミ箱に捨てる』という日が続きました。「もうこれ以上、お弁当を捨てたくない。」と私が切り出し、夫(スカイプ)と息子と3人で何か解決策はないかと話し合いました。

私「もうお弁当を毎日ゴミ箱に捨てたくない、どうしようか?」
息子「C君に邪魔されないようがんばってるけど、唾とかゴミとか飛ばされたお弁当は家に持って帰っても食べたくないよ。」
夫「合気道の技を使って、避けられるようにはもう少しかかるだろうし、しばらくは仕方ないかな。」

私「捨てるためにおかずを作る、なんてもったいない。せめておにぎりだけ持っていくことにしようか?」
夫「それもいいね、おにぎりなら1個ずつラップに包んでいけば、唾を飛ばされてもラップに入っているから、食べきれなくて残したら家で食べられるね。」
私「ああ、そうしよう。お弁当はおにぎりだけにしよう!」

息子「ええっ、毎日おにぎりだけ?!」
夫「ラップがゴミになるけど、ごはんとおかずを毎回捨てるよりいいね。この際、おかずもラップに包んでいけばいいんじゃない?サンドイッチの時も1つずつラップに包んで持って行けばいいよ。だったら毎日おにぎりじゃないよ」
私(心の声)「え〜、やっぱりおかずも作らないとダメか。毎日おにぎりの中身だけ変えれば楽かな、と思ったのに〜。」

息子「でも、いちいちラップをはがしながら、お弁当を食べるのは面倒くさいよ。ゴミもいっぱいでるよ。」
私「ラップがあればC君に唾やゴミをかけられても、家で食べられるから食べ物は捨てなくて済むよ。」

息子「やっぱり、ごはんもおかずも全部ラップというのはちょっとイヤだな。」
私「ラップのゴミはいっぱいでるけど、ごはんやおかずやパンを捨てるよりましだよ。もうお弁当箱はやめて、ラップで包んでいこうよ。」

息子「ちょっと待って。ボクのお弁当箱って大きいのが1つだよね。その中におかずもご飯も入っているし、サンドイッチもおにぎりも1つのお弁当箱に入れてるよね。だから唾やゴミを飛ばされたら、そのお弁当全部が食べられなくなってるんだよね。だったら、小さなお弁当箱にしたらどうだろう?1つの小さな容器におかずは1つだけ。食べる時に小さな容器を1つだけ開けて、食べ終わったら、次の容器を開ける。そうしたら唾を飛ばされても容器にかかるだけでしょう?邪魔されて食べられなかったら、残して家に帰ってから食べるよ。」

夫&私「それは名案だね!おかずで1つ、おにぎりで1つと、小さな容器に入れていけば、ラップのゴミも出ないね。」


というわけで早速、これまで使っていたお弁当箱を止めて、翌日から小さな容器を3つ持って行った息子。一日目は、完食。翌日はC君に邪魔されて食べられなかった容器はありましたが、唾もゴミもかけられなかったので家で容器を開けて食べていました。相変わらずC君に邪魔されて、お弁当を全部食べられない日は続いていますが、ゴミ箱におかずやご飯を捨てなくてもよくなりました。


***

ここまで、一体どの部分で「対話型ファシリテーション」を利用して会話していのかよくわからないかもしれません。

扇風機の風量「弱・中・強」のうち、「弱」くらいですが「対話型ファシリテーション」スイッチは入っています。


詳しい解説は、来週お伝えします!

原 康子 ムラのミライ認定トレーナー)




 →読み切り形式でどこからでも読める、対話型ファシリテーションの入門本。 





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