前号、息子との対話の中でメタファシリテーションを使った筆者。
一体、どこにメタファシリテーションが発揮されていたのでしょうか?
今週はいよいよ詳しい解説をお伝えします。
***
まず、ここで問題になっているのは次の2つです。
①前号に引き続き「C君にお弁当を食べるのを邪魔される」問題
②「唾やゴミをかけられたお弁当のごはんやおかず半分以上をごみ箱に捨て続けなければならない」問題
ひとまず「私が毎日お弁当を作らなければいけないという問題」「私が作ることが出来るおかずの種類が少ない問題」「味はイマイチかもしれない」という問題は脇に置いておきましょう。上の①と②の問題に対して、私と夫は、息子に対して、2つの「対話型ファシリテーション」スイッチを入れていました。
≪解説その①「立ち位置」というスイッチ≫
対話型ファシリテーションのことを、私は「支援しない支援」とも言っているのですが、それには『支援する側にある人の「立ち位置」が問われていますよ』という意味が込められています。対話型ファシリテーションは、いわゆる「支援する側にある人(親、医療、福祉、教育、NPOに関わる人など)」が、「上から目線」ではなく、働きかける相手との対等な関係を築くことを可能にする技術でもあるのです。
この話の登場人物3人(私、息子、夫)は、上の2つの問題を「困っている人=息子」、「支援する人=親(私・夫)」という捉え方をしていません。3人が自分の問題として「一緒に解決策を探したい」と対話を始めています。3人とも、①②の問題は「自分ごと」として捉えています。
「その問題解決を通じて一体何を達成したいのか?」という働きかける側のゴールがないままに、「相手に気づきを促そう」とか、「支援しなければ」という気持ちでいると、必ず「支援される人」と「支援する人」に分かれてしまい、対等な関係はつくれません。
ご紹介した会話では、問題①も②も3人の問題として解決策を探しています。特に②に関しては、私や夫のほうが「捨てたくない」という気持ちが息子よりも強いのが事実です。「一緒に納得する最善の解決策を探そう、まずは出来ることから」という私と夫の立ち位置は、①の問題に息子だけが1人で立ち向かっているのではない、というメッセージとして息子に自然と伝わります。
≪解説その②「息子の自己肯定感」を高めるスイッチ≫
息子は前回の合気道しかり、今回の小さな容器のお弁当箱しかり、自分で考えた解決策を実行に移しています。相変わらず①の解決策は見つけられていませんが、次善(ベター)の解決策を自分なりに見つけ、それを親が評価しています。また親は、実現に向けた後方支援をし(小さな容器に弁当を詰める、合気道の月謝を払う等)、息子は「自分で考えた」ことを実行しています。
自分で考えたことを実行し、その成果(合気道なら10回に1回はC君のパンチを避けられた、小さな容器にしてゴミ箱に残りご飯やおかずを捨てずに済んだ)も感じています。この繰り返しが生み出すものは?そう、それが「自己肯定感」です。
相手に「自ら気づいて、自ら行動変化を起こす」よう働きかけることができるのが対話型ファシリテーションですが、そのためには、相手に「自分は大切な存在だ」「自分は価値ある存在だ」と信じてもらえるような対話を続ける必要があります。「自分で見つけたことは、使う!」 と言われるように、「自分で見つける」ことで、「自己を肯定するプラスの感情」が問題解決への行動へと人を動かします。
注:「自分で見つけたことは、使う!」=講座では「聞いたことは ① 、見たことは ② 、やってみたことは ③ 、 ④ したことは、使う。」というクイズをご紹介しています。(答:①忘れる、②覚えている、③分かる、④発見)
息子を知っている人は、何度も聞かせされる彼の自慢話にうんざりしているかもしれません。自己肯定感が低かった私の子ども時代とは対照的に、彼は自己肯定感が高い子どもに育っています。この自己肯定感が、自ら問題を解決してゆこうという原動力になります。
この彼の高い自己肯定感の秘密は、私と夫による息子への意識的な働き掛けもありますが、それとは別に「インド」というキーワードがあります。
今「自分は(自分の子どもは)自己肯定感が低い」と思っている方も、「インド」に特に関心のない方も、対話を通じて、意外と簡単に自己肯定感は高めてゆくことが出来ます。それでは、次号のお楽しみに。
(原 康子 ムラのミライ認定トレーナー)
→読み切り形式でどこからでも読める、対話型ファシリテーションの入門本。
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一体、どこにメタファシリテーションが発揮されていたのでしょうか?
今週はいよいよ詳しい解説をお伝えします。
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まず、ここで問題になっているのは次の2つです。
①前号に引き続き「C君にお弁当を食べるのを邪魔される」問題
②「唾やゴミをかけられたお弁当のごはんやおかず半分以上をごみ箱に捨て続けなければならない」問題
ひとまず「私が毎日お弁当を作らなければいけないという問題」「私が作ることが出来るおかずの種類が少ない問題」「味はイマイチかもしれない」という問題は脇に置いておきましょう。上の①と②の問題に対して、私と夫は、息子に対して、2つの「対話型ファシリテーション」スイッチを入れていました。
≪解説その①「立ち位置」というスイッチ≫
対話型ファシリテーションのことを、私は「支援しない支援」とも言っているのですが、それには『支援する側にある人の「立ち位置」が問われていますよ』という意味が込められています。対話型ファシリテーションは、いわゆる「支援する側にある人(親、医療、福祉、教育、NPOに関わる人など)」が、「上から目線」ではなく、働きかける相手との対等な関係を築くことを可能にする技術でもあるのです。
この話の登場人物3人(私、息子、夫)は、上の2つの問題を「困っている人=息子」、「支援する人=親(私・夫)」という捉え方をしていません。3人が自分の問題として「一緒に解決策を探したい」と対話を始めています。3人とも、①②の問題は「自分ごと」として捉えています。
「その問題解決を通じて一体何を達成したいのか?」という働きかける側のゴールがないままに、「相手に気づきを促そう」とか、「支援しなければ」という気持ちでいると、必ず「支援される人」と「支援する人」に分かれてしまい、対等な関係はつくれません。
ご紹介した会話では、問題①も②も3人の問題として解決策を探しています。特に②に関しては、私や夫のほうが「捨てたくない」という気持ちが息子よりも強いのが事実です。「一緒に納得する最善の解決策を探そう、まずは出来ることから」という私と夫の立ち位置は、①の問題に息子だけが1人で立ち向かっているのではない、というメッセージとして息子に自然と伝わります。
≪解説その②「息子の自己肯定感」を高めるスイッチ≫
息子は前回の合気道しかり、今回の小さな容器のお弁当箱しかり、自分で考えた解決策を実行に移しています。相変わらず①の解決策は見つけられていませんが、次善(ベター)の解決策を自分なりに見つけ、それを親が評価しています。また親は、実現に向けた後方支援をし(小さな容器に弁当を詰める、合気道の月謝を払う等)、息子は「自分で考えた」ことを実行しています。
自分で考えたことを実行し、その成果(合気道なら10回に1回はC君のパンチを避けられた、小さな容器にしてゴミ箱に残りご飯やおかずを捨てずに済んだ)も感じています。この繰り返しが生み出すものは?そう、それが「自己肯定感」です。
相手に「自ら気づいて、自ら行動変化を起こす」よう働きかけることができるのが対話型ファシリテーションですが、そのためには、相手に「自分は大切な存在だ」「自分は価値ある存在だ」と信じてもらえるような対話を続ける必要があります。「自分で見つけたことは、使う!」 と言われるように、「自分で見つける」ことで、「自己を肯定するプラスの感情」が問題解決への行動へと人を動かします。
注:「自分で見つけたことは、使う!」=講座では「聞いたことは ① 、見たことは ② 、やってみたことは ③ 、 ④ したことは、使う。」というクイズをご紹介しています。(答:①忘れる、②覚えている、③分かる、④発見)
息子を知っている人は、何度も聞かせされる彼の自慢話にうんざりしているかもしれません。自己肯定感が低かった私の子ども時代とは対照的に、彼は自己肯定感が高い子どもに育っています。この自己肯定感が、自ら問題を解決してゆこうという原動力になります。
この彼の高い自己肯定感の秘密は、私と夫による息子への意識的な働き掛けもありますが、それとは別に「インド」というキーワードがあります。
今「自分は(自分の子どもは)自己肯定感が低い」と思っている方も、「インド」に特に関心のない方も、対話を通じて、意外と簡単に自己肯定感は高めてゆくことが出来ます。それでは、次号のお楽しみに。
(原 康子 ムラのミライ認定トレーナー)
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