2017年9月19日火曜日

絶賛勉強中!初めてのメタファシリテーション~目からウロコの基本のき その2「尊重」~

こんにちは。
投稿2回目の菊地です。今回もセネガルよりお届けします。

最初の投稿にも書きましたが、私はまだまだメタファシリテーション初心者中の初心者です。そんな私が、メタファシリテーションの生みの親である、和田さんや中田さんのお側で見聞きし、これはヒントになる!と思った「基本のき」をまた一つご紹介したいと思います。

前回は、セルフエスティーム(自尊心)を高めるようなエントリーポイントの選び方のお話をしました。この自尊心に関連して次のようなストーリーをお話しします。

セネガルでのモデル農家養成研修中。私は、どのような流れで研修が進むのか興味がありました。

私が知っている研修、特に他のNGOなどが主催している研修には、もちろん「流れ」がありました。事前にきちんと原稿を作り、一字一句話す内容が決まっていました。あるいはパワーポイントやレジュメが用意されていました。

しかし、このセネガルでの研修では、どのように進むのかを私は事前に知らされていませんでした。それもそのはず、和田さんも中田さんも、流れを知らなかったのです!

さて、お二人とも流れを持っていないセネガルの研修はどうなったでしょうか。
ある村での研修の様子です。

まずは、農業をする前提として、自分たちの村のどこに、どれくらいの水があるのかを確認するため、村の地図を作成した農民たち。地図の説明をしながら、
農民「この井戸はすでに干上がっています。」
和田「(最年長の村人に)何年に掘られたか覚えていますか?」
村人2「1980年くらいかな」
和田「では、一番新しい井戸は?」
村人1「2016年に掘られました。でもすでに塩化しているので飲めません」
和田「その前に掘られた井戸は?」
村人1「2015年に掘られました。この井戸もすでにしょっぱくなっています。」

会話の終わりに「もうこれは病気のようなものです」と和田さんが言うと、村人たちは苦笑。
しかしこの後、どういう現象で井戸水が塩化するのか、水が土に浸透するメカニズムや土壌の性質変化の過程など(これらの説明はちゃんと用意しています。)の関係で説明していくと、村人たちの顔は真剣になっていくのでした。

極めつけに和田さんが「このままでは10年か20年でこの村はなくなってしまうでしょう。行動を起こすかどうかはあなたたち次第です。」と言うと、それまでの話によってスイッチの入った村人たちは、まだ何も言われないのに、さっそく対策について自ら議論を始めます。それを忍耐強く見守る和田さんなのでした。














お分かりでしょうか。ここまで来たらしめたものです。
ここがメタファシリテーションのミソとも言えるのではないでしょうか。

つまり、相手が話しやすいこと、相手が自ら関わったり、帰属しているもの、あるいは知っていることについて聞き、セルフエスティームを持ち上げた後に、少しの情報・テクニックを加えることで、スイッチが入ったように相手の主体性ややる気を引き出すという方法。それがまさに、メタファシリテーションの技術の基本なのでしょう。

研修生たちは、自分たち自らが対策について話し合っているように思っていたでしょうが、ここまでの流れをうまく作ったのは、実はファシリテーターだったのです。あるいは、話し手の流れにうまく乗ったとも言えるのでしょうか。

セネガルでの研修は、こうして無事に成功し、シメシメと思われた和田さん、中田さんだったでしょう。けれど、この「流れ」を持ち込まないという方法が成功するかどうかは、本番一度きりではなく、それまでに積み重ねられた練習と技術の賜物でしょう。

メタファシリテーションの使い手になるにはまだまだと、実感する私なのでした。

(セネガル事務所 菊地綾乃


★プロジェクトについて
プロジェクト名:地域資源の循環による農村コミュニティ生計向上プロジェクト~農村青年層のための「ファーマーズ・スクール」
JICA草の根技術協力事業(パートナー型)

セネガルの農家を応援してください!募金キャンペーン実施中
http://muranomirai.org/2017bokin













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