2017年9月12日火曜日

「私って本当に、ダメダメお母さん?」メタファシリテーションで自分の課題を整理する(後編)

さて、前回の質問の続きです。(前編はこちらから)
あなたが子育てや仕事がうまくいかず「私、何をやってもダメダメで…。」と思い込んでいる時、それぞれの質問に何と答えるでしょうか?
【質問】
1.え?何でそう思うの?
2.どうしたの?何でも話聞くよ。
3.最近、子育てのことで誰かに何か言われたの?
実は、1、2の質問は、子育てに自信を失っていた私へ、実際に問いかけられた質問です。それぞれの質問に私は、こうリアクションしました。

1.「だって、赤ちゃんの体重も増えないし、寝かしつけもできないし…。」と、ダメダメエピソード(だと思い込んでいる話)を始めた。

2.「ありがとうございます。えっと色々悩みはあるんですけど…。最近、人と話す機会がなくてコミュニケーション能力が低くなっていて。」と、頭の中が未整理で何から話せばいいか分からなくなった。

みなさんにもこのような経験はあるでしょうか?
自信をなくし、頭の中も未整理の状態で、「何で」と理由を尋ねられても、「何でも話して」と抽象的に尋ねられても、答えるのにとてもエネルギーがいりました。
結果、「何が悩みか」の検証もできず、さらに悩みを深めることになりました。
そこで、3番のような質問を自分自身に問いかけてみました。さて、これは、何を聞く質問でしょうか?
    事実
    意見
    感情

答えは、①事実です。もちろん相手が元気な時なら1,2の質問で問題ありませんが、メタファシリテーションでは、本当に悩んでいる相手の助けになりたいとき、相手の本音を引き出したいなら、相手が答えやすい「事実質問」(When、Who、Where、What)を用いて、過去の経験を思い出させ共通理解を積んでいきます。


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その日、私はママ友と別れ、帰宅後に自分の悩みを事実質問で分析してみました。少し長文ですので、時間がない方は【分析】を読み飛ばしてくださいね。

【分析:「本当に私はダメダメお母さん?」】(ファシリテーターとしての質問→回答)
・最近、子育てのことで誰かに何か言われたの?→先月、健診の時に保健師に「体重なかなか増えていないようですね」と言われた
・他には何を言われたか?→「体重は月単位の増え方を見るから、毎日測らなくてもいい」と言われたが、不安で毎日測っていた
・誰かにその悩みを話したか?→母親に話したら、私や兄弟も赤ちゃんのころ、同じような発育で体重がなかなか増えなかったが、その後の発育は問題なかったと聞いた
・他には、子育てのことを誰かに指摘されたことは?
→電車に乗るとき、急な雨でおばあさんに「そんな小さな赤ちゃんを雨にぬらして」と言われた。他にもあったし、自分でも「ダメダメお母さん」と思うことがある。
・最近いつ「ダメダメお母さん」と思ったのか?
→家にいるとき、時間をもて余して、スマホ検索したとき、寝かしつけに時間がかかる時
・スマホ検索では何を調べていたか
→『赤ちゃん 遊び方 楽しい』とか『赤ちゃん 寝かしつけ 攻略法』など
・赤ちゃんとの遊び方について、誰かに相談したことはありますか?
→ママ友に相談したら、「え?保育士の経験があるかと思うくらい上手だよ。」と言われたことがある
・寝かしつけのことは?誰かに相談した?
→家族や保健師に相談したが、悩みは晴れなかった
・その他に相談できるところを知っているか?
→行政の子育て相談窓口、NPOや企業の子育て悩みサポート窓口もあるみたいだけど使ったことがない
・他に、例えば体重が増えない悩みの時は誰に相談したか?
→体重のことはあまり同じような悩みのある人がいなかった。寝かしつけはママ友にも同じような状況の人がいて、お互いに情報交換をしている。来月からベビーサークルの回数も増えるので他のママ友にも相談できる


















ここまで事実質問をしてみて、私は以下のことに気が付きました。
【当時の悩み→気づいたこと】
       「ダメダメお母さん」→誰も私のことを「ダメダメお母さん」とは言っていない
       赤ちゃんの体重が増えない→不安で赤ちゃんの体重計測を毎日することで、逆に悩みの種を増やしていた。
       寝かしつけがうまくできない→ママ友以外の相談窓口については知らない
       どうやって遊んだらいいか分からない→ママ友に褒められるぐらい上手
       赤ちゃんを連れまわせないから、誰とも会えない、人と話したい→来月からベビーサークルの回数が増え、ママ友と話す機会が増える


このように「ダメダメお母さん」という思い込みに気が付き、課題を整理できたのは以下3つのことが大きかったと思います。
    ママ友と話したことで、自己肯定感をあげることができ課題解決に向かうエネルギーをもらえたこと
    メタファシリテーションによって自己認知のゆがみに気付くことができた
    さらに、遊びが上手と褒められた成功体験や気軽に相談できる友人などの社会的資源を思い出し自尊心を取り戻せた


















この記事を書く前、ムラのミライの講師に「よくそんな時期に自分の力でメタファシリテーションができたね。」と言われ、よくよく振り返ってみるとママ友との会話が大きなきっかけになっていたことを思い出しました。改めて「成功は、自分のおかげ」にしてしまうものだなと振り返りの大切さを感じました。

(ムラのミライ 理事 山岡美翔


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