「私、本を読むのが遅いんです。」
6月23日、西宮で開催された「メタファシリテーション基礎講座」にて。
昼食後、改めたい習慣について3人1組のグループで交互に聞いていった。1人が聞き手、1人は話し手、そしてもう1人はオブザーバー兼タイムキーパーだ。その際のルールは以下の2点。
1. 事実質問だけを用いること
2.聞き手は提案をしないこと
私、インターン生の野片は上記の悩みを打ち明けた。
この時、聞き手だった方は最近読んだ本を起点に、遡って聞いてくださった。
何を読んだのか、いつ読んだのか、どれくらい時間がかかったのか。
私がケータイでコラムやNAVERなどのまとめ記事を読むときはあまり時間がかかっていないことが突き詰められた。
やり取りを見ていた、ムラのミライ専務理事の宮下さんは1つ私にこう尋ねた。
「今までに本を読むのが遅くて何か困ったことや、人に迷惑を掛けたことはあった?」
私は自分の経験を思い返した。迷惑を掛けたことは無い。けれどもより早ければそれだけ良いと思うのだ。遅くて嫌なんです――とだけ、答えた。
すると宮下さんは私にこう問われた。
「他の誰かを見て、この人読むの早いな、すごいなと思ったことはありますか?」
この質問がトリガーとなって、心当たりのある光景が浮かんできた。
そうだ。あれは天気の良い昼下がりに、学校のテラスで本を読んでいた友達と話をした時のことだ。
「友達が何を読んでいたか覚えてる?」
宮下さんは続けざまに聞かれた。
友達が読んでいたのは、確か、卒業論文関係の小難しい本。話をした前日に、市立図書館へ一緒に赴き、彼女が借りていた本。たった一晩で、その本の半分を読み上げたことを彼女は私に伝えてくれた。それだけ夢中になったのだと。
それを話すことで、気がついた。問題は、本を読むスピード云々よりもむしろ、卒業論文に根ざしているのだと。私の卒業論文は、テーマも決まらず停滞中で、焦りや卒論を書き始めることすら出来ない閉塞感にうんざりしていた。彼女のように熱中して、そして早く情報収集ができたらいいのに、と感じたのだ。
「本を読むのが遅いんです」
これは問題のように聞こえて問題ではない。
宮下さんはまず、「遅い」とは何か、反対に私が理想とする「早い」とは何か、を細分化し明確にしてくださった。
次に、「本」はどのような本を指すのかについて、事実質問の中で明らかにされた。私の場合は「卒業論文関係の本」だ。
もし私が同じ悩みを友達に相談されたら、何と答えただろう。
それだけ丁寧に読んでるってことじゃない?――と、相手を否定しない様な当たり障りのないことを言っただろうか。
図書館で読んだら、すごく集中できたよ!――など、私の経験を元にしたアドバイスをしただろうか。
真剣に悩んでいる相手に、こちらの主観に基づく提案は全く響かない。必要なのは、事実質問を重ねていくことだ。相手の理想とは何か、それに対する現実は何か、細かく細かく聞いていくことだ。次から次に口から出そうになる提案を飲み込むのは難しい。事実質問をマスターした時はきっと、辛抱強い人間になっているのだろうな、と思った。一日でも早く近づけるように頑張ろう、と思った。
(野片真美 ムラのミライ インターン)
→読み切り形式でどこからでも読める、メタファシリテーションの入門本。
→2時間で理論と実践方法が学べるメタファシリテーション1,000円セミナー
→本気でメタファシリテーションの実践スキルを身につけたい方へ:フォローアップつき・丸1日の本格講座
6月23日、西宮で開催された「メタファシリテーション基礎講座」にて。
昼食後、改めたい習慣について3人1組のグループで交互に聞いていった。1人が聞き手、1人は話し手、そしてもう1人はオブザーバー兼タイムキーパーだ。その際のルールは以下の2点。
1. 事実質問だけを用いること
2.聞き手は提案をしないこと
私、インターン生の野片は上記の悩みを打ち明けた。
この時、聞き手だった方は最近読んだ本を起点に、遡って聞いてくださった。
何を読んだのか、いつ読んだのか、どれくらい時間がかかったのか。
私がケータイでコラムやNAVERなどのまとめ記事を読むときはあまり時間がかかっていないことが突き詰められた。
やり取りを見ていた、ムラのミライ専務理事の宮下さんは1つ私にこう尋ねた。
「今までに本を読むのが遅くて何か困ったことや、人に迷惑を掛けたことはあった?」
私は自分の経験を思い返した。迷惑を掛けたことは無い。けれどもより早ければそれだけ良いと思うのだ。遅くて嫌なんです――とだけ、答えた。
すると宮下さんは私にこう問われた。
「他の誰かを見て、この人読むの早いな、すごいなと思ったことはありますか?」
この質問がトリガーとなって、心当たりのある光景が浮かんできた。
そうだ。あれは天気の良い昼下がりに、学校のテラスで本を読んでいた友達と話をした時のことだ。
「友達が何を読んでいたか覚えてる?」
宮下さんは続けざまに聞かれた。
友達が読んでいたのは、確か、卒業論文関係の小難しい本。話をした前日に、市立図書館へ一緒に赴き、彼女が借りていた本。たった一晩で、その本の半分を読み上げたことを彼女は私に伝えてくれた。それだけ夢中になったのだと。
それを話すことで、気がついた。問題は、本を読むスピード云々よりもむしろ、卒業論文に根ざしているのだと。私の卒業論文は、テーマも決まらず停滞中で、焦りや卒論を書き始めることすら出来ない閉塞感にうんざりしていた。彼女のように熱中して、そして早く情報収集ができたらいいのに、と感じたのだ。
「本を読むのが遅いんです」
これは問題のように聞こえて問題ではない。
宮下さんはまず、「遅い」とは何か、反対に私が理想とする「早い」とは何か、を細分化し明確にしてくださった。
次に、「本」はどのような本を指すのかについて、事実質問の中で明らかにされた。私の場合は「卒業論文関係の本」だ。
もし私が同じ悩みを友達に相談されたら、何と答えただろう。
それだけ丁寧に読んでるってことじゃない?――と、相手を否定しない様な当たり障りのないことを言っただろうか。
図書館で読んだら、すごく集中できたよ!――など、私の経験を元にしたアドバイスをしただろうか。
真剣に悩んでいる相手に、こちらの主観に基づく提案は全く響かない。必要なのは、事実質問を重ねていくことだ。相手の理想とは何か、それに対する現実は何か、細かく細かく聞いていくことだ。次から次に口から出そうになる提案を飲み込むのは難しい。事実質問をマスターした時はきっと、辛抱強い人間になっているのだろうな、と思った。一日でも早く近づけるように頑張ろう、と思った。
(野片真美 ムラのミライ インターン)
→読み切り形式でどこからでも読める、メタファシリテーションの入門本。
→2時間で理論と実践方法が学べるメタファシリテーション1,000円セミナー
→本気でメタファシリテーションの実践スキルを身につけたい方へ:フォローアップつき・丸1日の本格講座