2019年3月12日火曜日

村のミーティングをファシリテーション!?新人NGOワーカーの苦闘@農村開発プロジェクト その3

やっぱり読み返すだけでも、あの頃の冷や汗がよみがえってくる苦い経験ですが、インターンの笠見さんが「私ならばこう返す」と考えてくれました。
さすが、事務所で事実質問のツッコミを(たぶん)日々受けている効果がありますね。

まぁそもそも、質問自体がほぼ「なぜ」質問なのがダメなのですが、聞いてしまったらその後で、事実質問に置き換えていくしかありません。(それができていなかった当時の自分)

「Rural Development」というとても抽象的な言葉を理由として挙げてきた場合、聞くのはただ一つ。
「地図を作って、Rural Developmentが実現した村を、あなたはご存知ですか?」

笠見さんのパターン2に近いですね。
でも、ここは「習った」ことを聞くよりも「それを実行した/実現した」ことに関するAさんの経験を聞く方が、本人の思い込みを解くには効果的でしょう。
なぜならば、習った=知識であって、それについて詳しく聞いていってもふわふわと空中戦に突入する恐れの方が大きいです。

また、彼の村自体がまだRural Developmentを成し遂げていない(だから、そのために地図を描くと言っている)ため、彼自身はそれを経験したことが無いのはすでに分かっています。
そうすると、「Rural Developmentのための地図づくり」という、耳心地は抜群ですが、曖昧模糊とした目的のための単なるお絵かきは避けられるでしょう。
「何のために」をクリアにする

また、ここから更に「これまでに地図を作ったことはありますか?(Yesと言われて)その時は何の地図を作って、作った後にどのように使いましたか?」と質問を続けていきます。
そうやって過去の経験を分析していく事で、今回の「地図を作りたい」というアイデアについても、「これから何をしていくのか、そのために地図には何を書き込まなければならないか」ということがクリアになっていくのです。

実際に、和田さんやラマラジュさんによる研修が再開した時も、こうした地図の話になり、「色々と調べてきたけれど、山の上から麓までの全体図が分かるようにしなければ、今の川や森の状況も分かりづらい」からと、「山から田畑までの全体図を視覚化するための地図を描く」という事になったのでした。



そうしてメビウスの輪の問答から脱出し、一度地図を作ってみた村人たちは、やがて平面図では高低差や遠近が分かりにくいということを発見し、最終的には粘土でミニチュアを作り、それを基に植林や土壌保全活動を始めたのでした。


(前川香子 ムラのミライ海外事業チーフ)



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