2019年4月4日木曜日

地震から事実質問へ ―ネパール・スタディツアー参加レポート


 中国の実家で地震を体感したことがなかった私は、昨年の9月に留学先の札幌で初めて地震を経験しました。安全のために何をするべきかがわからなくて、ただ家で揺れが終わるのを待って、近の避難所へ行きました。今までも当時の怖さをきっちりと覚えています。その後、次回の安全のために、耐震や危機対策に興味を持っています。
 今回、ネパール・スタディーツアーに参加して、首都のカトマンズへ行きました。
1日目に街やタルバール広場で壊された建物、2日目はバスネット村(※註1)で建設中の家をたくさん見て、「ネパールの地震」(※註2)について気になったので、詳しく聞こうと決めました。そして「ネパールの地震」について、34日目にウッタルバヒニやデシェ村でインタビューする前に事実質問を準備しました。

修復作業中のダルバール広場(カトマンズ)

 一番聞きたかったのは地震が発生した時の事実です。だから、最初に「どこにいましたか」と聞こうと思いました。簡単な質問から始まると、記憶を呼び出しやすいし、順調に進めば、「どこ」と聞くと、「誰といました」、「何をしました」、「何を見ました」、「何を感じました」を思い出して答えもらえると思いましたに、地震が発生した時に何を一番気にしたを知りたかったので、揺れがおさまった何をしたのかを聞いて、答えから分析したいと思いました。

【デシェ村のMさんの話】
私「地震が起こった時、どこにいましたか?」
Mさん「畑にいました。」
私「その後、家に帰りましたか?」
Mさん「はい、携帯で家族と連絡が取れなくて、家にいた息子のことが心配でした。」

【ウッタルバヒニのSさんの話】
私「地震が起こった時、どこにいましたか?」
Sさん「妹の家にいました。地震が起こったので外に逃げましたが、もう一度妹の家に戻り、家族の入院費や、ビザを申し込む書類を取りに行きました。」

これらの話から、地震が起こった時に一番心配したのは家族の安全と貴重品だとわかりました。また、地震への備えがなかったのではないかと気づきました。なぜなのか知りたかったので、次に「どこかで地震に関する知識を教えてもらうことがありましたか」と聞いてみました。

【デシェ村のMさんの話】
私「どこかで地震に関する知識を教えてもらうことがありましたか?」
Mさん「いいえ、教えてもらったことはなかったです。」

【ウッタルバヒニのRさんの話】
私「どこかで地震に関する知識を教えてもらうことがありましたか?」
Rさん「私の夫は、前に学校で勉強した地震対策を教えてくれました。家の中では重いものを下に、軽いものを上に置くように言っていました。でも、私はフォローしていなかったんです。」

デシェのMさんへのインタビューからは、学校で教えてもらえたのかどうかはわからなかったですが、Rさんの答えから、地震対策を教えている学校があることがわかりました。
地震を経験した今は、何か準備しているのかを聞いてみたくて、ウッタルバヒニの人たちに質問しました。

【ウッタルバヒニのSさんとRさんの話】
私「今、地震に備えて、何か準備をしていますか?」
Sさん「家族と丈夫な新築マンションへ引っ越しました。」
Rさん「重いものを下に、軽いものを上に置くようにしました。」

 デシェでは直接「地震に備えて、何か準備していますか?」とは聞かなかったのですが、「地震で屋根が壊れてしまって、トタンを支援してもらったんです。今でもそのトタン屋根を使っています」という話から分析すると、壊れた家の建て直しも終わっていなくて、次に地震が起こった時の対策にも十分に取り組めていないのではないかと考えられます。

レンガ造りの家

 今回は簡単な事実質問をして、答えから分析することの楽しみを感じました!
 最初に訪れたバスネット村では、「思い込み質問」(例えば:「ネパールの子供達は何歳から小学校へ行きますか」という一般化した質問)をたくさん使ってしまい、会話が進みにくいことに気づきました。
 でも、次に行ったウッタルバヒニ事実(その人の経験)を聞くと、インタビューされた村の人たちからどんどん話してくれるようになりました。地震が起こった時のことを教えてもらえたし、地震が次に来た時のための準備の必要性も認識しました!
 また、ウッタルバヒニでのインタビューで得られた情報を使って、次のデシェで質問すると、どんどん面白くなりました。例えば、ウッタルバヒニで、地震が起こった後に家には戻らずに、一時的に安全な場所へ避難していたと聞きました。地震の後は避難したかもしれないという情報がすでにあったので、次のデシェ村では「どこで、誰と、どのぐらいの間に住みましたか」といった質問を出せました。もし、もっと時間があれば、村の人から見ると、地震が起こった時に政府のどんな支援を得られたのかをもっと知りたかったです!
(蔡一諾 スタディツアー参加者)


註1:バスネット村、ウッタルバヒニ、デシェ:ムラのミライが2012年から2017年まで実施していたプロジェクトで一緒に活動した村の名前。スタディツアーでは、2日目にバスネット村、3日目にウッタルバヒニ、4日目にデシェ村を訪問し、話を聞かせてもらいました。

註2:2015年4月、5月に発生した地震のこと。

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