2019年9月26日木曜日

地域で助け合う、子育ての輪_第5話_1.5kmの助け合いの輪を実現する「地域子育てサポーター養成講座」

【記録】1.5kmの助け合いの輪を実現する「地域子育てサポーター養成講座」(プロジェクトの記録 第5話)

In 608プロジェクト通信 西宮「地域で助け合う、子育ての輪」 by master2019年9月26日

「西宮で広げる、地域で助け合う 子育ての輪プロジェクト」の記録

第5話(2019年9月26日号)1.5kmの助け合いの輪を実現する「地域子育てサポーター養成講座」

執筆=山岡美翔 ムラのミライ理事

今年の夏は猛暑となりましたが、みなさんお変わりなかったでしょうか。ようやくクーラーをつけなくても快適な気温になり、子ども園からの帰り道で、娘と小さな秋を探すのが楽しみです。
ア・リトルとムラのミライは、第4話でご紹介した子育て実態調査の結果から得られた学びを2019年度の活動に反映させました。それは自宅から半径1.5キロ圏内のつながりを作ってゆけるような仕組みを生み出す講座や取り組みです。
例えば、産前産後のカップルを対象にしたパートナーシップ講座、そして地域子育てサポーター養成連続講座、そしてその両方の講座参加者をつなぐ「ファミリースタート」という産前・産後の方のご家庭を訪問する活動です。

目次

子育て中の「SOS」を受け止められる人を増やすために
地域子育てサポーターとは、「助けて」と言える人
「一日、一つ助けてもらう練習」
「助けて」と言う練習が、「向き合う」余裕に繋がる
1.5kmの助け合いの輪を実現する知識と技術が詰まった講座
産後の実態とサポートの使い方
家事・子育ては家族だけでは、何とかならない
妊娠から、出産、子育てを伴走するために
頑張りすぎない暮らしは、今の暮らしにもとづくケアプランづくりから
自分のことは後回しになるからこそ、わたしの暮らしに寄り添う人を増やしたい
受講生のこれから
*2018年度プレ講座の詳しい内容はこちらから
*2019年7月講座の詳しい実施報告はこちらから
*2020年2月に実施する地域子育てサポーター養成講座へのお申し込みはこちらから

子育て中の「SOS」を受け止められる人を増やすために

2018年度の調査で得た子育て中の「助けて」の声を受け止め、具体的に産前産後の家庭をサポートできる人材を養成したいと、2018年度から「地域子育てサポーター養成講座」を試験的に始めました。
8回連続講座として実施したプレ講座に、地域活動に興味がある方のほか、家族や友人の力になりたい方、ご自身のために産前産後に関わる知識を深めたい方など延べ138名が参加しました。

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地域子育てサポーターとは、「助けて」と言える人

プレ講座では、各講座の終わりに講師と参加者で「地域子育てサポーター」とはどんな人かを考えました。
その答えに共通していたのは、地域子育てサポーターとはただ助けるだけではなく、「助けられる」ことも快く受け入れられる人であること。
なぜなら、助けられることで助けられる側の気持ちを理解でき、また自分の暮らしにも余裕が持てるからです。
そうは言っても、私は家族にすら「助けて」というのが苦手です。

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「一日、一つ助けてもらう練習」

プレ講座全8回終了後のミーティングでは、a little(ア・リトル)のようこさん、ゆうこさん、きょうこさん、原も、実は自分が助けられることにハードルを感じるという話になり、ある約束をしました。
それは、『一日、一つ誰かに助けてもらう練習』をすることです。
家族や友人にちょっとしたことでも「助けて」と言う練習をすると、助けられる成功体験を積む(時には断られてもそれが断られる練習にもなる)ことができ、本当に余裕がない時にも「助けてもらう」ハードルを下げることができます。




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「助けて」と言う練習が、「向き合う」余裕に繋がる

おかげで私は、平日はいつも私が担当していた食後のお皿洗い(自分がやらなきゃ子どもの寝る時間が遅くなる~と頑張りすぎていた)や、週末の子どもとのお出かけ(休日だから、子どもとは一緒にいなきゃ~とこれまた頑張りすぎていた)も、月に数回は家族に任せられるようになりました。
小さなことですが、この一つ一つの積み重ねが、暮らしの余裕に繋がり、近くで困っている人、友人や家族、そして自分自身と向き合う時間をつくっていることを実感しています。

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1.5Kmの助け合いの輪を実現する知識と技術が詰まった講座

2019年度は7月と2月に地域子育てサポーター養成講座を行います。
7月の4回連続講座の参加者は延べ53名。
参加者は西宮市在住の2歳のお子さんを育てている方、子育てがひと段落した方、ご自身も産後に孤独な経験をされた方などでした。


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産後の実態とサポートの使い方

昨年の調査で、『多くの人が、子育て支援サービスについて知っていても、活用していない』という実態が明らかになったことを受けて、7月の連続講座の一つに、西宮市や民間団体が提供する子育て支援サービスの活用方法と産後のケアプラン作りに特化した新しい講座を加えました。
講師は、a little(ア・リトル)で家事サポートスタッフとして家事・子育て支援経験が豊富で、昨年から地域子育てサポーター養成講座のディレクターを担当しているきょうこさんです。

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家事・子育ては家族だけでは、何とかならない

きょうこさんの講座では、子育てを『夫婦や家族だけで何とかしようとしている』実態を明らかにした調査結果の共有がありました。
私もa little(ア・リトル)のみなさんと出会うまでは、子育てや家事を家族以外の人とシェアするという発想がまるでなかったことを思い出しました。
実際、私が子育て支援として利用したことがあるのは、サークル活動や相談支援といった支援だけです。


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妊娠、出産、子育てを伴走する

介護分野ではケアプランづくりが支援の前提となる一方、子育て支援を行う際には、1人ひとりの生活に基づくケアプランがありません。私も復職してから、家族では手一杯になり、行政サービスの利用を試みたことがありますが、一回、一回の手続きが煩雑で利用を断念しました。だからこそ今年度の講座では、妊娠期から一人ひとりの状況に合わせたケアプランづくりができる人材を育成するプログラムになっています。

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頑張りすぎない暮らしは、今の暮らしにもとづくケアプランづくりから

きょうこさんの講座の最後には、スタッフが妊婦役、参加者がケアマネージャー役となり、妊娠の状況や今の暮らしを聞き、いつ、どのような外部サポートを利用すれば産後1カ月、赤ちゃんのお世話と自分の養生に集中できるかといった情報提供を行いながら、ケアプランを作成しました。

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自分のことは後回しになるからこそ、わたしの暮らしに寄り添う人を増やしたい

このケアプランづくりが、ちょうど今第二子を妊娠している私にとっては、第一子のときのように誰にも「助けて」と言えず、しんどい産後を過ごさないための情報収集を始めるきっかけになりました。そんなとき、a little(ア・リトル)のゆうこさんから「一緒に産後ケアプランづくりをしませんか」と嬉しいお誘いがありました。今の私がそうであるように、産前は、赤ちゃんがただ無事に生まれてくれればいいという思いで過ごしていて、自分のことは後回しになります。産後も子どもの生活が優先になり、自分の暮らしを振り返る時間を持つにはエネルギーがいります。
でも、もし1.5kmという身近なところに、自分の暮らしに寄り添い、一緒に頑張りすぎない暮らしを考えてくれる人がいたら。そんな人を養成できるプログラムがまずは西宮から、そしてこの通信を読んで下さっている皆さんの地域でも、広がっていくようプロジェクトを進めています。


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受講生のこれから

8月には、実地研修として連続受講者の自宅で家事サポート実地研修を実施。9月からはいよいよ産前産後から子育て中のお宅に、訪問ボランティアや家事サポートスタッフとしての活動を開始する予定です。活動の様子については、また冬頃にご報告します。


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プロジェクト通信 第1話へ
プロジェクト通信 第2話へ
プロジェクト通信 第3話へ
プロジェクト通信 第4話
プロジェクト概要へ

*2019年講座の詳しい実施報告は以下講座タイトルをクリックいただくと、a little(ア・リトル)のホームページからお読みいただけます。
1)産前産後ケアと赤ちゃんの発達講座 (森田輝・助産師)
2)シンプルな質問で身につくわかりあう対話術(山岡美翔・ムラのミライ)
3)産前産後の行政・民間サービスと実際の現場の様子について(坂本恭子・a little)
4)産前産後の女性の心の変化(藤澤真理・臨床心理士)
*2020年2月に実施する地域子育てサポーター養成講座へのお申し込みはこちらから