2021年3月8日月曜日

獣害対策地域リーダーの役割って?モヤモヤを事実質問で整理

ある日の某NPOオフィス。スタッフのAさんは、インターンのBさんから相談を受けていました。
Bさんは今度、ある自治体に「獣害対策地域リーダー」として赴任する予定です。先日、配属先の役場に研修に行ってきたのですが、どうもそれ以来、自分がこれから果たすべき役割についてモヤモヤし始めているので、話を聞いてほしいということでした。

【Aさんの心の声:「リーダーの役割について、部署内の共通認識がないのでは?検証してみよう】
A:(役場の中で)最初に「リーダーが必要で、こういう仕事をしてもらいたい」と話してくれたのは誰?
B:主任です。住民と町の橋渡しをしてほしいと言われました。
A:他に同じことを言われた人はいる?
B:はい。係長です。説明会の時に言われました。あまりにきれいなことを言われたので、どこかの言葉をそのまま言っているのかな?って思いました。
A:そうか~。他にも同じことを言っている人っていた?
B:聞いたのはその二人です。課長には言われませんでした。
A:なるほど、その二人から他に聞いた話はある?
B:はい。主任が「去年は雪が少なくてイノシシの被害が多かったけど、今年は雪が多いから、イノシシの数が減って被害も減ってくれるといい」と言っていました。その時、「イノシシの被害が減ったら、私の仕事なくなっちゃうのかな?」って思いました。
A:なるほど。

【Aさんの心の声:どうやら、モヤモヤの原因は部署の共通認識以前にもあるかも。よし、では方向転換して・・・】
A:主任からイノシシの被害をどうやって把握しているか、 聞いたことある?
B:はい。猟友会の人が巡回していて、住民の人から聞いたり、巡回中に見つけたら報告してもらっていると言っていました。
A:住民から直接役場に報告する仕組みがあるか聞いた?
B:聞いてないですが、見せてもらった報告は猟友会からだけでした。
【Aさんの心の声:あれ、もしかして役場は被害状況を把握できていないのでは?】
A:サルの被害もあるんだっけ?
B:はい。サルの被害は一部の人が騒いでいるだけだと言っていました。
A:主任はその人と直接話をしたか聞いた?
B:してないと言っていました。役場にも直接話が来たわけではなく、知り合いを介して「こういう情報がある」って伝わってきただけです。
A:そうか~。
B:はい。その知り合いの人が「電気柵を張ったらいいよ」とアドバイスしたら、その人が「そういうことじゃない、一度見に来て話を聞いてほしい」と言っていた・・・と言っていたそうです。
A:で、その後、役場は話を聞きに行ったかどうか聞いた?
B:行ったとは聞いていないです。
A:そうか~。サルの被害はその人だけなのかな?
B:町内全体にサルは出没していて、猟友会が巡回してると言っていました。
A:なるほど。猟友会の人が巡回始めたのって、いつからだっけ?
B:去年の8月からです。
A:そっか~、去年からか~。
B:はい・・・。
A:その前はどうやって、把握していたんだろうね?
B:わからないです・・・。おととしはほとんど被害がなかったといっていました。
A:うん。おととしはほとんど被害なかったのね・・・。
B:はい・・・。
A:(沈黙)
B:(少ししてから)・・・何も把握していないってことなんですね!把握していないから、リーダーの役割もイメージできていないんですね。
研修では事務仕事しかしていないから、被害がなかったら事務員みたいになるんじゃないかと、心配でした。私いらないんじゃないかな?って思っていたんです。
私が入ったら、まず最初に、町に被害情報が上がってくる仕組みを作ろうと思います!
モヤモヤが晴れました!

具体的な被害状況が把握できていない、ということを一つひとつ確認し、Bさんがそれを咀嚼するのを待ったAさん。その結果、Bさんは、まず被害状況を把握する、という大事な仕事の第一歩を自ら発見することができました。
そこに自分自身の役割を見出すことができて、モチベーションが上がったBさん。これからの活動が楽しみです。

(宮下和佳 ムラのミライ 専務理事

 

写真はインドのおサルさん
(本文とは無関係です)