2023年2月1日水曜日

私のメタファシリテーション活用法

メタファシリテーションを学び始めてから10年以上が経ちました。仕事や地域活動、身近な人とのコミュニケーションなど様々な場面で助けられてきましたが、中でもメタファシリテーションを学んだおかげで、家族関係が明らかによくなったというのは私にとって一番大きなことです。今回は、私がどんなふうにメタファシリテーションを取り入れて、その結果、家族関係が良くなっていったかについて1つの例をお話したいと思います。私のやり方がみなさんにも効果的なものかはわかりませんが、あくまで私個人のストーリーとしてお読みいただければと思います。

いつの時期かはっきり覚えていないのですが、学び始めて2年くらい経った頃だったでしょうか。帰りが遅いのに連絡がなく、何度携帯に電話をしても出ない夫に対してイライラしていた時のことです。1人で待っていて、不安が募り、色々な妄想が私の頭の中を忙しく駆け巡っていました。「どうして帰ってこないし、電話も出ないんだろう」から始まり、「もし何かよくないことがあったらどうしよう」「私をこんなに心配させるなんて、最低だ」「わざと連絡しないで私を困らせようとしているんじゃないか」「私への嫌がらせだ」「今回だけじゃない、そういえば前には〇〇のことで嫌な思いをさせられたんだ」と思考はどんどんエスカレートして、だんだん夫への怒りも湧いてきました。


そうした中でメタファシリテーション講座で、感情、考え、事実という現実を構成する3つの要素をまずは区別できるようになることがメタファシリテーションの第一歩であると学んだことを思い出し、今の状況を整理してみることにしました。起こっていることをメタ的に観察したのだと思います。「事実」は夫が帰ってこないということ、そして4回電話しても電話に出ないということ。その他の部分は自分が作り出した「考え」だと気づきました。「事実」と「考え」を頭の中で整理すると、いかに自分の作り出した「考え」が自分の不安や怒りを煽っていたかがわかり、それだけでだいぶ冷静になることができました。

そして、過去の同じようなケースでのやり取りを振り返ってみると、やっと夫から電話がかかってきた時に、「わざと連絡しなかったんでしょ!」など自分が作り出した「考え」をぶつけていたということに気がつきました。夫はそんな時ムッとして謝ることはありませんでした。私としては、こんなに嫌な思いをさせたのに、謝りもしないで!と心の中で思っていましたが、「考え」の部分は私が自分で作り出したもので、当然夫と共有していないので、理解できなかったのだと思います。


その後、私は不安になってきた時、怒りを感じた時などには、何が「事実」で何が「考え」かを意識し、「事実」に意識を集中するようにしました。それでも「考え」がしつこく浮かんできたら、その考えに対して、自分で事実質問をしてみたりもしました。もう1つ徹底したのが、相手とのやり取りの中で「考え」は持ち出さないということでした。最初は「考え」にどっぷり浸かりきって、あ、これは自分が作り出した考えだ!と気づくのに時間がかかったりもしていましたが、だんだんと自然にできるようになってきました。その結果、何と言っても自分が作り出す「考え」に振り回されることがなくなって本当に楽になりましたし、楽になったことで夫との関係が良くなったと感じています。

久保田絢(ムラのミライ理事/メタファシリテーション認定トレーナー)