2014年2月11日火曜日

「事実質問」って何??

1月21日に掲載した中田の事例の中で、「メタファシリテーション®(対話型ファシリテーション)とは、思い込み質問を避けて簡単な事実質問で組み立て、最後の一言は相手に言わせるべし」とありました。そもそも、事実質問とは何でしょうか?
私たちが相手に質問をするとき、「事実」、「観念/考え/意見」、「感情/情緒」のうちいずれかを尋ねようとしています。『途上国の人々との話し方』では、三つの質問例が紹介されています。


それぞれ「事実」、「考え」、「感情」のうち、何を尋ねる質問でしょうか?


① 朝ごはんは、何が好きですか?--- パンが好きです。

② 普段は、何を食べますか?--------- パンです。
③ 今朝、何を食べましたか?---------- ごはんです。

①は「感情」を、③は「事実」を聞いています。では、②は何を尋ねているでしょうか?


②は相手の事実を聞いているようですが、実際は相手の「考え」、つまり「思い込み」を聞いています。


ファシリテーターが、相手の現実や本音に迫りたいとき、自身の質問が、相手の観念や感情ではなく、「事実」を引き出す質問かを常に意識する必要があります。

対話型ファシリテーションでは、この事実を引き出す質問を「事実質問」と読んでいます。この事実質問には、主に二つの種類があります。

1)いつ、どこ、誰、何といった単純な疑問詞を使う(なぜは使わない)


2)「~したことがありますか?」と経験を尋ねたり、「~を知っていますか?」と知識を尋ねたり、「~がありますか?」と何かの有無や存在を尋ねる


さて、これらの事実質問を練習するには何をすれば良いのでしょうか?



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【「なぜ」の代わりに「いつ」と聞く】「why」には操作をする余地がある。それは意図的ではなく、聞き手の方法による。whyと聞かれれば人は考えようとするし、whenと聞かれれば人は思い出そうとする。たったそれだけのことだが、簡単な事実質問の持つ力の源泉は実はここにある。

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事実質問の練習①】家の中などにある物を目の前に置いて、どんな事実質問が可能かとにかく羅列してみる。最初は必ず「これは何ですか」次は「いつから持っているのですか」「どこで手に入れたのですか」「材料は何ですか」「使ったことはありますか」などなど、30を目指して質問を作ってみる。

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事実質問の練習法】家族、友人などにお願いしてインタビューをさせてもらう。その際も入り口としての「もの」、つまり道具、装身具などをひとつ特定して、「これは何ですか?」というような単純な質問から入り、それを入り口にさまざまな事実質問をつなげて行く。

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それでは、今回のポイントを中心に下記のトレーニングをやってみましょう。


・ 自分がしようとしている質問が、「事実」、「観念/考え/意見」、「感情/情緒」のうちいずれを尋ねようとしているのか意識する
・ 事実を聞きたい場合は、「なぜ」の代わりに「いつ」と聞く

・ 家の中である物を目の前に、30を目指して事実質問をつくってみる
・ 現場に行く前に、友人や家族に事実質問でインタビューをしてみる


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