2014年5月13日火曜日

住民組織を作らない①

今回は、インドでの事例から、村の構造物を維持管理するための自分たちの住民組織について村人たちが考えるようになったきっかけを、2回に分けてご紹介します。


うだるような暑さから一転、モンスーンの到来とともに気温も下がりつつある農村部。

自分たちの村にある構造物(※)の管理で散々なものが多くても、自分に甘く他人に厳しいのが人の常。最初から自分の村の構造物を見ても、その状態を冷静に分析できないと判断したソムニード(現ムラのミライ)は、近隣の村の構造物をパートナーの村人たちに視察に行ってもらうことに。

※例えば、灌漑に使うものから、土砂の流出を防止する石垣のようなもの、雨水を貯め、土地の保水能力を高めるもの、などなどの総称。同事業では、住民が維持管理できるインフラ設置を目指す。

ポガダヴァリ村(以下、ポ村)からの視察を一日、マーミディジョーラ村(以下、マ村)からの視察を一日、と設定し、それぞれの村から10人前後が参加した。

「ラマラジュさん(※1)、いつもと同じメンバーだと思ったら、初めて来る人たちもいますね」

「そうですねぇ。やっぱりアレですよ、キョーコさん(※2)。この前の、村全体でのミーティングで、今までのソムニードの研修やらこれからの予定やら全てを、研修を受けてきたオジサンたちがみんなとシェアしたときに、研修を受けてきていない村の人たちから色んな質問とか意見が飛び出してきたのが効いたんですよ。ほら、彼も質問をした一人ですよ。(※前号参照)」

初めて参加する人たちの中には「他所の村の構造物を見て、自分たちにとってナンか良いことあるの?」とソボクな質問をいきなりしてきたオバチャンもいて、常連参加のオジサンが「自分たちの村にはない設備もあるかもしれないし、どういう場所に貯水池やチェックダムを作ってるとか参考になるだろう?それに、建設や修理の方法も何か分かるかもしれないし。」と、やんわりと応える。

加えて、私たちからヒントを与える。

「これから見るものは、全てが成功例ではないかもしれないですよ。」

「それに、構造物の作り方とか直し方とか以外にも、村の人たちが建設前、建設中、建設後にどうやって係ったのか知っていますか?」

「構造物の設置や維持管理が上手くできていない村からも学べることは無いんですか?」

「もしも維持管理が上手く出来ているならば、どのように村の人たちが維持管理をしているんでしょうか?何か組織があるのでしょうか?あるのならば、どのように運営されているのでしょうか?」

「今も維持管理がきちんとされている村と、そうでない村の違いはどこにあると思いますか?」

私達の質問にもタジタジになって答えられないオジサン&オバチャンたちは、ただ見て作り方を教えてもらうだけでは自分達の村に活かせないことに気づき、どういう質問をしようか考え始めた。

注意書き
1 ラマラジュ;植物図鑑の研修をしてからというもの薬草に興味を持ち、トレーニングセンター敷地内にある雑草が薬草かどうか確かめるのに楽しみを覚える。
2 本名、前川香子。この通信の筆者。トレーニングセンターの雑草が薬草と分かれば、肝臓が悪くないのに肝臓病に効くという草を試食し、ハゲてないのに育毛剤になるという草を持ち帰らされる。

視察に訪れたポガダヴァリ村のオジサン&オバチャンたちの様子は、下記よりお読みいただけます。


次回は、この視察を通じて、ポガダヴァリ村の村人たちが自ら気付いた“住民組織”の重要性をご紹介します!