2014年5月20日火曜日

住民組織をつくらない②

今回は、インドでの事例から、村の構造物を維持管理するための自分たちの住民組織について村人たちが考えるようになったきっかけ、の続きです。

2つの村の構造物の視察を終え、振り返り研修の日。

9時に研修開始と言う場合、今までなら早くて10時、遅い場合には11時半にやってきていた村の人たち。ところが、マ村のメンバーたちは今回850分という最速記録を樹立。

10時近くにやって来たポ村のメンバーたちに、「時間通りに来てもらわないと困るんだよねぇ」と文句を言い、研修中もリーダーが時間を見ながら制限時間内にきちんと発表材料を整えるという、今までにないマ村の、特に常連メンバーたちの変わり様に驚く私たちとポ村のメンバー。

「それでは、視察でいろいろと見たり聞いたりしたと思うのですが、各村での良い点、悪い点は何でしたか?」

A村の貯水池はダメで、B村の石垣は良かったです。」

C村のリフト式灌漑施設はものすごく良くって、D村の貯水池は最悪でした。」

研修へ臨む姿勢は変わるものの、発表の中身は相変わらずのポ村とマ村。

そこでラマラジュと筆者でオジサンやオバチャンたちに問いかけて、自分達が4つの村で何を見て聞いてきたのか、思い出させる。

その過程でも、「委員会がないっていうのは良くないよね」というメンバーに対して、「なぜですか?委員会があるとどういう利点があるのですか?」「何の委員会が必要なんですか?」と問い続け、どれだけ村の人たちが理解しているのかを測っていく私たち。

そうして、A村やD村で利用されている構造物が何故ダメになっていたのか、B村やC村では何故良い状態で使われていたのか、ほぼ同じ時期に建設されている4つの村で、まるで正反対の結果となっている理由は何か、ポ村とマ村のメンバー達はさらに詳しく考えていった。

そして最後には、メンバーたちは、「村の全体集会を開き全員の意見を取りまとめる」「建設実行委員会を作り、特定の口座をもつ」「活動内容を明確にして全員に知らせる」「議事録、帳簿、出席簿などを管理する」「建設後には維持管理委員会を作って、毎年メンバーを入れ替える」というような、構造物を長く運用するためのポイントを、今回の視察から掴み取った。

もしも視察をせずに、「村全体で集会を開いてみんなの意見を聞きなさいよ」「建設実行委員会を作りなさいよ」「定期的な委員会を開きなさいよ」「議事録などを付けなさいよ」とソムニードから言っていれば、オジサンやオバチャンたちは「なぜそれらが必要なのか」を理解しないまま、「言われた通りにやります」という待ちの姿勢になってしまう。

けれど、オジサンやオバチャンたち自身が視察から理解できたからこそ、「まずは村の集会からきちんと実行しないと」と、今回やる気を見せた。

視察の思惑、いや目的が果たせてラマラジュとほくそ笑む筆者。

そうして、オジサンやオバチャンたちは自分達の村の委員会や組織を振り返り始めた… 続きは下記よりお読みください。