2015年1月20日火曜日

答えは過去にあり

これまで、相手の課題分析を手助けする際の手順として、
①道具を褒める・持ち物について尋ねる
②課題を整理する
③時系列で質問を組み立てる
というものをご紹介してきました。

この流れを意識して事実質問を行うことで、
相手の抱えている課題が浮かび上がってくると思います。
では、続いてその課題の解決方法の発見を手助けしていきましょう。

その際、一番簡単で有効なものが、
「類似の課題を以前に解決した経験を思い出してもらう」ことです。
課題解決のときも、課題分析のときと同様、
相手に「気付かせる」「思い出させる」ことが重要になります。

研修の際に出た例を書籍からご紹介しましょう。

受講者Cさんは、数ヶ月後にはNGOのスタッフとしてラオスに赴任することになっているのだが、ラオス語の勉強がまったくはかどらないことを自分の問題として挙げた。聞き手は、しばらく聞き込んだ後、次のようなやり取りを始めた。
「これまで他の外国語をマスターしたことはありますか?」
「英語はそこそこできます」
「学校で勉強したのですか?」
「基礎は学校ですが、会話は仕事の傍ら、独学でしました」
こう答えたところで、Cさんは「英語をやった時のように、ラオス語もやればいいのだ」と気付いたのだった。傍から見れば、実に単純なことなのだが、Cさんによれば、学生時代からずっと学んできた英語と全く新しい外国語であるラオス語を、自分の頭の中では同列に据えていなかったので、以前の経験を応用することに思いも及ばず、途方に暮れていた自分に気がついたということだった。

問題に直面した際、一生懸命考えることは大切ですが、
その答えは意外と自分が良く知っているのかもしれませんね。

しかし、誰しもが類似体験をしたことがあるとは限りません。
次号では、相手が類似の体験をしたことがなかった際の解決方法をご紹介します。

今回ご紹介したファシリテーションの技法は、
書籍『途上国の人々との話し方』で詳しく紹介しています。
まだお読みでない方は、こちらも是非ご覧ください。
また、本書籍の英語版も近日発売予定です。どうぞお楽しみに!


2014年度インターン 山下)