私はムラのミライに出会うまで、「ファシリテーション」というものに触れたことがありませんでした。人とのコミュニケーションに関する勉強なども特にしたことがなく、対話型ファシリテーション基礎講座に初めて参加したときには、それまで自分がどれだけ人の話を聴いていなかったかということに気づき、ショックを受けました。特に、9歳離れた弟とは、本当に的外れなやり取りばかりをしていました…(トホホ)。
弟「最近、一つのことに集中できない気がする。失敗を恐れて、壁に当たる前に違うことに手をつけてしまう」
私「小さい頃からそうやったもんね~。失敗するのが嫌いで、ピアノを教えた時も、間違えるとすぐ機嫌が悪くなって諦めたりしてたよね。きっと人前で恥をかくのが嫌なんやろねぇ。」
弟「えええ、そうなん…!そうなんかなぁ…?」
悩み相談を受けるたびに、こちらの思い込みで答えるだけで、解決に至らないことが多くありました。
姉という立場では、ついつい自分の方が物事を知っていると思ってしまいます。私は、弟と同じ家や学校で過ごしてきたし、彼のことも生まれたときから見てきている。なので、彼が抱えている問題の解決策くらい知っていると、無意識に思い込んでいたのでしょう。
講座を受けた後には、色々とアドバイスをしたいとはやる心を落ち着け、なるべく事実質問をすることに徹しました。
弟「最近、学校の授業が退屈や。」
私「最近って、今日の授業で退屈なものがあった?」
弟「授業じゃなくて、今日はテストやったんやけど。」
(どの教科のテストがあったのか、結果を返してもらったテストはどの教科で、何点だったかなどを確認)
私「返ってきたテスト、お父さんかお母さんに見せた?」
弟「うん。○○の点数がよくないから頑張らなあかんなって言われた。テスト前にあんまり勉強してなかったからちゃうか、とか。それに、クラス全体の点数も悪かったから、先生も怒ってたし…。」
私「○○のテストの点数がよくないって言われたんやぁ。」
弟「点数だけで人を評価してるように感じるんや。前にも…。」
このあと、他にも学校で不満に思ったできごとを話してくれました。
さて、弟が不満に感じたこと、それを解決するには、これまた長~い対話の積み重ねが必要です。
ただ、意識的に事実質問を続けることは、私自身にも変化を及ぼしたようです。
最近では、「前はお姉ちゃんに話しかけて返ってくる言葉がおもしろくなかったけど、今は“深み”があるような気がする。言葉に説得力がある。」という評価をもらいました。
いったい以前はどれだけダメダメな姉だったのか…と反省させられるコメントですが、これからも対話型ファシリテーションを練習し続けていく励みにもなりました。
(海外事業コーディネーター 近藤美沙子)