2015年7月7日火曜日

オーナーシップを育む関わりとは in スリランカ

以前(5/12)の記事でお伝えしたように、スリランカの農村で様々な障害者と出会う中で、家族以外の交流がなく家にいる当事者の存在が見えてきました。

障害当事者や家族の参加の場としては、当事者委員会、村会議、モバイル作業所などがありました。ここではモバイル作業所についてご紹介します。2009年よりA郡で開始していました。参加促進等を目的に、地元で生産と販売が可能な製品づくりが主な活動でした。週1回程度、定期的に開催されていました。


2013年後半になり、このモバイル作業所を始めたいという声が近隣のB郡からあがりました。そこで、A郡の当事者や家族等と一緒に近隣郡の当事者委員会等を訪れる出前講座を行いました。B郡でのモバイル作業所立ち上げの話し合いの段階で、次のようなやり取りがありました(抜粋)。


行政官「では、私たちの作業所の開始日はポーヤ(満月)明けの○日10時ということで。皆さん来てくださいね。」

私「(心の声:出た、「とりあえず集まる」方式…)で、その日、何をするんですか?」
行政官「・・・集まった人で何かできるでしょ、テル・マハッタヤー(「テルさん」の意)。」
おじさん・当事者「ミス(女性担当官の敬称)、それじゃ集まって時間つぶして終わりじゃないの?テー(紅茶)さえ出るんだか。」
おばさん・当事者「A郡でやっているような物を作れないかしら。紐(ココナッツ製)とか石鹸とか」
おじさん・当事者「材料、どうすんの?誰かやり方知ってんの、そもそも?A郡から毎回来てもらうわけにも行かんのだし。」
A郡家族「あたしたちも最初は製品の種類は少なかったです。誰か持ってくることができて、誰か知っているものは無いですか?それか、小額のお金を出し合ったこともあるけど・・・。」
おばさん・当事者「じゃあ、バナナの乾燥葉で作るパーピシ(足ふきマット)はどうかしら?ウチには材料ないけど」
おじさん・当事者「それだったら持って来れる」
行政官「私も持ってきます。」

このようなやり取りには系譜があります。別のC郡で同じような議論になり、日程だけ決めて、その後自然消滅したことがあったのです。その反省を踏まえ、外部者として投げかけするときに事実質問を活用する一方で、「待つ」ことを心がけようとしていました。「途上国の人々との話し方」p.87)にもあるように、活動のオーナーシップを現地の人にとってもらうためには、投げかけ方が重要だったように思います。

その後、B郡からA郡へのトレーニングツアー(B郡の自費)にもつながりました。しかし、活動がどうなっていくかはまた別の課題ですね。
ある郡からA郡への視察研修(2014年)
パッセ!(またあとで)

(ボランティア 東田全央)