2015年10月27日火曜日

講座レポート「まるで診察されているような感覚でした」


はじめまして。ムラのミライボランティアの佐野です。
大阪の大学院で「途上国の観光」について研究をしています。

来月から、とある途上国を訪れ、現地の人びとにインタビュー調査をする予定です。調査では「対話型ファシリテーション」が絶対に役に立つ!と思っていた私は、「対話型ファシリテーション基礎講座」に参加し、勉強させてもらっていました。(ムラのミライにボランティア、あるいはインターンで参加すれば、基礎講座に無料で参加することができます☆)

今回は、この「対話型ファシリテーション基礎講座」で私が見て、「面白いな」と思ったある事例を紹介したいと思います。

「対話型ファシリテーション」基礎講座、または入門セミナーでは、「対話型ファシリテーション」の理論や方法論を学んだあと、では、実際にグループを組んで、「対話型ファシリテーション」を用い、グループのメンバーが抱えている「辞めたい習慣」を解決しましょう!というふうに実践をして学ぶことができます。今回の講師、前川香子さんは、方法論を学ぶにあたり、わかりやすいたとえ話をしてくださいました。

『「対話型ファシリテーション」を行うときはWhy(なぜ)」は使わないようにします。
例えば病院の診察室で、患者さんが「お腹が痛いんです。」と言ってきても「なぜですか?」と聞き返すお医者さんはいませんよね。』
課題を発見する際に、「Why(なぜ)」を使ってはいけない理由がよくわかる、私の好きなたとえです。

さて、その日の基礎講座には、16名の方が参加されておりましたが、16人全員が「辞めたい習慣」をファシリテーターと共に話し合ったところ、実践時間が短いにも関わらず、解決までたどり着いた方が1名、おられました。

「失敗をすると、人のせいにしてしまう」という「辞めたい習慣」を持つのは、インターンで大学生のMさん。対する、「対話型ファシリテーション」を用い、Mさんの課題解決に挑むは、はるばる他地域からやってきてくださった、Kさん。

Kさん「今までの失敗事例を教えてください。」

Mさん「家で、洗濯物を置きっぱなしにしていたら、母に洗いに出すものだと勘違いされて、もう一度洗濯されてしまったんです。その服、着て行こうと思っていたのに・・・自分が出していたのが悪いのに、洗ったお母さんのせいにしてしまいました。」

Mさん「もう一つは、アルバイトでビラ配りの業務があったんですが、ビラをあまり捌けなくて。この時は、他にもビラ配りをしていたアルバイトの人たちがいいビラ配りの場所を取ってしまったからと言い訳していました。」

どちらも、Mさんは自らの行動を省みることができず、他の人に責任を押し付けて、逃げてしまったんですね。(Mさん談)
あります、あります、私もよくやります・・・。

Kさん「今までに逃げずにがんばったことはありましたか。」

Mさん「・・・大学の授業で、先生の話が全然理解できないことがあったんです!(いつもなら先生や他の人のせいにする?)でもその時は、理解できなかったところを、後で自分でインターネットを使って調べました。」

Kさん「では、この事例と、先の2つの事例、違いは何なんですかね。」

Mさんは、ふと考えて、すぐに気づいたそうです。(先の2つの事例では、服は別のものを着ればよかったし、アルバイトもそこまで自分に責任があったわけではないから、自分に害はなかったけど。けれど、授業が理解できなかったら、テストでいい点が取れなくなる!→単位落として最悪留年!!!後の事例には、自分に実害があるんだ!だから逃げずに頑張れたんだ!)と、頭の中でひらめきがあり、自己を客観的に分析し、自分の習慣を改める一歩を踏み出すことができたそうです。

Mさんはこの時のことを振り返り、
「まるで自分が診察されているような感覚でした。」
と言っていました。

何を隠そう、実際にKさんはお医者さんをされており、
お仕事で日常的に「対話型ファシリテーション」を実践されていたのです。

Kさんは今回、「医療以外の分野では、どのように人びと(Kさんの場合は患者さん)と
会話からよりよい関係を築く方法があるのか」を知るために、参加されたそうです。Kさん自身も、この基礎講座では、新鮮で興味深い学びを得られたと言っておられました。

冒頭で、私が途上国に調査をしに行くとお伝えしました。
「対話型ファシリテーション」を知らなければ、現地の人びとに
「なぜ観光客が来ずに、閑古鳥が鳴いているんだと思いますか???」とか・・・、
「なぜこんなに観光資源がないのに観光業に携わったんですか???」とか・・・!
こういったことを、絶対に聞いてしまっていたと思います。

前までは「私の調査から得るデータは正しいものとなるのだろうか?」「本当に、この調査に成果が出るのだろうか?」という不安がありましたが、今では「早く「対話型ファシリテーション」を用いて調査をし、途上国の人びとの実態を見てみたい!」と強く思うようになりました。

今回の学びを活かした、実りのある調査にしたいと思います♪そう思える基礎講座となりました。


(ムラのミライボランティア 佐野)


対話型ファシリテーション基礎講座の情報はhttp://muranomirai.org/category/trainingactive/trgjapanbasicから
(※ネパール、カトマンズでも開催予定です!)


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