名古屋の対話型ファシリテーション自主勉強会に参加して、早いもので4年経つ。
月一度の短い時間ではあるが、仲間と一緒に勉強する時間というのは事実質問を意識できる良い機会でもあり、毎回メンバーや事例、練習から新しい気づきがある。
今月、私が働いているNGOからフィリピンでおこなっている高等教育支援の現場(学校)へ出張に行ってきた。
毎回現場に行くと、いつ事実質問を使おうかとワクワクする。
生徒やスタッフに現状の聞き取り調査をする、というのが出張の目的の1つであった。
その為、事実質問を使って聞き取り調査をした。
今回はファシリテーターとして対話相手に気づきを与えたというわけではないが、事実質問をすることによって以下の3点、実践できた。
① シンプルかつ、相手が答えやすい質問をする
② 相手の答えから、質問を組み立てる
③ より詳細な情報(事実)を得る
まずは①と②について。シンプルな質問を続けて聞いて行くことは意外に容易ではない事が自分の経験からも理解できる。
私も勉強し始めた頃は、3つくらい事実質問をすると質問が全くでてこない! という状況に陥る事は多々あった。
これは普段の会話から意識して事実質問を使ったり、勉強会などで練習する事によって身についたという事に気づいた。
②についても、あらゆる答えであってもシンプルな事実質問で聞き返す事が身についていると実感した。
例えば、学校の生徒と話していた時に彼自身が「なぜこの学校に入ったのか」を聞く事にした。
松浦: どこの民族出身なの?
生徒: A島のB族出身です。
松浦: それってフィリピンのどの辺りにあるの?
生徒: M島の北東あたりにあるよ〜。 (地図を出して教えてくれた)
松浦: この辺りの人って何語を話すの?
生徒: ここと同じビサヤ語だけど、民族によって言葉が違うだ。
(Dialect(方言)という単語を使ったので、言語について聞く事にした。)
松浦: 近くに他の民族ってあるの? あればその民族で誰か知っている人いる?
生徒: 近くではないけど、あるよー、D族って名前だよ〜。 高校の同級生でそこの民族の人もいたけど、あまりその時は自分たちの民族について話す事はなかったんだ。
松浦: じゃあその同級生が彼の民族の言語を話しているのってきいたことある?
生徒A:それがないんだよね。ただ、ここ(大学)に来て同級生と自分たちの民族について話す事によって、自分たちの言語が他の民族とは違うって事に気づいた。
という具合に、15分くらいは彼の民族の話を聞いていった。
この学校に来る前は自分たちの文化については興味もなく、むしろ差別の対象になるので隠していたくらいだったが、今は非常に誇りをもっているのを感じた。
彼の家族、5人いる兄弟、農作物、野ブタの狩りの話など、楽しそうに話をしてくれた。
その後、今の学校に入る経緯などを聞くのにさほど時間もかからず、難しくはなかった。
③については、日本に帰国し同僚、支援者などにレポートをしたり、共有する必要性があった。 共有する情報は全て事実であり、私の私見が入っていない。
伝言ゲームのように伝えていった相手によって話がかわっていくのではなく、同じ情報が共有できるという事は当たり前だけど、今まで出来ない部分もあり必要だと感じた。
そして私が得た情報の中には、ほかスタッフが誰も知らなかった情報もあった。
これは特別な情報を入手したわけではなく、事実質問を繰り返した結果であると思う。
今回の出張がインドネシアでのマスターファシリテーター研修の日程とかぶってしまい、参加できたなかったのが非常に残念ではあった。
しかしながら、現場で実践する事ができ、そして勉強会での成果も感じる事ができた。
(松浦史典 ムラのミライ認定講師/NPO法人名古屋NGOセンター理事)
松浦さんが講師の「メタファシリテーション入門セミナー」開催情報はこちらから
月一度の短い時間ではあるが、仲間と一緒に勉強する時間というのは事実質問を意識できる良い機会でもあり、毎回メンバーや事例、練習から新しい気づきがある。
今月、私が働いているNGOからフィリピンでおこなっている高等教育支援の現場(学校)へ出張に行ってきた。
毎回現場に行くと、いつ事実質問を使おうかとワクワクする。
生徒やスタッフに現状の聞き取り調査をする、というのが出張の目的の1つであった。
その為、事実質問を使って聞き取り調査をした。
今回はファシリテーターとして対話相手に気づきを与えたというわけではないが、事実質問をすることによって以下の3点、実践できた。
① シンプルかつ、相手が答えやすい質問をする
② 相手の答えから、質問を組み立てる
③ より詳細な情報(事実)を得る
まずは①と②について。シンプルな質問を続けて聞いて行くことは意外に容易ではない事が自分の経験からも理解できる。
私も勉強し始めた頃は、3つくらい事実質問をすると質問が全くでてこない! という状況に陥る事は多々あった。
これは普段の会話から意識して事実質問を使ったり、勉強会などで練習する事によって身についたという事に気づいた。
②についても、あらゆる答えであってもシンプルな事実質問で聞き返す事が身についていると実感した。
例えば、学校の生徒と話していた時に彼自身が「なぜこの学校に入ったのか」を聞く事にした。
松浦: どこの民族出身なの?
生徒: A島のB族出身です。
松浦: それってフィリピンのどの辺りにあるの?
生徒: M島の北東あたりにあるよ〜。 (地図を出して教えてくれた)
松浦: この辺りの人って何語を話すの?
生徒: ここと同じビサヤ語だけど、民族によって言葉が違うだ。
(Dialect(方言)という単語を使ったので、言語について聞く事にした。)
松浦: 近くに他の民族ってあるの? あればその民族で誰か知っている人いる?
生徒: 近くではないけど、あるよー、D族って名前だよ〜。 高校の同級生でそこの民族の人もいたけど、あまりその時は自分たちの民族について話す事はなかったんだ。
松浦: じゃあその同級生が彼の民族の言語を話しているのってきいたことある?
生徒A:それがないんだよね。ただ、ここ(大学)に来て同級生と自分たちの民族について話す事によって、自分たちの言語が他の民族とは違うって事に気づいた。
という具合に、15分くらいは彼の民族の話を聞いていった。
この学校に来る前は自分たちの文化については興味もなく、むしろ差別の対象になるので隠していたくらいだったが、今は非常に誇りをもっているのを感じた。
彼の家族、5人いる兄弟、農作物、野ブタの狩りの話など、楽しそうに話をしてくれた。
その後、今の学校に入る経緯などを聞くのにさほど時間もかからず、難しくはなかった。
③については、日本に帰国し同僚、支援者などにレポートをしたり、共有する必要性があった。 共有する情報は全て事実であり、私の私見が入っていない。
伝言ゲームのように伝えていった相手によって話がかわっていくのではなく、同じ情報が共有できるという事は当たり前だけど、今まで出来ない部分もあり必要だと感じた。
そして私が得た情報の中には、ほかスタッフが誰も知らなかった情報もあった。
これは特別な情報を入手したわけではなく、事実質問を繰り返した結果であると思う。
今回の出張がインドネシアでのマスターファシリテーター研修の日程とかぶってしまい、参加できたなかったのが非常に残念ではあった。
しかしながら、現場で実践する事ができ、そして勉強会での成果も感じる事ができた。
(松浦史典 ムラのミライ認定講師/NPO法人名古屋NGOセンター理事)
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