2016年6月28日火曜日

「●●じゃない」経験を思い出してみる

10歳の子どもにも80歳のおばあちゃんにもわかるように話す。
これは、ムラのミライ流ファシリテーションの鉄則の一つ。

「この人がわかれば誰でもわかる」というボトムラインを設定し、どう伝えるとよいかを考え、相手に質問を投げかけやり取りをしていくべし、と言い換えればよいでしょうか。
「貧困」「収入向上」といった、小難しいけれど抽象的な専門用語などもってのほか、わかりやすく話せないということは、相手の理解力が足りないのではなくて、伝える側の技量不足という、なんとも厳しい指摘が隠されている鉄則です。

たとえば・・・

*「観察」とは何か?だったら、川の観察を終えたばかりの生徒に「観察に何を使ったか」というやり取りを通じて、道具だけじゃなくて五感も使って音、におい、見えたものを記憶していくことを知ってもらう (でこぼこ通信第8号「マジシャンとファシリテーター」より)
*「地図」「アクションプラン」なら、そこからわかること/わからないことを(ファシリテーターが言うのではなく)村の人たちが考え、リストアップするように…などなど。

相手に体験してもらったり、考えてもらったり、思い出してもらったり…相手の経験に引き付けることが重要なんだと学んできました。
(と、簡単に書いてますが、私やSOMNEED Nepalのスタッフたちは、まだまだサラッとはできないんですよね。)

そして最近、もう一つの方法を学びました。
それが、「●●じゃないってどういうことなのか?」を考えてもらうこと。

5月、日本に一時帰国中に、とあるセミナーでプレゼンテーションをする機会をいただきました。そのプレゼンテーションのテーマの一つが「持続可能な開発」。
でも、「持続可能」ってどういうことを指すのでしょうか?
ともすれば空中戦まっしぐらの話題、どう「10歳の子どもにも80歳のおばあちゃんにもわかるように」話をするか!?
ネパールの村のオバチャンたちや子どもの顔を思い浮かべても、いいアイデアが浮かびません。西宮のオフィスで準備をしながら、うーん、と頭を悩ませていたところ・・・

中田さんから投げかけられたのが、
「身の回りで持続可能じゃないことって?」
という質問でした。

「持続可能性とは?」では空中戦まっしぐら、抽象的なことしか思いつかなくとも、「持続可能じゃないこと」だと、自分の経験や身の回りを振り返れば、案外、地に足の着いた例が思いつくものです。

このときは、セミナーのメイン参加対象が学生であることから、学生時代~現在を振り返って
「持続可能じゃないこと」
を思い出してみました。

それは、返済が必要な奨学金。
卒業し、就職してから返済することで、その返済金は次の奨学生への奨学金に使われる・・・という仕組みですが、最近では卒業後に奨学金を返済できない人が増えているというニュースがたびたび流れていますよね。つまり、今ではその仕組みが持続可能じゃないものになってしまっているでのはないでしょうか。
かくいう私も大学入学から大学院修了までの約6年間にわたって受けていましたので、月々の返済が負担になることが多々あります。

中田さん曰く、これは、和田さんもよく使うやり方なんだそうです。
(まだ、ネパールでは実際のやりとりにお目にかかったことはありませんが・・・)
私も、次、村の人や生徒たちの前で話をする機会があれば、真似して使ってみようと思っています。


田中十紀恵 ムラのミライ 海外事業・研修事業コーディネーター/ネパール事務所)

http://muranomirai.org/trg2016bgnepal