2017年8月15日火曜日

コミュニティ開発プロジェクトの「あるある」セッティングを変える~これがホントのメタファシの力・・・かな?

今回は、「一対多」の話を書きます。

これまで、このブログに書かれてきた話は、「一対一」のインタビューに関わる話、そしてそこから発展するファシリテーションの話だったと思います。ただ、私たちは、最終的にはコミュニティー全体を相手にする(そんなことはしないよとここでツッコミを入れた読者は、このコミュニティーを、ご自分の仕事、活動に合わせて、例えばクラスとか部署とかに変換してみてください)可能性が高い。そのとき、どんな入り方をするのか、つまり「一対多」のコミュニケーションを始めるのか、その辺りからお話しします。

私の村の経験と言えば、そのほとんどが、いわゆる開発途上国の村ということになります。私が、このような開発途上国の村へ行く目的は、大体二通りに分かれます。まず、最初のパターンとして、初めての村に行く。この場合、初めてと言っても二通りあります。私が、1人、あるいは誰かとぶらりと訪れる場合。この場合は、通りがかりの村人にその場で話を聞いていくという展開が多いので、まず「一対多」の場面はありません。私も、皆さんが基礎講座で習ったとおりのアプローチをするだけです。

もう一パターンは、ムラのミライのプロジェクトではなく、どこかの(敢えてどこかということは言いませんが)プロジェクトの枠組みの中で、そのプロジェクトの対象となっている村に行く。こういうときは、たいてい村人たちは動員されていて、集会場か何かに集まって私たちプロジェクト関係者の「ご一行様」を待ち受けている、という場合が多い。例えば、この「ご一行様」の中には、行政の職員がいたり、地元のNGOの職員、特に対象となる村を担当している職員がいたりします。私の立場といえば、大体が評価を頼まれたとか、調査を頼まれたとか、モニターを頼まれたなんて場合が多い。つまり、プロジェクトをやる側にとっては、どうにか私に好印象を持って欲しいということ。集会場に着くと、ひな壇が設けてあり、プロジェクトのタイトルが書かれたバナーが掲げてあったり、で、やれやれ。これで住民主体だって???というセッティングが多い。そう、私が呼ばれるのは、いわゆる住民参加型と謳うプロジェクトが多いんだな。で、こういうセッティングがされている時点で、私のプロジェクトに対する印象は、限りなく悪くなっていく。



ところで、こういうときは、「ご一行様」の1人1人がスピーチをすることが多い。村人もご苦労な話で、これに付き合わなければいけない。こういうときに、集会場に動員されている村人たちの顔を1人1人じっくり観察していると、果たして「来賓」のスピーチ、大体がこのプロジェクトはこういう意義があって村人の積極的な協力があって素晴らしい成果が出ていて、などなど、「へ?」な話が多い、をどれだけ理解したり共感を持って聞いたりしているのかよく分かります。うんうん、ともっともらしくうなずいたりして聞いているのは、大体オジサンたち。恐らく、プロジェクトをやるに当たって作られた住民組織とやらの役員をやらされているオジサンたちでしょう。女性、じいさま、ばあさまたちは、明らかに何がどうなっているのやら、今日初めて聞きました、という顔をして聞いている。私が話しかけようと狙いを定めるのは、もちろんこういう人たちです。で、この人たちに話しかけようとするだけではなく、この人たちに話しかけること、その話しかけ方を通して、プロジェクトを実施している人たちにも、あんたたちがやってることのリアリティーはこういうことよ、ということをなるべく悟らす(大概は、見ている方は何が起こっているか理解できなくて、悟らないのですけどね、トホホ)。

では、どういうアプローチをするか?まず、私がするのは、私が話す番になったとき、セッティングをなるべく壊すこと。

何をするかって?それは次回のお楽しみ。

和田信明






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