2017年10月17日火曜日

メタファシ習得への道

入門編や基礎編の講師をさせていただくようになってから、参加者同士の事実質問の練習のやりとり、そのフィードバックを聞いていると、私が勉強し始めた時を思いだす事が何度かあった。
自分自身まだ勉強中の身ではあるが、今までどのように練習し、勉強していったのか。 ふと疑問に思って、一度まとめてみようという思いにかられたので、自問自答をしながら思い出していった。数点ポイントとなる事を思い出したので、書いてみた。

6年前、ムラのミライのインド事業地で中田さんに対話型ファシリテーション研修を受けてから、これだ!と思い、名古屋で勉強会があることを知り、その翌月20121月にJICA中部で開催した時に参加した。ちょうど中田さんも勉強会に来ていただいた時であった。 その時、インド研修以降に意識していたこと、「なぜ?」を使わない事を話した覚えがある。 自分自身がなぜを使わないこともそうだし、第三者の会話をきいていて「なぜ?」を使ったときにどのような会話になるのか、その返答が事実なのか、それとも感情か観念なのかを意識した。 メタファシリテーションを勉強している人にはあるあるネタなのかもしえないが、「なぜ?」と聞かれると、どうしてどんな聞き方をするんだ! とイラっとすることさえもあった。それだけ徹底的に意識をしたのを覚えている。 もちろんそれと同時に、なぜの代わりに、「いつ」や「どこ」を使うようにした。 また、この当時は、事実質問を使った自問自答でモノについて聞きこんでいく、という事も練習方法の1つとしていた。  

201210月より、私が勤める団体からエチオピアへ1年赴任することになり、現場で使えるチャンス!村人に気づきをあたえたる! と本来の業務以上に意気込んでいた。 そして事業地の村で初めて訪れた家での対話は今でも鮮明に覚えている失敗例だ。 ある家を訪れた時に、農機具(確か鍬だったと思う)があったので、教科書通りの「これは何ですか?」と質問してみた。 その家のお母さんは、「見ての通り鍬だがね」という答えから、話も続かず弾みもせず、意気消沈としてその場を去ったのは覚えている。 直後、師匠の中田さんにスカイプで相談すると、エントリーポイントについて思い出させていただいた。 何でもかんでも事実質問を使って聞けばいいのではなく、「エントリーポイント」を意識し、それと同時にエントリーポイントを見つけるために観察することに重点を置いた。

20137月に帰国後は、勉強会に参加し、そこで中田さんを招いてフィールドワークをして現場経験も積んでいった。 ただ、現場というのは特に設ける必要もなく、常にチャンスはあり、家族や友人、パートナーとの普段の会話でも、事実質問のスイッチが入るときがあった。 以前のブログ記事「恋は盲目」の時のように、ふとした瞬間に事実質問モードになっていたよう、振り返ると普段の生活でも事実質問を練習することに意味があったと感じる。これは気づきを与えるということのみに重点をおいておらず、どちらかというと頭の中を事実質問モードにすることにより、自然とそういった質問がでてくる癖をつける、そして質問の幅を広げる目的であった。 そういった意味では、月に1度の自主勉強会に参加し、同じ志をもった仲間と練習し合い、対話型ファシリテーションモードになる事の重要性、そして継続する意味を改めて感じた。特に2016年にエチオピア事業で数か月、現地に滞在した時に、質問の仕方の幅が増えたことを実感した。それを実感した出来事は長くなるので、また後日お伝えしたい。  ただ、感覚的に言うと、横の幅だけではなく、横も広がり縦でも考えられるようになった感覚があった。
シンプルな事実質問で気づきを与えられるのが対話型ファシリテーションでもあるが、まずは気づきを与えるための的確な事実質問を常に意識し、練習することが上達していく術なのかなと過去を振り返ると感じた。





(ムラのミライ認定トレーナー 松浦史典


読み切り形式でどこからでも読める、対話型ファシリテーションの入門本。
対話型ファシリテーションの手ほどき」 (700円+税 2015年12月発行)