2018年1月2日火曜日

バオバブの木が私たちに教えてくれることは

 セネガルの農地は広い。インドも車窓から眺めるだだっ広い水田地域は、見ていて気持ちよかったが、セネガルも広い。特に訪れたのが乾季だったし、水田は畔を設けずに米栽培をするということなので、平たい大地が地平線の彼方まで続いている。そしてその中に、奇妙な形をした木が、文字通りにょきにょきと立っている。

バオバブの木だ。

 まるで空を掴もうとするかのように枝を伸ばしているが、その枝からはもう葉が落ちているのもあれば、青々とした葉がまだ茂っているのもある。



 バオバブは、その幹の中に大量の水を貯めるらしく、雨季が終わって外(雨や土中)から水をもう得られなくなると、葉を落として休眠し、幹に貯めた水で生き延びるという。つまり、乾季にバオバブの木を見れば、その地(特に土中、地下水)に水があるのか否か、果ては何か保水対策がされているか否かの目途がつくのだ。
 そういう視点で木を見ていると、やはり集落近くにある木はまだ葉があり、農地の中の木はすっかり葉を落としている。しかしながら、移動している最中に、だだっ広い平野の先にまだ葉を茂らせているバオバブの木々が見えた。
 そこが、この事業で整備しようとしている「ファーマーズ・スクール」の農場だった。この農場は、土壌や水をどのように保全し効率よく使うのか、連作障害(同じ科の作物を同じ畑で栽培することで、何らかの理由により、次第に生育不良を起こすこと)を無くすためにはどうすればいいのか、という「食べていける農業」のショールームのような役割を果たす。実践するのは青年農家たち自身の農地で、今はまだ「食べていける農業」の考え方を学んでいる最中だが。
 実践の時まで、今はただ、ファーマーズ・スクールの農地は乾季だけれど、土にも水が蓄えられているよ、というのを見せてくれているバオバブだった。

(前川香子)

★プロジェクトについて
プロジェクト名:地域資源の循環による農村コミュニティ生計向上プロジェクト~農村青年層のための「ファーマーズ・スクール」
JICA草の根技術協力事業(パートナー型)

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http://muranomirai.org/2017bokin