2018年2月13日火曜日

忙しいと言い訳するNPO職員をやる気にさせる方法

先日、NPOを支援するサービスの立ち上げをされている方がムラのミライのオフィスを訪ねてくださいました。
サービスの説明をしてくださる前に、ムラのミライの活動や運営について色々と聞いてくださったので「関心を持ってくださっているんだな」とうれしく、あれこれとお答えしていました。
団体の概要をある程度聞かれたあと、話題はファンドレイジング(資金調達)関連のことに。NPOの資金調達を後押しするようなサービスを展開していかれる会社の方でしたので、いちばん関心のあるところなのだと思います。

Aさん(訪問してくださった方):ムラのミライさんの寄付者層はどういう方が多いんですか?
私:うーん・・・どうだろう・・・さいきん全然、寄付者の分析ができていないんですよね。
Aさん:年代とか、男女とか、だいたいどんな感じですか?
私:そうですねえ・・・古くからの支援者の方は割と60代以上の方が多くて、ここ数年で新たに支援し始めてくださっている方々は、30代~50代もいらっしゃるかな・・・いやあ、でも、ちゃんと分析していないので、あやふやです。分析しないとなあ、とは思ってるんですけどね・・・
Aさん:分析は大事ですよね。
私:はい。認定ファンドレイザーの勉強とかで、分析方法は学んだんですけど・・・
Aさん:えっ宮下さん、認定ファンドレイザーお持ちなんですか?すごいじゃないですか。
私:あー・・・資格だけ持ってて全然ちゃんとファンドレイズできていないので、あんまり言わないようにしてるんです(苦笑)ほんとお恥ずかしい・・・

言い訳する私(写真はイメージですw 記事にある場面ではありません)


メタファシリテーションは、質問することを通して、質問に答えている人が自ら状況を分析し、課題発見・解決のために動き出していくことを促すというものです。質問を組み立てる上で重要なのは、質問に答える立場に立った時、どんな質問をされたら答えやすいだろう、やる気が出るだろう、ということ。
今回、ヒアリングされる立場になったのを幸い、その間の自分の心の動きを観察してみました。上記の短いやり取り中に起こった私の心の動きを、以下、【】内に記してみます。

Aさん(訪問してくださった方):ムラのミライさんの寄付者層はどういう方が多いんですか?
私:【キター!ざっくり質問!いやでも、せっかく聞いてくださっているんだし、ちゃんと情報提供しないと・・・でも寄付者のデータを属性別に集計してみたりとか、さいきん全然してないねんなあ】うーん・・・どうだろう・・・さいきん全然、寄付者の分析ができていないんですよね。【せっかく聞いてくれてるのに、お答えできなくてごめんなさい】
Aさん:年代とか、男女とか、だいたいどんな感じですか?
私:【何とかお答えできるかなあ】そうですねえ・・・古くからの支援者の方は割と60代以上の方が多くて、ここ数年で新たに支援し始めてくださっている方々は、30代~50代もいらっしゃるかな・・・いやあ、でも、ちゃんと分析していないので、あやふやです。分析しないとなあ、とは思ってるんですけどね・・・【でも、やってない・・ホントに必要だと思ってたらやるよなあ・・・怠けてるんだよね、結局わたし】
Aさん:分析は大事ですよね。
私:はい。【そうですよ、大事だとわかってますよ私だって】認定ファンドレイザーの勉強とかで、分析方法は学んだんですけど・・・【でも時間なくて使えてないですけど。いろんな分析方法を教えてくださった講師のみなさんごめんなさい】
Aさん:えっ宮下さん、認定ファンドレイザーお持ちなんですか?すごいじゃないですか。
私:【試験勉強が妙に効率よいだけだと思うわ。せっかくの資格を役立ててへんよなあ】あー・・・資格だけ持ってて全然ちゃんとファンドレイズできていないので、あんまり言わないようにしてるんです(苦笑)ほんとお恥ずかしい・・・【ううう、つらくなってきた・・・全然なんの参考にもならへん会話でごめんなさい・・・早く次の話題にならへんかなあ】

Aさんが良かれと思って色々と聞いてくださっているのに、私ときたら勝手に自己嫌悪(怠けて支援者分析やれてないワタシ)・逆ギレ(分析は大事だってわかってるよ私だって)・言い訳(じっくり分析してる時間ないねん忙しいから)しまくった挙句、このテーマの会話自体から逃避しようとする始末。
書いていて恥ずかしくなるほどです。
この後、話題は別の方面に流れていって、面談は和やかな雰囲気のまま終えることができたのですが、自分の心の動きが面白かったので、「どう質問したら、違う展開になったかな?」と、自分で自分に質問してみることにしました。

質問する私:支援者の分析をしてみたことはありますか?
質問される私:ありますよ。けっこう前ですけど。
質問する私:いちばん最近、いつ分析したか覚えていますか?
質問される私:えーっと、ちゃんと支援者全体の集計をしてみたのは・・・私がインド駐在から戻って日本の事務所で働き始めた直後にやったのは覚えてますね・・・ということは、もうかれこれ5・6年前になりますね。【うわあ、ということは5~6年もちゃんと分析していないんやなあ。あの頃はまだフレッシュだった(遠い目)】
質問する私:どんな分析をしましたか?今もその時のデータは残っています?
質問される私:データは・・・【ああ、パソコンの〇〇というフォルダに保存してある筈】はい、ありますね。細かくは覚えてないですけど、よく印象に残っているのは、年末募金の金額の分布を集計したものです。
質問する私:へー、募金額を調べたんですか!
質問される私:【データベースを整理する前だったから大変やったなあ・・・そういえば、あの時と比べて、今はデータが整理されているからやりやすい筈】はい、募金額がいくらからいくらの方が何名・・・という風に集計したら、数名、寄付額の大きな寄付者の方がいらっしゃったんです。【〇〇さんとか、★★さんとか・・・】でもその方々に通常のお礼状以外のことは何もコミュニケーションを取っていないということがわかったので、お手紙やお礼のお電話などをしました。そしたら、何名かの方は翌年以降もご寄付くださるようになったんですよ~。【ほんと良かったなあ。でも途切れてる方もいるような気がする・・・最近やり取りしてたっけ】
質問する私:それは良かったですねえ!
質問される私:あの時に気づいてやり取りをしなければ、1回きりになってしまった方もいたかもしれませんね・・・【この5~6年の間に、継続してご支援頂ける可能性があった方を何人もそのままにしていたかも・・・】

という風になり、自分でも思いがけず、「よっしゃ、ここはひとつ、久々に支援者分析してみよう!支援者とのやり取り履歴も確認しよう!」という気になったのでした。

自分がちょっとマズいなと思ってることを聞かれると、(質問者側には責めているつもりはまったくないのに)どんどん自分で自分を責めてしまい、ツラくなる。でも「そういえば・・・」と自分の経験をちゃんと思いだしてみたら、やれていたことがわかって、ちょっと明るくなる。さらには、やってみて良かったことを自ら思いだし、今度はより良くできるんじゃないかと思い始めて「やってみようかな」という動機づけになる。
こういう「質問される側」の心の動きに、改めて気づいたのでした。

そして、これから心を入れ替えて、ファンドレイジングをがんばってみようと(やっと)思えました。
ああ、こんなことなら、もっと早く自分にメタファシリテーションしておけばよかった(笑)
今後わたしから寄付や支援の依頼をされる皆さま、「あー宮下さん、自分で自分の動機を見つけてがんばってるな」と、温かい目で見守ってください。そしてご支援よろしくお願いいたします!


(宮下和佳 ムラのミライ専務理事)


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