みなさんはもう夏休みを取られましたか?
帰省、同窓会、旅先など普段会えない人と話す機会が多くなる夏休みは、事実質問を練習するチャンス。
ついつい聞いてしまいがちな「最近どう?」を封印し、いつ、どこ、だれ、何を使って、相手の「仕事」や「学校」での一日の様子を聞いてみると、新しい発見があるかもしれません。
今回は保育士をする友人Aに園での子どもの様子を聞いてみたお話です。
私の友人Aは、保育園で幼い子どものクラスを担当しています。
ある日保護者面談があり、子どもの様子を親から聞かれて「注意力散漫なところがあります」と答えたものの、自分が言った言葉にモヤモヤが残ったそう。
その時の会話は、以下のようなものでした。
<<保育士AとBちゃんの保護者との会話>>
保護者:「うちの子に何か問題はありませんか?」
A:「そうですね、みなさん心配されてそう聞かれるんですけど…。」
保護者:「先生を困らせたり、お友達に嫌な思いをさせたりしていませんか?」
A:「全然そのようなことはありません。あえて言うなら少し注意力が散漫なところがあります。でも成長の過程ですから、大丈夫ですよ。」
保護者:「そうなんですか、確かに家でもご飯を食べるときに落ち着いていなかったりします。保育園でも注意力散漫なんですね…。」
A:「保育園では、ご飯の時は席を立つことはないですよ。お家では甘えたいのかもしれませんし、あまり気になさらないでください。」
保護者:「そうですか…保育園では、席を立たないんですね。私が気をつけるようにします…。」と保護者の方は肩を落として帰宅したそうです。
でも、Aは自分が言った「注意力散漫」という言葉で保護者を必要以上に心配させてしまったことでモヤモヤが残ったそう。
そこで、「注意力散漫」について、保育士である友人Aと自分の共通理解をもつべく、事実質問スイッチを入れました。
<<保育士Aと私との会話>>
私「注意力散漫って、そのお子さん昨日もそんなことがあったの?」
A「そうそう、昨日の午前中もオムツ替えのときに、Bちゃんはきょろきょろしてばかりいて、なかなかオムツを履き替えなかったの。」
私「そうなんだ。朝の何時くらい?」
A「登園後朝の歌を終わったあとだから、9時30分くらいかな。」
私「どこでオムツを履き替えたの?」
A「教室の隅にある更衣室だよ。」
私「どれくらいの広さ?教室には何人いた?」
A「2畳くらいの大きさかな。子どもは10人くらい。」
私「9時30分に一度におむつ替えをしたの?」
A「ええ。みんなでおむつを脱いで、トイレに座って、新しいオムツを履くの。」
私「Bちゃんは、何番目にトイレに行けたの?」
A「Bちゃんは最後だったわ。他のお友達のオムツの柄を見たり、オムツを脱ぐのを応援したりしていて、ようやく脱ぎ始めたから。」
私「そっか。小さいスペースに子どもが集まることはあるの?」
A「朝と帰りの着替えの時だけね。帰りの着替えの時もBちゃんはお友達の着替えを見ていて、いつも最後になるの。」
私「お友達の一挙手一投足が面白いのね、うちの子もお友達が近くに来るとよく観察して出遅れるの。一昨日もそんなことがあった?」
A「うん、新しいクラスになってここ2,3カ月はそんな感じだったわ。でも他の子に迷惑をかけているほどでもないのよね。」
私「そっか、Bちゃんが着替え以外に注意力散漫だったことはあった?」
A「いいえ、着替えの時だけよ。」
私「昨日は着替えの後は何やったの?」
A「お歌とお絵かき。」
私「最近、お歌をうたっているときに、Bちゃんだけ別の場所に行ってしまったり、お絵かきの時に他のことをやって、注意したことはなかった?」
A「なかったわ。机に向かうと席を外すこともないし、集中力はある子なの。そうそう、積み木も一番高く積めるの。」
私「すごいね。他には注意力が散漫になることってあった?」
A「いいえ、お外遊びの時も年上のお友達ともすごく仲良く遊べるの。違うクラスの子でもすぐ自分から話しかけるから。」
私「じゃあ着替えの時だけなんだね。」
A「そうね、着替えの時は、近くにお友達がいて気になって遅くなっているだけなのよね。」
もし、わが子が「注意力散漫」と担任の先生に言われたら、私だって気持ちが落ち込みます。
ただ、そう答えさせたのは保護者側の「何か問題はありませんか?」という質問がきっかけでした。
そこで、事実質問で詳しく保育士Aの話を聞いてみると、Bちゃんの「注意力散漫」という状況がいつ、どこで見られる行動なのかが見えてきました。
そして、Aは、Bちゃんの行動が問題というほど、問題ではなかったことに気が付きました。
このように事実質問で相手と共通理解を積み上げることが出来るようになると、ちょっとしたひと言で誰かを必要以上に傷つけたり、傷ついたりする回数はグッと減っていきます。
(山岡 美翔 ムラのミライ 理事)
帰省、同窓会、旅先など普段会えない人と話す機会が多くなる夏休みは、事実質問を練習するチャンス。
ついつい聞いてしまいがちな「最近どう?」を封印し、いつ、どこ、だれ、何を使って、相手の「仕事」や「学校」での一日の様子を聞いてみると、新しい発見があるかもしれません。
今回は保育士をする友人Aに園での子どもの様子を聞いてみたお話です。
私の友人Aは、保育園で幼い子どものクラスを担当しています。
ある日保護者面談があり、子どもの様子を親から聞かれて「注意力散漫なところがあります」と答えたものの、自分が言った言葉にモヤモヤが残ったそう。
その時の会話は、以下のようなものでした。
<<保育士AとBちゃんの保護者との会話>>
保護者:「うちの子に何か問題はありませんか?」
A:「そうですね、みなさん心配されてそう聞かれるんですけど…。」
保護者:「先生を困らせたり、お友達に嫌な思いをさせたりしていませんか?」
A:「全然そのようなことはありません。あえて言うなら少し注意力が散漫なところがあります。でも成長の過程ですから、大丈夫ですよ。」
保護者:「そうなんですか、確かに家でもご飯を食べるときに落ち着いていなかったりします。保育園でも注意力散漫なんですね…。」
A:「保育園では、ご飯の時は席を立つことはないですよ。お家では甘えたいのかもしれませんし、あまり気になさらないでください。」
保護者:「そうですか…保育園では、席を立たないんですね。私が気をつけるようにします…。」と保護者の方は肩を落として帰宅したそうです。
でも、Aは自分が言った「注意力散漫」という言葉で保護者を必要以上に心配させてしまったことでモヤモヤが残ったそう。
そこで、「注意力散漫」について、保育士である友人Aと自分の共通理解をもつべく、事実質問スイッチを入れました。
<<保育士Aと私との会話>>
私「注意力散漫って、そのお子さん昨日もそんなことがあったの?」
A「そうそう、昨日の午前中もオムツ替えのときに、Bちゃんはきょろきょろしてばかりいて、なかなかオムツを履き替えなかったの。」
私「そうなんだ。朝の何時くらい?」
A「登園後朝の歌を終わったあとだから、9時30分くらいかな。」
私「どこでオムツを履き替えたの?」
A「教室の隅にある更衣室だよ。」
私「どれくらいの広さ?教室には何人いた?」
A「2畳くらいの大きさかな。子どもは10人くらい。」
私「9時30分に一度におむつ替えをしたの?」
A「ええ。みんなでおむつを脱いで、トイレに座って、新しいオムツを履くの。」
私「Bちゃんは、何番目にトイレに行けたの?」
A「Bちゃんは最後だったわ。他のお友達のオムツの柄を見たり、オムツを脱ぐのを応援したりしていて、ようやく脱ぎ始めたから。」
私「そっか。小さいスペースに子どもが集まることはあるの?」
A「朝と帰りの着替えの時だけね。帰りの着替えの時もBちゃんはお友達の着替えを見ていて、いつも最後になるの。」
私「お友達の一挙手一投足が面白いのね、うちの子もお友達が近くに来るとよく観察して出遅れるの。一昨日もそんなことがあった?」
A「うん、新しいクラスになってここ2,3カ月はそんな感じだったわ。でも他の子に迷惑をかけているほどでもないのよね。」
私「そっか、Bちゃんが着替え以外に注意力散漫だったことはあった?」
A「いいえ、着替えの時だけよ。」
私「昨日は着替えの後は何やったの?」
A「お歌とお絵かき。」
私「最近、お歌をうたっているときに、Bちゃんだけ別の場所に行ってしまったり、お絵かきの時に他のことをやって、注意したことはなかった?」
A「なかったわ。机に向かうと席を外すこともないし、集中力はある子なの。そうそう、積み木も一番高く積めるの。」
私「すごいね。他には注意力が散漫になることってあった?」
A「いいえ、お外遊びの時も年上のお友達ともすごく仲良く遊べるの。違うクラスの子でもすぐ自分から話しかけるから。」
私「じゃあ着替えの時だけなんだね。」
A「そうね、着替えの時は、近くにお友達がいて気になって遅くなっているだけなのよね。」
もし、わが子が「注意力散漫」と担任の先生に言われたら、私だって気持ちが落ち込みます。
ただ、そう答えさせたのは保護者側の「何か問題はありませんか?」という質問がきっかけでした。
そこで、事実質問で詳しく保育士Aの話を聞いてみると、Bちゃんの「注意力散漫」という状況がいつ、どこで見られる行動なのかが見えてきました。
そして、Aは、Bちゃんの行動が問題というほど、問題ではなかったことに気が付きました。
このように事実質問で相手と共通理解を積み上げることが出来るようになると、ちょっとしたひと言で誰かを必要以上に傷つけたり、傷ついたりする回数はグッと減っていきます。
(山岡 美翔 ムラのミライ 理事)