2019年7月16日火曜日

セネガル研修の一コマ~「今年は水がない?!」

農業をするには、まずは土と水を守ることが必要。
その基本の考えが実践に結び付くよう、根気強く復習をしています。
研修の様子をちょっと覗いてみましょう。

最初の村での一場面。

村人「今年は水が足りないので野菜栽培をしていないんですよ。
降水量が少なかったんです。」

和田「足りないって、何リットル足りないの?」
村人「それは今は分からないけど・・・」
和田「いくらの水が足りないか分からないで、どうやって足りないって分かるんですか?
「水が足りないというけれど、それはどういう意味なのか。いくら水があって、栽培にいくら必要で、そのためにはいくら不足しているのかが分からなければ、水が足りないのかどうか分かりませんよ。」


実際に必要な水の量はいくらなのか?

村人「昔は水が豊富だった。降水量も多かった。」
和田「それはどうやって知ったの?」
村人「昔はモロコシを植えていた。モロコシは粘土質の土壌で良く育つんだ。
そのころは雨がたくさん降ったから植えられたということだよ。」
和田「それは何年前?」
村人「30年前かな。今は気候が変わったから、モロコシ栽培をやめて、違う種類に変えたんだ」
和田「今と昔で何が変わったのかな?昔は雨が多くて、今は雨が少ないのは?」
村人「昔は農業をする人が少なかったけれど、今は農業用地の範囲が増えたから?」
別の村人「…そういえば、昔はここにたくさん森があったけれど、今は消えてしまった。」
和田「森の役目は何?」
村人「うーん・・・南のカザマンス地方には森がたくさんあって、それで雨がたくさん降るな。」

和田「ふむ。ここで疑問が二つあります。
それは、あなたたちが木を切ってしまって、それで雨が降らなくなったのか。
それとも、神が怒って雨を降らなくしてしまったのか、どちらでしょうかね。」
村人「それは難しい質問だね。」

和田「言い換えれば、解決策は二つあって、もし神が怒ったのなら、モスクに行ってお祈りすること。でも森がなくなったからだとすれば、森を作り直すこと。
このまま続けていたら10年後にはこの村は地図から消えてしまうかもしれないよ。」
村人「・・・」

和田「今の状況は長い年月を経てきた結果、長い間何も対策をしてこなかった結果です。
水を確保する方法もお話しましたが、本気で向かい合ってこなかった。
そして今になって「水がない」と言っている。
土と水を守る対策をしたら時間はかかりますが数年で成果は出ます。それをする用意はできていますか?」

「水がない」ことへの取り組みの本気度を再度問われた村人たち。
さあ、この耳の痛い言葉に対して、村人たちはどう反応するのでしょうか。

(セネガル事務所 菊池 綾乃)