2019年7月23日火曜日

「水不足」と洪水の関係とは??

ムラのミライの和田、中田さんによる村での研修が行われた際の様子を少しだけご紹介いたします。

今回のキーワードは「洪水(水が溢れて家に浸水したりすること)」。
前回、「村に十分な水がない」と言っていた村人たち。その一方で、最近洪水が起こったという話も出ていました。
この「洪水」というポイントを取っ掛かりとして研修は始まりました。以下、Ndianda(ンディアンダ)村での研修のやり取りをご紹介します。

和田「この中で一番年上なのは?」
村人1「私です。57歳です。」
和田「あなたが覚えている限りで、最初に洪水が起こったのはいつですか?」
村人1「うーん、1960年代かな。」
和田「そのあとは?」
村人1「1990年から2000年の間かな」
和田「そのあとは?」
村人1「・・・去年。」
和田「今までなかった洪水が起きているようですが、いったい何が起きたのでしょう。」
村人2「雨の量が多くなったのかな。それとも・・・」
和田「じゃあその流れ出た水はどうなった?その水を使うことができますか?」
村人3「はい。水をためて、畑の水やりに使えます。」
和田「(ため池などに)残っている水ではなくて、あふれ出た水はどうですか?」
村人「・・・」

あふれ出て流れてしまった雨水はもう使うことができない・・・その事実を、和田は土壌の役割(雨水を貯えておく唯一の物質であること)や土壌侵食との関係(水を貯える土が流れてしまったこと)にも触れながら明らかにしていきます。こうして、村で起きている洪水の意味するところを理解していきました。


自分の足で村を観察する

さらに、実際にみんなで村を歩きました。干上がった井戸、根が露出したヤシの木、塩化した畑の土などを観察し、すべてが関連して「水不足」という現象として現れていることが明らかになっていったのです。
村で見たことをみんなで共有した後で、和田はこう言いました。
「あなたたちは洪水が起き始めた40年前から、土壌を守るために何もしてこなかったということです。そのために多くの水を失ってしまいました。このまま何もしなければ、30年もたったらンディアンダ村はなくなってしまうでしょう。」

この言葉の持つ現実味を、それまでの観察と説明から感じた村人たちは、どうしたら土壌を守り、水を貯えられるか、その対策をひたすらに考え始めたのでした・・・。

(セネガル事務所 菊地綾乃)