2014年7月8日火曜日

偽事実にご用心

以前から紹介をしている事実質問ですが、
この事実質問は主に以下の2種類に分けることができます。
(1)5W1Hを尋ねる質問 ※WHY、HOW(どんな具合)は使わない
いつ、どこで、誰が、何を、といった単純な疑問詞を用いた質問
(2)YES/NOを尋ねる質問
経験(~をしたことがありますか)、知識(~を知っていますか)、
有無や存在(~がありますか)を尋ねる質問

今回は(2)YES/NOを尋ねる質問に関してみていきます。

悩んでいる友人の話を聞き、相談に乗るときのことを例に考えてみましょう。
ここで重要なのは、話を作らせず、相手自身に思い出してもらうということです。
「なぜ」と質問せずに理由を尋ねるため、まずは「一番最近その問題(課題)が起こった(顕在化した)のはいつですか?」と尋ね、5W1Hの質問で、最近のことから時系列を遡っていきます。相手も最近のことはよく覚えているため、この時点では具体的なことまでサクサク思い出すでしょう。一番最近のことがわかったら、「その前は?」という具合に過去に向かって話を進めていきます。

しばらくこれを続け、問題の大まかな姿が明らかになれば、次は一気に遡ります。
「それが一番最初に起こったときのことを覚えていますか?」
問題が最近のことで、具体的なことまで思い出せるようでしたら「それはいつですか?」「それはどこで起きましたか?」などと、先ほどと同じく5W1Hの質問で繋いでいくと良いでしょう。

しかし問題がだいぶ前から起きており、相手が上手く思い出せないようでしたら要注意です。繰り返しになりますが、大切なことは「話を作らせず、相手自身に思い出させること」です。断片的な記憶から作ったものは思い込みであり、事実ではありません。事実を聞くつもりで、相手の意見や考えを聞く質問をしてしまうことのないように、過去のことを質問するときはYES/NOで答えられる質問を使うとよいでしょう。

A「最近、寝坊の癖がひどくて困っているんだ」
B「そうなんだ、一番最近で寝坊したのはいつだい?」
A「昨日だね、一昨日の晩寝るのが遅くて…」
最近のことを始点にして、時系列を遡ります。
B「一番最初に寝坊癖に気付いたのがいつか覚えてる?」
A「詳しくは覚えていないけれど、高校のときはちゃんと早起きしていたかな」

この場合、寝坊癖に気付いたその瞬間は問題ではなく、その原因となる出来事が解決への手がかりとなります。具体的に覚えている場合には、「いつから」という答えも返してくれるはずですので、覚えているかどうかというYES/NOで答えられる質問をしましょう。

問題の当事者自身の「気付き」が、その後の「行動」へと繋がります。過去のことを「予想させる」のではなく、あくまで「思い出させる」ことが重要です。こちらから改善策を提示したい気持ちをグッとこらえ、当事者が自分で改善策を思いつくように促してあげましょう。



(2014年度インターン 山下)