2014年9月16日火曜日

マジックのようなファシリテーション

ムラのミライ(旧称ソムニード)では、4月下旬から2ヶ月間「ReadyFor?」にてクラウドファンディングを行いました。たくさんのご支援をお寄せいただき、現在「子どもたちから始めるバグマティ川再生」プロジェクト実施に向けて準備を進めております。

今回のブログでは、以前の課外活動の際に和田が行った子どもたちとのやりとりをご紹介します。ムラのミライの研修を受けた現地の小中学校の教育担当の先生たちが、今度は子どもたちを連れてバグマティ川に向かいます。課外授業に関してはこちら(プロジェクト通信(ネパール)第7号 「モデル・レッスン始動!~慌てふためくレッスン初日~」)をご覧ください。

ひとつ目の地点での検査を終え、次の地点に移動するためバスに向かいます。初めてのキットを用いた検査に子どもたちだけでなく保護者も楽しそうにしています。そんな様子を黙って見ていた和田が「ビスタ先生、次の地点へ向けて出発する前に2分だけいいですか?」と切り出しました。※後半部に登場する「私」はネパール駐在スタッフ池崎です。

和田    「皆さん こんにちは。私の名前はWADAといいます。」
    「皆さんとお話したいので、2分だけください。」   
    「皆さんは、楽しかったですか?」
生徒    「はーい!とってもっ!!」(ニコニコ笑顔)
和田    「では、ここで皆さんが何をしたか、教えてください。」
生徒    「観察―!」
和田    「では、観察するために、何を使ったか教えてください。」
生徒    D.O.測定器!」「バケツッ」「検査キットー!」「掬い網~」「シャベル!」
口々に生徒が元気よく応える。
和田    「それだけですか?それだけじゃないでしょう?」
生徒    「掬い網!」
和田    「それはもう誰かがいいました!」
生徒    「うーん。エコバッグ?」
和田    「他には?」
生徒    「お水!」「川!」
和田    「他には?」
(中略)
しばらくして、「目!」「手!」と誰かが叫んだ。
そして「体全体!」と、ある男子学生が叫ぶ。
ワッと笑い出すクラスメート。
和田    「その通り!」
    「今、何が聞こえますか?」
    「今から1分間。目を閉じて、集中してみてください。」
    「何が聞こえるでしょうね?」
そして1分間の沈黙の時が流れた。
1分後。
和田    「何がきこえましたか?」
生徒    「川の音―!」「風の音―!」「お水の音!」「トンボの羽の音がした!」
    「コオロギの鳴き声が聞こえた!」
和田    「コオロギですか?本当に?今きこえましたか?」
    「コオロギはいつの時間帯に、どの季節に鳴き声がきこえてくる虫ですか?」
    「これは皆さんへの宿題です。また調べてきてください。」
和田    「もし自分の目でみて、耳を澄まして、実際に手で触れてみると、実に多くのことがみえてくるようになります。」
    「鼻で匂いを嗅ぐことも大事です。意識を鼻に集中して、匂いを嗅いでみてください。」「体全体を使うのです。」
和田    「皆さん、このスンダリジャルの風景を頭にしっかり記憶しましたか?
    体全体を使ってみえてきたことを、記憶してください。」
和田    「では、次にここをみてください。」
和田が皆の視線を、河岸に促した。
(中略)
移動バスへ向かう道中のこと。
ディベンドラと私は顔を見合わせた。
お互い何を思っているのか察しがつく。
    「すごかったですね。今の。」
    「観察するということがどういうことかを、子供にもおばあちゃんにもわかる言葉で、且つ楽しく説明されてしまいました。」
ディベンドラ「あれこそがソムニード流ファシリテーション。」


和田によるマジックのようなファシリテーション。つづきが気になる方はこちら(プロジェクト最新情報(ネパール)第8号 「マジシャンとファシリテーター」)をご覧ください。


(2014年度インターン 山下)