2015年4月22日水曜日

鏡に映る「曇りガラス」in スリランカ

アーユボーワーン!(シンハラ語で「こんにちは」の意)

私は現在、ムラのミライでボランティアをしています。20151月までの2年間、青年海外協力隊としてスリランカで活動しました。

赴任前に「途上国の人々との話し方」を読み、農村の赴任地に持って行きました。読んでみて、「ふむふむ。こういう風にすれば良いのか!」と妙に納得したつもりで現場に降り立ちました。

当然、“にわか”ファシリテーションでは、現場で一筋縄にはいかなかったわけです。帰国後、対話型ファシリテーターの超入門講座と基礎講座を受講しました。その視点や手法を現場で活用するには修行が必要なため、まずは自身の活動を省みることにしました。ブログ担当になりましたので、これを機にスリランカでのエピソードを何度か書かせていただきます。

ふと、こんな日常を思い出しました。赴任当初、村の道を歩いていると、

おじさん「おまえは中国人か?」
私「違うよ。日本人だよ。」
おじさん「アンモー!!(驚きの表現で、「母」を意味する)シンハラ語しゃべれるのか。この村で何してるんだ?ビジネスか?」

そうこうしていると、必ずといって良いほど次の質問があります。
おじさん「で、スリランカはどうだい?」または「スリランカと日本はどっちがいい?」

最初のころは、
私「そうだな、スリランカはカレーを毎日食べれるし、パパイヤやマンゴーあるし、毎日寒くないし…。でも国を比べるのは難しいなぁ」など、一生懸命答えようとしたこともありましたが、相手の反応はいまいちでした。数週間後には、
私「どっちも良いね!」、「スリランカは最高やね!」と一言答えると、
たいていのおじさんは「そうだろ、そうだろー」と満足して、会話はいったん終了しました。

実際にスリランカのことは大好きでしたが、こういった場面では私は相手の求める答えを答えただけです。このような世間話なら大した話ではないですし、おじさんの話に付きあっているとバスを逃したり、日が暮れてしまったりするので、ときには必要でした。

けれど、活動に入ってくると話は別。しかも、自分が逆の立場、つまり村人に、私や行政官の顔色や立場を見て答えさせてしまっているとしたら…。のちに、村人の本当の姿に迫れない「曇りガラス」の中で、おじさんとのやり取りを思い返すことになるのです。

それからのことは次週のお楽しみ!


(ボランティア 東田全央)