はじめまして、ムラのミライでボランティアをしています金智子と申します。イギリスの大学院で平和・紛争・開発学を学び、昨年卒業しました。大学院在学中にファシリテーションやネゴシエーションのスキルを学びましたが実生活で活用できていない事に気付き、この講座ならと思い参加しました。
講座に参加し色々な発見がありました。その中でも二つの事に重点を置いてみたいと思います。
一つ目は、相手に質問する時に“なぜ”を使った質問をしない事。なぜなら“なぜ”を使った質問では事実を聞き出すことが出来ないからです。“なぜ”に対する答えはその人の感情や考え方がベースになっているため、その答えが事実である必要もない上、事実であるかどうか確かめるすべもないのです。講座の中でこの“なぜ”を使わずにひたすら相手に質問する、というロールプレイがありましたが、これが想像以上に難しい。さらに、普段の会話の中でいかにこの“なぜ”質問をしているかに気付きました。この日を境に家族や知り合いと話をする時はなるべくこの“なぜ”フリー質問をするよう、心がけるようになりました。最初はなかなかうまく行きませんでしたが、今では自然にとまではいかなくともかなりスラスラと“なぜ”フリー質問ができるようになりました。
二つ目は、相手の質問の仕方に敏感になった事です。ファシリテーターの役割は当事者から事実を引き出すことであり、答えを与えたり決定を下す事が役割ではありません。それゆえに、“誘導しない”と言うことがファシリテーターの一つのキーロールだと思います。例えばこれは実際に私が体験した事ですが、数ヶ月前、父親の看病のため病院に通っていました。そこでの看護師とのやり取りの中で、誘導されていると感じる事が多々ありました。つまり、選択肢を与えられその中から選ぶと言う、いかにもこちらに決定権があるようですが、実はそうではない。なぜなら、与えられた選択肢はすべてあちらの都合であり、あちら側のプランやスケジュールに支障のない程度に色々な選択肢が用意されている事に気が付きました。この様なやり方で支援機関の人間が途上国の人々に接しているとすれば、とても横柄で恥ずかしい事だと思います。
ボランティア 金智子