2016年1月26日火曜日

お祖母ちゃんの薬

「朝ごはんにチャパティを食べているつもりが、実際は毎日ご飯を食べていた。」
人がいかに思い込みで日々を生きているかということに目からウロコが落ちた。

この事例は和田氏・中田氏著「途上国の人々との話し方」に紹介されていたものだ。
この本や講座で、本人自身が気づくことの大切さを知ることができた。
それ以来、できるだけ事実を聞き出すことを心がけているが、相手に上手く気づきを得てもらうことができたという自信はまだない。

唯一、自分でこれは上手くいったなと思った事例は、私の祖母との対話である。
「おばあちゃんが薬を飲んでいるけど、あんなに飲んでいて大丈夫なのかな。どうにかして。」と、母親が繰り返していた。そこで、こんな会話をはじめてみた。

私「薬を飲み過ぎじゃないかとお母さんが言ってるけど、どれくらい飲んでるの?」
祖母「いや、でも、最近、お腹の調子が悪いからな、〇〇内科で出してもらってな・・・・(中略)それで、元々、〇〇の薬は飲んでてな、でも言われたとおりに飲んでてな・・・(以下、続く)」
私「じゃあ、何の種類の薬を飲んでいるか書き出してみよか。薬出して。」

その後、祖母が薬の名前を読み上げ、私がリストを作るという作業を行った。
そうしたところ、サプリメントも含め、十数種類のリストができあがった。

祖母「・・・・・・・・多いな。」
私「多いね。どうする?」
祖母「○○に電話して何を減らしたらいいか相談しようかな。(〇〇は医者である私の叔父)」
私「それがいいんちゃう。」

結果的には、リストアップした薬の種類を手紙に書いて送ったそうで、叔父のアドバイスの下、祖母は薬の種類を減らした。
家族が何を言っても薬の種類を減らさなかった祖母が行動に移したのは、薬の多さに自分で気づいたからなのは間違いない。

上手くいった!と思う経験は、この時以外に無く、事実質問は難しいなぁ、練習しないといけないよなぁと思っていた。

そう考えていたところ、和田さんの自主ブログの投稿を拝見した。
文章が短文で読みやすいと中田さんの紹介まで読み進めたところ、「技術を習得するとは真似ること。そして実践することだ。」と気づいた。
そして、鳥肌がたった。
文章でも気づきを促せるという和田さんの技術に感動した。
感動を伴った気づきは生涯忘れないと思う。

実のところ、事実を聞くことは心がけていても、そこから先の気づきを促すための練習は怠りがちで、聞き出すより先にコメントを言いたくなってしまう。
そもそも、その練習をすること自体をすぐに忘れてしまうのである。
これからは忘れずに練習と実践を続けていきたいと思った。

公益財団法人太平洋人材交流センター(PREX) 奥村 玲美


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