ネパールからナマステ!久々のブログ執筆です。
ムラのミライのインド事業を引っ張ってきたラマラジュさん、キョーコさんの名コンビ。
(そんな二人の活躍のようすは「よもやま通信」で!)
まずは、そんな二人がネパールオフィスのスタッフたちへのトレーニングをしたときの一場面をご紹介します。
*****
ソムニード・ネパールのディベンドラとウジャールが、事務所でこれまでのネパールでの活動をラマラジュさんとキョーコさんに説明していたときのことでした。
彼らのプレゼンをずっと黙って聞いていたラマラジュさんとキョーコさんですが、あるとき、「ちょっといいですか?」とキョーコさんが切り出しました。
キョーコさん:「「コミュニティ」って出てきていますが、これは何を指しているんですか?」
キョーコさんの質問の意図がわからなかったと思われるディベンドラ。
ディベンドラ:「資源を共有する一定のエリアに住んでいる人たちのことで…」(これは、コミュニティの「定義」)
キョーコさん:「いや、そうじゃなくて。ディベンドラさん、さっきからコミュニティ、コミュニティと言っているけど、そこには誰が住んでいるのかを知りたいんです。」
ディベンドラ:「えーと(としばし沈黙する)…DEWATS(分散型排水処理施設)を使っている人とか?」
キョーコさん:「ほかには?」
ウジャール:「デシェ村では、村の人たちはDEWATSの利用者という側面と、学校の保護者という側面があって…」
ラマラジュさん:「じゃあ、今出てきたデシェ村で考えてみましょう。どんな人が住んでますか?」
ここで、デシェ村を事例に、そこにどういう人が何人住んでいるのか、ディベンドラとウジャールがホワイトボードに書き出していきました。
そう、彼らは
「コミュニティの人たちと協力して、●●を実施しました。」
「コミュニティの人たちが主体になって…」
などと「コミュニティ」という言葉を多用してはいましたが、具体的な「誰か」を想定して話していたわけではなかったのです。
キョーコさんがツッコミをいれた「コミュニティ」という言葉、実体があるように見えて、まったくない言葉だったんですね。
*****
こんなふうに、ネパールで仕事をしていると、スタッフや村のオッチャン、オバチャンから
「みんな」「コミュニティ」「いつも」「ネパールの人は…」
という言葉をよく耳にします。
けれども、往々にしてこれらは実体のない言葉。
たとえば「みんなでやる」と言っても、その「みんな」に実体がない(=具体的に誰かが想定されていない)から、それは「誰も何もやらない」ということになりかねません。
そこによく効くのが事実質問!だと私は思っています。
つい最近、ネパールオフィスで一日に複数の研修やミーティングが入ったことがあります。
「みんなでやればいい」精神で、予定をどんどん入れてしまうネパールオフィスのスタッフたち。
その結果、ずらっと予定がならんでしまいましたが、スタッフの人数には限りがあります。
「こんなに予定が入って大丈夫なの?」と聞くと、
「みんなで動けばなんとかなるよ」と返されてしまうのですが、(明らかに何とかならへんやん…)という予定。
*****
私:「この研修は誰が行くの?」
ディベンドラ:「私が行きますよ」
私:「じゃあ、こっちのミーティングは誰?」
ウジャール:「ぼく」
私:「じゃあ、もう一つの研修は私が行かないといけないですかね。」
私:「研修で使う文房具を車で運ばないといけないですよね。時間が重なっているけれど、車はどう動いてもらうの?何時にオフィスに来てもらって、最初の研修場所へは何時に出発してもらう?その時に担当スタッフは乗っていく?」
ディベンドラ:「車は一台だけだから、トキエさん(筆者)が使っていいよ。研修の文房具だけドライバーにあとで運んでもらうから。」
私:「私(筆者)はネパール語でのコミュニケーションに難ありだから、私が行く研修には、だれかネパール人スタッフについてきてもらわないと。AさんもBさんもほかの用事で出るなら、誰についてきてもらえますか?」
ディベンドラ:「プリティかな」
私:「じゃあ、誰がオフィスに残って電話対応するの?」
ディベンドラ:「・・・じゃあ、マニーク・・・」
私:「この日に休暇をとるスタッフっていなかった?」
ディベンドラ:「あ、マニークは休暇をとる予定だった」
*****
と一つ一つ始業時間からの動きを確認していくと、無理のあることがわかってきました。
なんてことはない確認作業ですが、「みんな」でわかった気にならず、自分が「いつ」「だれが」「どこで」と具体的に想像できないことはきちんと確認するのが、事実質問の練習につながるだろうと、(よく玉砕しますが)日々オフィスのスタッフ相手に実践を試みています。
メタファシリテーションの実践というと「フィールドで実践!」というイメージが強いかもしれません。でも、こうした日々のオフィスでのやりとりでも、基本的な事実質問の練習になります。ぜひ!
(ネパールオフィス 田中十紀恵)
註:ディベンドラ、ウジャール、プリティ、マニーク:ソムニード・ネパールのスタッフの名前
→読み切り形式でどこからでも読める、対話型ファシリテーションの入門本。
「対話型ファシリテーションの手ほどき」 (700円+税 2015年12月発行)
→2時間で理論と実践方法が学べる1,000円セミナー
「メタファシリテーション入門セミナー」 (各地で開催)
ムラのミライのインド事業を引っ張ってきたラマラジュさん、キョーコさんの名コンビ。
(そんな二人の活躍のようすは「よもやま通信」で!)
まずは、そんな二人がネパールオフィスのスタッフたちへのトレーニングをしたときの一場面をご紹介します。
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ソムニード・ネパールのディベンドラとウジャールが、事務所でこれまでのネパールでの活動をラマラジュさんとキョーコさんに説明していたときのことでした。
彼らのプレゼンをずっと黙って聞いていたラマラジュさんとキョーコさんですが、あるとき、「ちょっといいですか?」とキョーコさんが切り出しました。
キョーコさん:「「コミュニティ」って出てきていますが、これは何を指しているんですか?」
キョーコさんの質問の意図がわからなかったと思われるディベンドラ。
ディベンドラ:「資源を共有する一定のエリアに住んでいる人たちのことで…」(これは、コミュニティの「定義」)
キョーコさん:「いや、そうじゃなくて。ディベンドラさん、さっきからコミュニティ、コミュニティと言っているけど、そこには誰が住んでいるのかを知りたいんです。」
ディベンドラ:「えーと(としばし沈黙する)…DEWATS(分散型排水処理施設)を使っている人とか?」
キョーコさん:「ほかには?」
ウジャール:「デシェ村では、村の人たちはDEWATSの利用者という側面と、学校の保護者という側面があって…」
ラマラジュさん:「じゃあ、今出てきたデシェ村で考えてみましょう。どんな人が住んでますか?」
ここで、デシェ村を事例に、そこにどういう人が何人住んでいるのか、ディベンドラとウジャールがホワイトボードに書き出していきました。
そう、彼らは
「コミュニティの人たちと協力して、●●を実施しました。」
「コミュニティの人たちが主体になって…」
などと「コミュニティ」という言葉を多用してはいましたが、具体的な「誰か」を想定して話していたわけではなかったのです。
キョーコさんがツッコミをいれた「コミュニティ」という言葉、実体があるように見えて、まったくない言葉だったんですね。
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こんなふうに、ネパールで仕事をしていると、スタッフや村のオッチャン、オバチャンから
「みんな」「コミュニティ」「いつも」「ネパールの人は…」
という言葉をよく耳にします。
けれども、往々にしてこれらは実体のない言葉。
たとえば「みんなでやる」と言っても、その「みんな」に実体がない(=具体的に誰かが想定されていない)から、それは「誰も何もやらない」ということになりかねません。
そこによく効くのが事実質問!だと私は思っています。
つい最近、ネパールオフィスで一日に複数の研修やミーティングが入ったことがあります。
「みんなでやればいい」精神で、予定をどんどん入れてしまうネパールオフィスのスタッフたち。
その結果、ずらっと予定がならんでしまいましたが、スタッフの人数には限りがあります。
「こんなに予定が入って大丈夫なの?」と聞くと、
「みんなで動けばなんとかなるよ」と返されてしまうのですが、(明らかに何とかならへんやん…)という予定。
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私:「この研修は誰が行くの?」
ディベンドラ:「私が行きますよ」
私:「じゃあ、こっちのミーティングは誰?」
ウジャール:「ぼく」
私:「じゃあ、もう一つの研修は私が行かないといけないですかね。」
私:「研修で使う文房具を車で運ばないといけないですよね。時間が重なっているけれど、車はどう動いてもらうの?何時にオフィスに来てもらって、最初の研修場所へは何時に出発してもらう?その時に担当スタッフは乗っていく?」
ディベンドラ:「車は一台だけだから、トキエさん(筆者)が使っていいよ。研修の文房具だけドライバーにあとで運んでもらうから。」
私:「私(筆者)はネパール語でのコミュニケーションに難ありだから、私が行く研修には、だれかネパール人スタッフについてきてもらわないと。AさんもBさんもほかの用事で出るなら、誰についてきてもらえますか?」
ディベンドラ:「プリティかな」
私:「じゃあ、誰がオフィスに残って電話対応するの?」
ディベンドラ:「・・・じゃあ、マニーク・・・」
私:「この日に休暇をとるスタッフっていなかった?」
ディベンドラ:「あ、マニークは休暇をとる予定だった」
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と一つ一つ始業時間からの動きを確認していくと、無理のあることがわかってきました。
なんてことはない確認作業ですが、「みんな」でわかった気にならず、自分が「いつ」「だれが」「どこで」と具体的に想像できないことはきちんと確認するのが、事実質問の練習につながるだろうと、(よく玉砕しますが)日々オフィスのスタッフ相手に実践を試みています。
メタファシリテーションの実践というと「フィールドで実践!」というイメージが強いかもしれません。でも、こうした日々のオフィスでのやりとりでも、基本的な事実質問の練習になります。ぜひ!
(ネパールオフィス 田中十紀恵)
註:ディベンドラ、ウジャール、プリティ、マニーク:ソムニード・ネパールのスタッフの名前
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