2017年4月25日火曜日

対話型ファシリテーションに出会ってからの変化を振り返って(2)専門学校編

2014年より2014年より森ノ宮医療学園専門学校柔道整復科で「医療人としてのプロジェクト実践基礎演習」の講義をアドバンスコースの1年に行っております。

私自身が、モンゴルでの活動、東日本大震災時の初動調査および救護活動、神戸大学人間発達環境学研究科(学術修士)、所属している会の理事など様々な現場で活動し、外務省やJICA、行政機関との交渉など様々な経験したことを、これから柔道整復師を目指す学生に伝えたいと思っていたところ、学校からも同じような主旨の提案があり実現しました。

講義の構成を考える上で参考にしたのは、JICAで行われていたPCM研修(Project Cycle Management)を参考にしました。

講義の上位目標を「将来の柔道整復師業界を担うリーダーの育成、学習目標を医療人として必要なコミュニケーション能力、プロジェクト形成・実践力の基礎を演習修得する。」、行動目標は「①コミュニケーションに必要な基礎知識を獲得する。②プロジェクト形成に必要な基礎知識を獲得する。③プロジェクトの実践力を身に着けるための演習を行うことができるようになる。」とそれぞれの項目を設定しました。

また、意見交換するときの5つのルールとして、
①正解は1つではない。
②相手にわかりやすい言葉で伝える。
③相手の話をさえぎらない。
④Noは相手からの「質問」だと思おう。
⑤意見を否定しない。
を設定し、特に⑤の意見を否定しないことを徹底して、伝えました。

授業形態としては課題を提示し、グループで検討を行いながら、講義を行いました。

具体的には、「根來氏はモンゴルで購入したお土産の品物を使って遊びたいが、ルールが分からず、遊べないで困っている。そこで、お土産の品物で遊ぶために、班ごとにルールを考え、根來氏に説明するのに必要な事項を提出用紙に具体的に記載してください」という課題を設定し、
①班ごとに検討、
②説明資料作成、
③講義で発表、
④評価(学生各自、外部)、
⑤分析、
⑥課題のあぶり出し、
⑦改善策を考える、
⑧具体的に実行する、
⑨まとめる、
の流れで実施しました。


中期からは班ごとに外務省国際協力局民間援助連携室の国際開発協力関係民間公益団体補助金(NGO事業補助金)の補助金申請書を作成することとしました。補助金申請課題は、モンゴル国における現地調査について事例教材を作成し、初動調査に必要な内容について検討を行いました。

現地へは、実際に行くことができませんが、JICA草の根技術協力(草の根パートナー型)でモンゴル人指導者候補生が、本邦研修のタイミングでインタビューを行うことにしました。この時用いたのが、対話型ファシリテーションでした。ただし、学生が実際にインタビューを行うことはできないため、学生が考えた質問を私が行うという形式をとりました。

このとき①質問の組み立て方の工夫、
②質問の流れを考える、
③質問が何を意味するのかを考える、
④選択できるような質問(ある・なし)で具体的にさらに掘り下げるように考える、
⑤考えを聞く質問と事実質問に分けて考える、
⑥できるだけ質問は1項目で聞くこと、
などを注意点としました。
東京から研修先の名古屋へ移動するタクシーの中、新幹線の中でインタビューを行いました。

現地情報(教材)ならびにインタビューで得た内容をもとに、各班ごとにプロジェクトの計画立案を行うために関係者分析、問題分析、目的分析を行いました。




そして、最後のプロジェクト計画案として下記のようになりました。

 



実際は、現地に初動調査へ行っておりませんが、「・・・・がない」状態を「・・・がなくて困っている」状態にして考えることは、まさにメタファシリテーションの醍醐味でした。

この経験をもとに2年目の講義が、実践へと進化していきます(いくはず?)。

根來接骨院 根來信也)




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