組織を対象とした支援に共通する場面として、代表者や設立者など、その組織の中心人物だけが話して、活動を担う現場スタッフの声がなかなか聞けない・・・というパターンがあります。そんな状況になった時も、あわてず騒がずメタファシリテーション方式の質問(事実質問)をすることで、それまで話していた方をさえぎることなく、うまーく話し手をスイッチすることができます。
もう何年も前のことですが、何人かのグループで、あるNPOにヒアリングをする機会がありました。話し手として出てきてくださったのは、代表理事と事務局長。お二人とも団体設立からずっと活動してきているので、たくさんお話が聞けそうだなと期待していました。
ところが、設立のきっかけ、めざすこと、団体の強み、今後の課題・・・ヒアリングに伺ったメンバーがどんなことを聞いても、スラスラと喋ってくれるのは代表理事。事務局長はその隣で、黙ってうつむいています。表情もよく見えません。まさに、「代表理事オンステージ」のワンマンショーになっていました。
うーん・・・ボスの見解を一通り聞いてもいいけど、それだけでは団体の今のリアルは見えてこないかも・・・「社長」だけじゃなくって、あなた(事務局長)の話も聞きたいのよ・・・と内心ジリジリしつつ、うまい入り口を探していました。
と、その時。
代表理事:うちの場合、ボランティアがいなくては活動が成り立たないのでね、登録してもらう時によく面談したり、色々と工夫してきてるんですよ。
私:それは素晴らしいですね。最近、新たに登録されたボランティアはいらっしゃいました?
代表理事:えーっと・・・(事務局長の方を向いて)どうだった?
事務局長:(初めて顔を上げて)あ、昨日、事務所にいらっしゃいました。
私:どなたが対応されたんですか?
事務局長:私です。
私:事務所にいらっしゃって、まず何をされたんですか?
事務局長:ボランティア登録の用紙があるので、それに記入してもらいました。
私:そういう用紙があるんですね。記入してもらってから、どんなお話から始めたんですか?
事務局長:はい、まず・・・
この後、実際に何をして、何を話して、その次に・・・という風に、その時の状況を具体的に質問し、事務局長さんがどんどん答えてくれたのでした。
事務局長さんが対応した直近のボランティア登録、というピンポイントのできごとが出てきたので、そこに絞って具体的な行動を聞くことで、質問の内容は「(その時対応した)事務局長さんしか答えられない質問」になりました。
もし、ここでピンポイントのできごとに絞らず「ボランティア対応の担当はどなたですか?手順はどうしていますか?工夫していることは?」という聞き方をしていたとしたら?
たぶん、引き続き代表の方が話し続けていたのではないかと思います。
代表理事オンステージ、村長オンステージ、自治会長オンステージ、先生オンステージ・・・世にあふれる「声の大きい人オンステージ」。そこからスッと抜け出して、別の人の眼から見えている風景をステージに乗っけたら・・・意外な風景が広がるかもしれませんね!
(宮下和佳 ムラのミライ専務理事)
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ところが、設立のきっかけ、めざすこと、団体の強み、今後の課題・・・ヒアリングに伺ったメンバーがどんなことを聞いても、スラスラと喋ってくれるのは代表理事。事務局長はその隣で、黙ってうつむいています。表情もよく見えません。まさに、「代表理事オンステージ」のワンマンショーになっていました。
うーん・・・ボスの見解を一通り聞いてもいいけど、それだけでは団体の今のリアルは見えてこないかも・・・「社長」だけじゃなくって、あなた(事務局長)の話も聞きたいのよ・・・と内心ジリジリしつつ、うまい入り口を探していました。
と、その時。
代表理事:うちの場合、ボランティアがいなくては活動が成り立たないのでね、登録してもらう時によく面談したり、色々と工夫してきてるんですよ。
私:それは素晴らしいですね。最近、新たに登録されたボランティアはいらっしゃいました?
代表理事:えーっと・・・(事務局長の方を向いて)どうだった?
事務局長:(初めて顔を上げて)あ、昨日、事務所にいらっしゃいました。
私:どなたが対応されたんですか?
事務局長:私です。
私:事務所にいらっしゃって、まず何をされたんですか?
事務局長:ボランティア登録の用紙があるので、それに記入してもらいました。
私:そういう用紙があるんですね。記入してもらってから、どんなお話から始めたんですか?
事務局長:はい、まず・・・
この後、実際に何をして、何を話して、その次に・・・という風に、その時の状況を具体的に質問し、事務局長さんがどんどん答えてくれたのでした。
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(宮下和佳 ムラのミライ専務理事)
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