2022年5月27日金曜日

村でサヤインゲン栽培についての聞き取り1

タイ北部の標高1,000mちょっとにある、少数民族・カレンの村。
ここの村人と結婚した私は、村人の一人として持続可能な山暮らしを模索しています。
 

この村に関わりながら、もう何年も気になっていたのがAさん&Bさんファミリーの家計について。
Aさんたちは、大半の村人と同じように農業を主な収入源にしています。中学生と高校生の息子がいる4人家族なのですが、家計のやりくりがうまくいってないようで、身内や村人からよくお金を借りている(そして返していない)状況です。
かといって私が見る限りは、必死に節約しようとしてるとかそんな風にも感じられません。

 

そんな中、少し前にAさんが「サヤインゲンを植えたけど、天候のせい(?)であまり収穫できなかった」みたいなことを言っていたので、同じくサヤインゲンを栽培する村人Cさんに話してみると「Aさんたちが、ちゃんと世話してへんからやで」と、不満げな顔をしていました。(ちなみにCさんも、Aさんにお金を貸しています。)

 

ということで、今回勃発した「天候のせいって言ってるけど本当は違うのか疑惑」を検証するためにも、Aさん・Cさんの両者にサヤインゲン栽培について事実質問してみよう!と思いつきました。

 

それぞれが、
・どんな風にサヤインゲンを栽培しているか。
・サヤインゲン栽培でどれくらい利益を得ているか。
を聞いてみると、Aさん家族のリアルな仕事ぶりや、家計が上手くいかない原因が見えてくるかも…という期待があったのです。

 

まず今回は、夕食後の団らんタイムに、Aさん&Bさん宅で囲炉裏を囲みながら聞き取りを行いました。(Bさんは寝転びつつ、Aさんは鍋で何か煮ながら、リラックスした世間話の雰囲気)Aさん・Bさんの2人同時に聞く形になってしまいましたが、1時間ほど色々と話してもらえました。普段、村人はカレン語を話しますが、インタビューではタイ語を使っています。(Aさん・Bさんともタイ語ネイティブ)

 

私:サヤインゲンについて話を聞きたいんだ。今、サヤインゲンは田んぼ1か所に植えてるの?

A:2ヶ所に植えてて、1ヶ所は全部枯れちゃった。

私:田んぼともう1ヶ所はどこに植えてるの?

A:田んぼの脇の所。今日叔父さんが蜂の巣を取ってたところに先に植えてたんだけど、そっちは全部枯れちゃった。

私:うまく育たなかったの?

A:よく育ってたけど日差しが強すぎて死んじゃった。暑い時期はだいたい枯れちゃう。

私:田んぼの方は、いつ植えた?

A:2月末。一年中植えられるよ。

B:枯れたやつ(田んぼの脇に植えた分)は、虫が根っこを食べてしまったんだ。

私:それはいつ植えたの?同じ月?

A:同じ月。

B:その時期は暑くて、用事でチェンマイに行って1日水やりできなかったことがあったんだけど、その時に枯れた。

私:枯れた時は苗はどれくらいの高さだった?

B:葉っぱが2、3枚付いた頃だった。

Aさんがサヤインゲンを植えている棚田
(写真ではサヤインゲンの前に植えていたズッキーニが植わっています)
 

私:苗はどこから持ってきたの?

A:種を使うんだよ。王室プロジェクト(※)から持ってきたよ。

※タイ王室が国民の生活向上のために農業を支援する取り組み

私:タダでもらえるの?

B:500gあたり100バーツで買うよ。

私:2月は何キロ買ったの?

A:1キロ買った。王室プロジェクトからは、1回500gずつ植えるよう言われてる。

B:1ヶ月に2回植える。5日と15日の2回。

私:日にちも決められてるの?

B:うん。(去年の)12月から4-5回植えたんだけど、植えては途中で枯れてって感じで。 でも他にサヤインゲン植えてる人も、その時期は同じように枯れた。

A:○○さんのとこも、××さんのとこも枯れたし…。

私:枯れたのはどの月?1月?

B:1月と2月。

私:他に植えてる人のところもあちこち枯れちゃったんだね。

A:Cさんのとこも枯れたしね。(※後日Cさんにもサヤインゲンについて聞き取り済み)

私:サヤインゲン植えるときは、他の人も雇って作業する?

A:雇わない。1時間あれば種1キロ植えられるよ。

私:穴掘って種をまくの?

B:落花生のときとおんなじ感じ。(クワで穴を掘って、上から穴に種を投げ入れ、土をかぶせる)でも落花生よりも、間隔を広く開けて植える。

私:種を植える前に、何かすることはある?

A:草刈りする。それから、(手で示しながら)これくらいの高さになったら肥料をやる。

私:10-15cmぐらいの高さかな?

まだ小さいサヤインゲン

B:種植えてから15日後だよ。Cさんのところは、先に肥料を入れてる。種を蒔く時に穴掘って、肥料を入れてから種を蒔く。キャベツと同じような感じ。
でもそのやり方だと枯れやすいように感じる。2月に植えた時は、田んぼの方は肥料を入れずに種まきして、田んぼの脇に植えた分はCさんみたいに肥料を先に入れて種まきしてみたんだけど、田んぼの脇の方だけ全部枯れちゃったんだ。

私:ふーん、肥料を先に入れた方が枯れやすいのかな。虫がつきやすいとか。植える場所は、種まきの何日前に準備するの?

A:自分次第。

私:2月に植えた時も王室プロジェクトに日にちが決められてたの?

B:決められてなかった。王室プロジェクトが種を販売する日が決まってて、植えるのはいつでもいい。

私:種は王室プロジェクトが渡しに来てくれたの?

B:ううん。こっちが王室プロジェクト(の拠点)まで取りに行った。

私:取りに行ったときは、王室プロジェクトから電話連絡があって行った?

B:名前を書いておいたから。王室プロジェクトのとこに。月に1回王室プロジェクト(に登録してる農家向けの)会議があって、サヤインゲンを植えたい人はその時に名前を書いておく。例えば今月会議に行かなかったら、次の回はサヤインゲンは植えないということになる。植えたい人は会議に行ってボードに名前を書いておけば、次に種を売ってもらえる。 もしサヤインゲン植えたいんだったら、種もらってきてあげるよ。

(※王室プロジェクトに出荷する農家は、会員登録しておくシステム。サヤインゲンは[多分ほかの作物も] 王室P以外のところに出荷してはいけない決まりになっている。)

私:2月に植えた時は、1月に会議に行っておいたの?植える1ヶ月前に名前書いておくんだよね?

B:うん。会議があるときは、王室プロジェクトのスタッフから「今日会議来てね」って事前連絡がある。

A:会員番号がないとダメ(会議に参加できない)。

私:毎月何日に会議するか電話してくれるんだよね?

B:そう。

私:行く行かないは自由?

B:うん。植えないんだったら、行かなくてもいいし。

私:種はいくらだったっけ?

B:1キロ200バーツ。

私:2月は種を1キロ買って、2ヶ所で全部植えたんだよね?

B:2ヶ所で1キロちょっとだったよ。田んぼに1キロ、田んぼの脇に500g植えた(全部枯れたところ)。Aさんが(支柱用の)竹をたくさん切ってきたから、1回あたり1キロずつ植えようと思って。1キロ以下だとちょっとずつしか収穫できなくて時間がもったいないからね。 田んぼに植えた分はよく育ってたけど、他の村人が放牧してた牛が入って食べちゃってさ。なんでそんな放牧の仕方してるのやら。

私:田んぼのところは1時間で種をまきおわったんでしょ?種まきの後は何をしたの?

B:何もしないよ。芽が出るまで待つ。

私:水やりはした?

B:2‐3日に1回水やりした。

私:水やりは1日かかる?

B:スプリンクラーの棒を地面に挿して1時間ごとに場所をずらしていって、全体に水やり出来たら終わり。

私:ふーん。2月に植えてから今で2ヶ月ぐらい経ったね。

B:2ヶ月ちょっとで収穫できるよ。雨季なら1ヶ月ちょっと。

A:今度18日に収穫するよ。

サヤインゲンの収穫

私:まだ収穫したことはないんだよね?

B:うん。明日、王室プロジェクトに持って行って農薬の検査するんだ。

私:検査の機械があるの?

A:王室プロジェクトにある。

私:王室プロジェクトに機械を借りて?

B:王室プロジェクトで検査してくれる。もし他のとこに卸しに行ったら検査はしないんだけどね。王室プロジェクトはいつも(1キロあたり)18バーツで買い取ってくれる。(全体の)出荷量が少ない時は20バーツ。出荷量が多いときは18バーツ。

私:最低18バーツなんだね。市場価格が安い時も王室プロジェクトなら18バーツ。

B:そう。市場価格が高い時も18バーツ。

私:まぁ、事前に確実な卸価格がわかってるってことだよね。(通常、市場に農作物を下す場合は日によって価格が変動する)

B:Cさんは年中サヤインゲン植えてて、結構収入が入ってるよ。種まきの前にいつも土を耕して柔らかくしてるから良く育ってる。

私:種まきして15日で1回目の肥料をやるんだったよね。2月に植えた分の肥料は、いつ買ったか覚えてる?

B:16番の肥料を使ってる。

私:新しく買ったの?どこで買ったの?

B:麓町で。1回あたり1キロ~2キロちょっと使う。

 花が咲く直前に13番の肥料を1回撒く。

私:16番と同じ量使うの?

B:13番の方が多めに撒く。

私:16番の肥料は大袋で買わないといけないよね?

B:少量でも分けて売ってくれるよ。

私:今回はどれくらい買ったの?覚えてる?

B:大袋で買った。

私:1袋いくらだった?

B:1000バーツしない。920バーツだったかな。

私:900バーツちょっとか。

B:Cさんから、今は1300バーツか1400バーツに値上げしたって聞いた。

私:Bさんは2月に新しく買ったの?じゃなくて前に買っておいたの?

B:前に買っておいたやつを使った。無くなったらまた買わないといけない。

私:前に買ったやつが残ってたから、それを使ったんだね。大袋は何キロ入ってるの?

B:50キロ。

私:それで今回は1-2kg使ったんだね。もう1種類の肥料(13番)は?それも大袋で買っておいたんだよね?

B:そう、大袋で買っておいた。ずっと保管しておけるからね。

私:値段は16番と一緒?

B:一緒じゃない。13番の方が高い。でもずっと前に買ったから、今の値段はどうかわからないな。

私:Bさんが買ったときは13番の方が高かったんだね。でも重さは同じだよね。50kg?

B:そう、 50kg。本当は1回目の肥料に「チュアパー」っていうのを使ってもいいんだよね。1袋300-400バーツ。

私:へぇ。16番と同じ粒タイプのやつ?

B:そう。黒い粒のやつ。でも品質はあんまり良くない。

私:値段は16番よりずいぶん安いね。

B:そう。16番は1000バーツぐらい、チュアパーは370か380バーツぐらいだから。

私:肥料の種類は王室プロジェクトに言われるの?

B:言われない。

私:なんでもいいの?

B:うん。王室プロジェクトではチュアパーを使うように勧められるけど、品質が良くない。

私:今回は2回目の肥料はもうやった?

B:うん。もう撒いた。

私:種まきの15日後に1回目の肥料を蒔いて、2回目はいつ?

B:花が咲く前。

私:何月だった?3月?

B:覚えてないけど、花が咲く前だから種まきから1ヶ月経った頃かな。本当は15日ごとに肥料をやったら良さそうな気がするけどね。

私:1回目の肥料をやるときはどうやって撒くの?

B:苗のそばに撒く。2回目もおんなじ。

私:肥料は2回だね。今回2月に種まきしてから草刈り何回したか覚えてる?

A:1回。日差しが強かったから、あまり刈らずにある程度そのままにしておいた。

私:まぁ1回で十分だった?

A:うん。

B:今回サヤインゲン植えるのに、費用が1000バーツかかってないんじゃないかなと思う。(えーっと、と考えながら)種1キロ200バーツ、1回目の肥料5キロ使って、1キロあたり20バーツだから100バーツ、2回目の肥料5キロも含めて、全部で合計400-500バーツぐらいかな。だから1000バーツもいってないと思う。

私:2回目の肥料は今回何キロ入れたの?

B:4kgか5キロいかないぐらいかな。

A:1回目と2回目、同じ量使ったよ。

B:重さ計らないからね。桶ですくってそのまま撒くから。だいたいそのくらいと思う。

私:今月18日に1回目を収穫するんだよね?

A:本当はもう今収穫できるんだけど、タイ正月休みで王室プロジェクトが休みだから(休み明けの18日に収穫する)。

B:18日の月曜日に持っていくから、前日の日曜日に収穫しておく。そうしないと間に合わないから。

私:早朝に持っていくの?

B:うん。隣の村まで王室プロジェクトが取りに来るから、そこまで持っていく。以前は家の前に置いとけば王室プロジェクトが回収していってくれたんだけど(笑)、納品書(領収書)も出してくれないし、農家もあんまり状態が良くないものを出したりしてたのかなー。それで今では選別したものを出荷するように言われてる。

私:18日に持って行った分で農薬の検査してから、OKだったら次20日に出荷するって感じか。(19日収穫→20日出荷)

B:田植えとか稲刈りの時期とかは、みんなサヤインゲンの世話する余裕なくて出荷量が減るから、買取価格が20バーツになる。こないだうちの村でサヤエンドウが枯れちゃった時期は、王室プロジェクトが他の村の人に植えてもらうようにしたみたい。12月と1月の2ヶ月はうちの村では植えさせなかった。植えても枯れてしまったら時間がもったいないからね。その頃はうちの村だけじゃなくて近隣の○○村でも枯れてたよ。

収穫したサヤインゲンを担いで家に帰ります
 

私:うーん。サヤインゲンは、全然人に手伝ってもらわなくてもいいんだね。全部自分でできるんだね。

B:1時間で作業終わるしね。

A:(ちょっと自慢げに)植える時は、私1人で穴掘って1人で種まきしたよ。朝、(サヤインゲンの前に植えてた)ズッキーニを刈ってから、穴掘って種まいて…。

(※落花生などの作物ではよその家の複数人に手伝ってもらって1日~1日半かけて植える)

支柱を作るのに時間がかかるんだよ。

私:支柱は竹を使ったの?

B:そう。種500gあたり1000本以上の支柱を使う。Cさんは、あそこに生えてる竹全部切っちゃったよ(笑)竹いっぱい使う。

私:500gで1000本ってことは、今回田んぼに1kg植えてるから支柱2000本以上使ってるってことだね。竹はそのまま使う?割って使う?

B:割って使う。割って分けないと(数を集めるのが)大変だから。1本の竹を3-4本の支柱に切り分ける。

私:支柱はどの時期に挿す?

B:いつでも時間があるときに挿せばいい。

私:いつでもいいけど、遅くとも…

A:葉っぱが4枚出るころに挿す。

私:葉っぱが4枚付くころには挿さないといけないんだね。

A:支柱は先に切っておかないとだめ。じゃないと間に合わない。

私:今回挿したやつはいつ切ったの?

B:まぁ前に切ったやつをまた使ったり、新しく切ったりだから…。

私:あぁ。準備しておくのは…

A:切ったやつは3回ぐらい繰り返し使える。

私:2月に植えた分では、新しく何本ぐらい切った?新しく切ったものもあるんだよね?

B:竹切るのに1-2週間かかる(笑)

A:今回(割る前の状態で)100本ちょっと切った。4日間で。

私:それで足りたんだね。

A:そう。前に切った分も使ったから。

私:今回は(割った状態で)400-500本分切ったってことだね。

A:600本ぐらい。

私:1月に切った分だね?600本ぐらいってことは6日間ぐらいかかった?

A:そのときによって違う。竹のサイズにもよるし。大きい竹を選んだ方がいいんだ。4本に割れる。

私:細めの竹だったら2分割ぐらいか。

B:もっと細いのだったら割らずにそのまま使ったり。本当はもっと太い竹もあるんだけど、(状態が)あんまり良くないんだ。下の方しか使えない。真ん中とか上の方は薄い(から使えない)。

私:支柱は何センチぐらい挿す?深く挿す?

B:深くない。

私:自立したらOKなんだね。挿してから苗をくくり付ける?

B:くくらない。挿しておくだけ。

私:支柱を指しておけば勝手に苗が絡むんだ、いいね。苗1本に支柱1本?

A:1つの穴に種を4粒撒くんだけど、1つの穴(種4粒)につき1本挿す。

 3粒ずつ撒く人もいるけど、私は4粒ずつ撒いてる。

私:どれくらい間隔空けて種まきするの?

B:(自分の腕を見ながら)手から肘くらいまでの長さかな。

私:30-40cmぐらいかな。

A:(畝)列の間の通路部分は、通りやすいように(手で示しながら)これぐらい空ける。

私:50cmぐらいかな。種まきは30-40cm間隔、列は50cm間隔だね。

A:田んぼには(棚田)1枚につき2列だけ蒔いた。

サヤインゲン畑
私:今、上の畑には植えてないんだよね。

B:これから植えようと思ってるところ。タイ正月明けぐらいに。

A:(上の畑じゃなくて)田んぼの脇のところ。前回植えて全部枯れちゃったところにまた植えようと思ってる。

私:この村にサヤインゲン植えてる人たくさんいるんだよね。

A:○○さんと、××さんと…。

私:10人いかない、5人ぐらいかな。

B:5人。(指折り数えながら…)うん、5人だ。

私:サヤインゲンは、採れただけ王室プロジェクトが全部買い取ってくれるんだよね?

B:全部買い取ってくれる。

A:(上の村に住む)Jさんの娘は最低1kg17バーツで買い取ってくれる。(個人ビジネスとして買い取っている)17バーツで買い取ったのを、近隣地区まで行って20バーツちょっとで卸してる。

私:自分で売ってるんじゃなくて中間の卸をしてるんだね。王室プロジェクトは、自分のショップ(王室プロジェクトの店舗)で販売してるよね。空港にもショップがあるし、全国にもあると思う。行ったことある?

B:行ったことない。

私:チェンマイにもいっぱいあるよ。一回行ってもいいね。

B:農家から買い取ったのを自分とこの店に送ってるんだよね。

私:そうそう。パッキングして。「安全野菜」として販売してる。サヤインゲンを最初に植えたのはいつか覚えてる?

B:最初は去年。

私:去年の何月?

A:覚えてない。……2月か3月だったかな。そこからはずっと植えてる。

私:2月に植えて、そこからずっと植えてるんだね。

A:そう。種500g撒いて、良い時は4000-5000バーツになる(卸価格)。

私:1回出荷して?

B:違う。1回種まきしてから何回か収穫して出荷するのを全部合計したら4000-5000バーツになる。

A:Cさんは1kg植えて1万バーツちょっともらった。

私:500gあたり5000バーツぐらいってことだね。毎回500gずつ植えてたってこと?で、今回は1kgに増やしたんだね。

B:うん。サヤインゲンは農薬使わないのが良いよね。エシャロットとかキャベツなんかは、山の人たちは植えても自分では食べないよ。農薬いっぱい使うから。

(※実際は食べることもある)

私:農薬撒くときみんな半袖半ズボンで作業してるよね、危ない。

A:うちのお父さんは、靴も履いてないよ(笑)

私:1キロ植えたのは今回が初めてだよね?

A:雨季に1回植えたことがある。すごくよく育って、1回目の収穫で70kg採れた。

B:本当は100kgぐらいだったんじゃじゃないのかな?(※←翻訳不確か)あの時は2ヶ所(王室プロジェクトと上の村)に出荷したから。王室プロジェクト以外に出荷すると、バレたらそれ以降もう植えさせてくれないんだけど。

私:本来は王室プロジェクト以外には出荷しちゃだめなんだね。

A:その時は、王室プロジェクトの買い取り価格が15バーツで上の村の人は17バーツだった。だから2ヶ所に分けて出荷してた。

私:王室プロジェクトの買い取り価格が18バーツに上がったのは何月だったか覚えてる?

A:去年のある一時期だけ15バーツだった。それ以降は18バーツか20バーツになった。

私:まあ、ほかのとこの方が高く買い取ってくれるんだったら、みんなも王室プロジェクトに出荷したいと思わないよね。(価格が)3バーツ上がってよかったよね。

A:本当はサヤインゲンは育てやすいんだけど、暑季(2・3・4月ごろ)は枯れやすい。

B:この間枯れちゃったときは、栽培方法もわかってなかったから。(自信ありげに)今はもうわかった。これぐらい育った時にもし枯れそうになったら農薬はスプレーせずに水だけやって、苗の下(土のところ)に液体の農薬を撒けばいい。スプレーだと苗の中を食べる虫に効かないから。液体を下に撒くと土の中まで届くから、虫が死ぬ。あの時はそれを知らなかったから、全部枯れちゃった。王室プロジェクトから来たスタッフがそうやって教えてくれたんだ。

私:それ、枯れちゃう前に最初から教えてくれてたらよかったのにね(笑)「もしこうなったときは、こう対処すればいい」って。

B:王室プロジェクトのスタッフも知らなかったから。枯れた時は、もう苗も大きく育ってたんだけど、スタッフが枯れた苗を引っこ抜いてみたら虫が中を食べてるのがわかったんだ。

私:あー、スタッフもその時に見に来てわかったんだね。

B:全部の苗に虫がついてたよ。小さいイモムシみたいなやつ。

私:なんの虫だろうね。

B:なんの虫かわからない。大きくなってきたら黄色くなる虫。

私:1キロ18バーツだったら、この辺りでは一番高い買取価格なんだよね。

A:稲刈りの時は20バーツ。稲刈りが忙しくてみんなあんまりサヤインゲン植えないから。 稲刈りの後に急いで脱穀も済ませないと、雨降っちゃったりするしね。

私:稲刈りの時は(稲刈りだけで)疲れるし、時間もないよね。収穫したサヤインゲンを選別するとき、いっぱいはじかないといけない時もあるんだよね?

A:うん。大袋2つ分収穫して1袋分だけ出荷するときもある。サヤに赤い点々が付くのはラッシーっていう病気のやつ。(選別ではじかないといけない)

選別ではじいたサヤインゲンを晩ごはんのおかずに

今回の聞き取りはここまででした。

ポイントをまとめると…

・サヤインゲンは、1人で種1kgを1時間で蒔ける、草刈り1回、肥料2回、天候によって水やり2‐3日に1回と、種1kg程度の栽培だと作業の負担は少ない印象。

・約2ヶ月で収穫、種500gあたり(Aさんによると)合計5000バーツ前後の出荷額。

・2月に種1kg分植えるのに投資した額は、500バーツぐらい。ただし同時期に別の場所に植えた種500gは全て枯れてしまったので、その種代100バーツがマイナスになっている。

・サヤインゲンは出荷先の王室プロジェクトが最低の買取価格を保証しているため、一般的な卸先のように、出荷するまでいくら儲かるかわからないという不安定な要素はない。

 

Aさん家の支出状況がわからないので、サヤインゲンが収入源としてどれくらい頼りになる作物かどうかは、今のところ何とも言えません。が、Bさん曰く「サヤインゲンを植えるだけでは収入は足りない」とのことでした。

これから収穫というタイミングだったので、収穫を全て終えてから、Aさんに合計の出荷額などを聞きたいと思います。

収穫したてのサヤインゲン

今回の聞き取りだけでは、特にAさんたちの作業の仕方で手を抜いているとか、違和感を覚える部分はありませんでした。今後、Cさんへ聞き取りした内容とも比較しながら再度検証してみます。

 

改善点

タイ語には過去形がありません。聞き取り時に、私自身は過去形という意識で質問していても、改めて音声を聞きなおしてみると現在形で質問しているように感じられる部分が多々あったので、「2月は…」など時を表す言葉を必ず付けて話さないと、と思いました。

 

そもそも、きちんと時系列で聞けていなかったので、「脳内で映像を見るように話を聞く」はできていなかったです。

 

疑問点

・流れで2人同時に話を聞きはじめる形になってしまったのですが、話を聞くうちに作業は基本的にAさんがしていることがわかりました。この場合、そこからは意識的にBさんと対話するようにした方が良かったのでしょうか?

→そもそも今回のような場合、最初にAさんBさんどちらと話をすればいいか、どういう風に決めると良いでしょうか?

 

寺田華恵さん
メタファシリテーション講座修了生/Chiku ChikuTong Tong (ちくちくトントン)

 

*寺田さんのこの聞き取り内容と反省点・疑問点に、ムラのミライ認定講師がフィードバックする「ブログ上での公開コンサルティング」として、後日、講師による応答記事を掲載予定です。お楽しみに!

2022年2月27日日曜日

言葉と同じくらい大切なこと

事実質問に徹しようとすると、尋問のように相手を問い詰めてしまうことも少なくありません。

  • メタファシリテーション=事実質問+自己肯定感への配慮

つまり自己肯定感に配慮できるかどうかが、尋問かメタファシリテーションかを分ける大きなカギなのだろうと思います。
でも、この自己肯定感への配慮が難しい。
何をすれば相手の自己肯定感が上がるのか、ピンとこないのです。


講座の中で、

  • 相手が話したい話題、話しやすい話題から聞く(例:趣味、仕事など)
  • 相手の答えをもとに、関連する事実質問をつなげる


 など、自己肯定感を上げるための具体的な方法を教えてもらいましたが、ほかにも、講座内で「なるほど!」と思ったことがありました


「改めたい癖」について参加者同士で事実質問をしあうワークがあったのですが、いつ・何をしているときにその癖が出てしまったかを相手に詳しく聞いていくため、過去の失敗を掘り返すことになって相手の自己肯定感を下げてしまうのではないかと心配になってしまいました。

後でその感想を共有すると、ワークで質問に答えてくれた参加者の方が、こんなフィードバックをくれたのです。

「色んなことを質問されましたが、とても親身になって聞いてくれているのが伝わってきたので、嫌だとか答えにくいとは思いませんでした。」

それまで私が事実質問の練習をする時は、
「どんな表現を使って、どんなポイントを聞き出すか」
と、言葉ばかりに注目していたのですが、誰かと話をする時って、確かに態度も重要なポイントですよね。

話を聞いている私の姿勢や目線・声のトーンなどから相手は様々な情報を受け取るので、私が真剣な態度で話を聞くだけでも、相手に話しやすいと感じてもらえるのだと気づきました
言葉選びで悩むよりも、真剣に話を聞く方がハードルが低いので、少し肩の力が抜けた気がします。

普段は、質問する人・される人がお互いにフィードバックをしあう機会はないので、貴重な学びとなりました。

寺田華恵 メタファシリテーション講座修了生/Chiku Chiku Tong Tong (ちくちくトントン)

2022年2月9日水曜日

脱・指示待ち! 今から実践できる1つのポイント

 皆さん、このような事を言ったり言われたりしたことありませんか?

「誰かに指示される前に動いてもらえると助かるな」
「この作業、何度もやってると思うけど、もうちょっと効率的に工夫できない?」
「言われたことはするだけじゃだめだよ。もうちょっと自分で考えて仕事して!」

まず、
伝えると、伝わる、は別である
ということ。

特に、「効率的に工夫」や「自分で考えて仕事して」など、曖昧な表現は相手との認識のズレを生むことに。
こういったズレをなくし、相手に伝わる対話方法が必要です。

では、どのように主体性が生まれる問いに置き換えればよいのでしょうか。
大事なポイントは、「アドバイスをしない」ということ。
アドバイスをすることで、相手はアドバイス(指示)待ちになってしまい、
結果自分で考えるという思考を止めてしまうのです。

自分で考えろ!と私も言われた経験がありました。
その時思ったことは、
「自分で考えろ!」
と言っている割に考えてやったことを聞いてくれず、引き続き指示をしてくる。
この人のやりたいようにやれば良いのか、と思うようになり、
上司への信頼も失っていました。

「〇〇したらよかったのに」
「なぜ〇〇しなかったの?」
「〇〇した方が絶対良いと思うよ」

こういった問いかけも、アドバイスに含まれます。

まずは、このような問いかけをしないことを意識!
すると、対話相手の意外な変化が生まれるかもしれないですよ。

松浦史典 ムラのミライ認定トレーナー) 

 

 

関連講座
職場の問題を解決するためのコミュニケーション講座
「部下に主体的に考え、動いて欲しい!」 そんなあなたへのメタファシリテーション

2022年1月19日水曜日

脱・「最近どう?」 1on1ミーティングのヒント

職場で管理職になると、部下(チーム)を統率するのも大事な役割になります。
面談などで部下と話す機会はあるものの、

  • 何を話したら良いかわからない
  • 面談では「最近どう?」「何か問題はない?」などの当たり障りのない会話になってしまう
  • 相手のホンネがよくわからない

このように思ったことはないでしょうか。
解決方法の1つは、過去について聞くことです。

どうしても話を聞こうとすると今の考えや気持ちを聞いてしまいがち。
答える側は過去の出来事を全て覚えているわけではないので、今の気持ちや考え、出来事も含めて覚えている範囲でしか答えられないのです。

以下、私と大学生のインターン、Tさんとの間にあった会話を紹介させてもらいます。
Tさんとは、業務の進捗状況を共有してもらうために月1のミーティングを設けていました。
簡単に言うと、「最近どう?」を聞く場です。

私 前回のミーティングっていつだっけ?
T 先月の30日でした。その時の議事録はその日にメールで送らせてもらったと思います。
私 見ました、ありがとう! 他にお願いしていた寄付者の統計も昨日確認したよ。その作業はいつから始めたの?
T 実は、3日前です。先月のミーティングの後に始めようとしたんですが、何から手をつけたら良いかわからなくて・・・
私 そうだったんだね!何から始めたか覚えてる?
T まず、googleで「統計・エクセル」で調べて、でてきたyoutubeをみました。それを見て作業を始めたんですが、図にまとめるときにどのようなグラフ(円・棒・折線)が良いかわからなくて。

その後も話を聞くと、エクセルの使い方ではなく統計のまとめ方がわからないと言うことがわかりました。
もし、「この一ヶ月どう?」「前回伝えた作業はやれた?」など、ざっくりした質問をした場合、こういったTさんの課題は認識できたでしょうか。

考えさせるな思い出させろ

何を話したら良いかわからない時は、過去を聞くことを徹底してみると、思いがけない話が聞けるかもしれないですよ。

松浦史典 ムラのミライ認定トレーナー) 



関連講座
職場の問題を解決するためのコミュニケーション講座
「もう部下との会話に困らない、1on1面談で相手のホンネを聴く技術」

2021年12月15日水曜日

子育て支援団体の読書会に潜入!

先日、メタファシリテーション講座ステップ1に受講された追立さんより読書会のお誘いをいただき、参加してきました。
長久手子育て協力隊のイベントとして「対話型ファシリテーションの手ほどき」を題材にした読書会です。

参加者が本を読み、お互いの感想を話し合う、というのが私の読書会のイメージでした。 

しかし、実際は以下の方法で行われました。 

  • 各チャプター(4-5ページ)にわけ、11チャプターを読む
  • 読んだ内容を用紙3枚程度にまとめる
  • 全体で各チャプターの内容を発表・説明

その後、事実質問を作る練習を3人のグループで行い、事実質問の練習をするワークも行いました。

読んだ内容を自らの言葉でまとめ、発表することで理解が深まるのはとても良い方法。 

参加者からはこのような声もいただきました。

「普段、自分がどれだけ思い込みばかりで話していたか認識できた」
子どもには、なぜ質問ばかりしていたが、なぜがダメな理由がわかった

事実質問は難しいし、質問がでてこなかった

シンプルな手法ですが、容易に習得できる技術ではなく奥深い対話術であるメタファシリテーション。そのため、半年から1年以上かけて研修を行うことも近年増えてきました。

兵庫県西宮市のNPO法人a little(ア・リトル)地域で助け合う子育ての仕組みづくりをおこなうなど、以前からムラのミライは子育て支援のメタファシリテーションを行っています。

教師であり、子育てや教育に携わる追立さんはこのようにおっしゃっていました。

子育てをとりまく環境(職場、地域など)をどのように子育てにつなげていくか模索しており、職場や地域にメタファシリテーションのように事実に基づいたコミュニケーション支援が浸透していくことが必要。

家庭内でメタファシリテーションを使えるようになりたい!という声は、私が担当する講座に参加する方もよく言われます。
20221月から、子どもとの対話にフォーカスした講座を開催します(下記)。興味があるかたはチェックしてみてください!

松浦史典 ムラのミライ認定トレーナー) 


関連講座

 
 


 

2021年12月8日水曜日

「子どもが安心して話せる大人を増やそう」プロジェクトの始まり

始まりは子育て中の親を対象にした小さな子ども向けの講座

2016年から2019年くらいまで、親しい友人から「子育てに使えるようなメタファシリテーションを教えてほしい」と言われたことをきっかけに、子どもをもつ親のためのコミュニケーション講座を試験的に岐阜県や京都府で何度か開催しました。

その間、2018年から3年間、兵庫県西宮市で、NPO法人a littleと一緒に、妊婦とその家族、そして小さな子どもを持つ親、その支援者向けのコミュニケーション講座を実施してきました。

このような講座を受講してくれた小さな子ども(10歳以下)を持つ親たちからは、「子どもの話が聞けるようなった」「子どもの方からどんどん話してくれるようになった」などの反響がありました。

また支援者からは、「支援者も支援される側も楽になる対話を学べた」などの声が聞けました。その一方で、思春期の子どもを持つ親からは、「このやり方では子どもとのコミュニケーションは改善しない」という声も寄せられました。



 中田代表による思春期コミュニケーション講座での「2つの鉄則」

その思春期の親を対象とした「思春期の子どもとのコミュニケーション」連続講座を2019年以降始めたのが、メタファシリテーション手法を編み出した中田豊一(ムラのミライ代表理事)です。自身の子育てや身近な人々の子育てについてのさまざまな相談に、メタファシリテーション手法で対応してきた経験を元に組み立てたのがこの連続講座でした。

この講座に参加した親たちに、講座で教わった通りに子どもへの対応を変えると、子どもとの関係が劇的に改善したという成果が現れ始めました。中田はこの講座の最初に必ず「理屈はともかく“2つの鉄則“をやってみよう。必ず相手との関係が変わる」と伝えます。それは、次の「2つの投げかけをやめる」ということでした。

 「なぜ○○できなかったの?」

 「○○すればいいのに」

10代の子どもを持つ親として、またあるときは記録係として、私はこの中田の講座に繰り返し参加し、どうやって親の子どもへの対応を変え、行動変化につなげていくのか、そのやり方をどのように親に伝えるのかを学びました。

そのような過程を経て、私自身も、思春期の子どもや身近な人とのコミュニケーションについての講座の依頼がPTAなどからあれば受けるようになりました。そのような講座は、中田のように、「2つの鉄則」から始めるようにしてきました。

単発の講座ばかりではありますが、教え方や紹介する事例は、回を追うごとに、参加者の理解と実践を助けるようなものになってきた、との手応えを感じています。

 

講座参加者の発言に20代のころの自分が蘇る

2020年から続くコロナ禍で、対面での講座はなかなか実現せず、しばらくはオンラインでの講座が続いていましたが、この202112月、久しぶりに実現した対面での講座を実施しました。ある地方自治体が開催した「身近な人とのコミュニケーション」講座では、30名ほどの市民が参加しました。

その講座の最後に参加者からのコメントや質問を受ける時間を設けたのですが、その時、ある20代の女性がこうコメントしました。

 「なぜ○○できなかったの?」、  「○○すればいいのに」講座の中で「この二つを最近誰かに言ったことはありますか?」と講師に聞かれたとき、私はハッとしました。私は、誰でもない「私」自身に、昨日も今日も「なぜ○○できなかったの?」や「○○すればいいのに」と言っていたのです。そして、この2つの言葉が私自身をずっと苦しめていたことがわかりました。
 私が親から言われ続けてきたことを、大人になった今、今度は心の中の「私」が私に言い続けて、私をとても辛くさせていることに気づきました。今日の講座を受けて、もし私がこの2つの言葉を「私」に言うのをやめたら、すごく楽になるんじゃないかと思いました。』

少し俯き加減で発言するこの女性の顔を見ながら私が気づいたのは、目の前の彼女はまさに20代のときの私自身だということでした。なぜ私が2016年から試行錯誤しながら、子どもや身近な人とのコミュニケーションをテーマにして講座を続けてきた理由がわかった瞬間でもありました。

私自身が、この
2つの言葉に長い間苦しめられてきたのです。長い時間をかけて克服したつもりでも、時々フラッシュバックのように「○○できないだめな私」という、「根拠なき自己嫌悪の悪循環」に陥ってしまうことがあります。私も、2つのNG投げかけを自分にするのをやめて楽になりたかったのです。そして楽になる人を1人でも増やしたかったのです。

 私が当事者「子どもが安心して話せる大人を増やそうプロジェクト

 現在ムラのミライでは、子ども・若者の支援に関わる20代・30代の支援者に向けて、「子どもが安心して話せる大人を増やそうプロジェクト」を準備中です。

「なぜ○○できなかったの?」、「○○すればいいのに」の2つの投げかけをやめてみよう、子どもの話が聞ける質問をしてみよう、という教材作りからスタートさせる予定です。
メタファシリテーションの技術をわかりやすく伝えることで、子どもの話が聞ける大人を1人、2人と増やしていこう、というプロジェクトです。

この2つの投げかけに苦しめられた10代、20代の「私」を1人でも減らしたい。子どもの話を聞ける大人が増えることで、楽になるのは子ども・若者たちだけではないと思います。
私も含め、多くの大人が、子どもの話を聞けるようになれば、子どもの頃から苦しんできた言葉の数々から自由になる、そんなヒントが得られるはずです。言うなれば、子どもが安心して話せる大人を増やそうプロジェクト」は、むかし子どもだった「私」が当事者です。話を聞いてもらえなかった多くの大人も「当事者」となるプロジェクトなのです。「むかし、子どもだった大人」も当事者として結果として支援されるような、「支援する側」にも「支援される側」にもなるプロジェクトです。

これから折に触れてプロジェクトの内容や進捗をお伝えしていく予定ですが、ぜひ1人でも多くの「むかし子どもだった」たくさんの大人の参加をお願いしたいと思っています。

原康子 ムラのミライ 研修事業チーフ)

 


2021年11月11日木曜日

「気づかせてやろう」と前のめりにならず、相手の話を聞く

自分が対話相手に勧めたいことを、質問の形で気づかせようとしてしまう。
これは、メタファシリテーションを学び実践し始めた方によくある、つまずきポイントです。

実は私もメタファシリテーションを学び始めた当初は、同じような失敗を繰り返していました。
「この人はわかってないから、事実質問を使って気づかせてやろう!」
こういった意図で事実質問をしても、うまくいった事はありませんでした。

メタファシリテーションは「相手の話を聞く技術」です。

1人では言語化できなかった出来事の1つ1つの過程を、事実質問により思い出させることができ、また聞き手も相手の事実を知ることができます。
この過程があってこそ、対話相手が課題に気づき、解決に向けて動き出すのです。

では、これに関する事例を紹介させてもらいます。


シチュエーション:ある製造業の人事部の部長と部下のAさんとの会話。

対話事例1

部長:明日の1 on 1面談会議の資料は作った?
Aさん:今作成中ですが、見ていただけますか?
部長:(資料をチェックし、追加して欲しい内容がある。直接指示するより、事実質問で気づかせてみよう・・・)過去の面談実績について、資料に入れるよう誰かに指示されたことある?
Aさん:いや、されたことはないです。
部長:じゃあ面談方法の補足資料を入れるように誰かに指示されたことある?
Aさん:いや、それもないです・・・・両方追加しておきます!

→部長の質問は事実質問であるものの、話を聞く質問ではなく、Aさんは「指示された」と感じているかも。

対話事例 2

部長:明日の1 on 1面談についての会議の資料は作った?
Aさん:今作成中ですが、見ていただけますか?
部長:(資料を見る)・・・いつから作成し始めたの?
Aさん:昨日夕方、課長に指示をされた後に作成し始め、明日までに仕上げる予定で した。
部長:要点がまとまっていて、とても見やすい構成だね!資料作成にあたり、テンプレートを何か使ったのであれば教えてもらえる?
Aさん:はい、異動前にいた営業部で使用していたテンプレートを使いました。
部長:今度他のみんなにも共有しといて。ちなみに、人事部で使用しているテンプレートがあるのは知っている?
Aさん:はい、課長から4つほど共有していただきました。
部長:4つもある事、知らなかった(笑) 4つの違いは課長から説明はされたの?
Aさん:社外用と社内用の会議資料用テンプレートです。
部長:そういうことね!社内用のは使ったことある?
Aさん:はい、今月の月例会議の際に使いましたが、その時は先月にBさんが作成した月例会議資料を元に作成しました。
部長:じゃあ、今回の1on1面談会議の以前の資料は読んだ事はある?
Aさん:まだなかったので、同期のZ君に見せてもらうようメールをしたところです。それを見て資料を仕上げるので、またチェックしてください!

→ 資料を作成する過程を思い出す質問をすることで、Aさんの事をより知ることができた。また、余計なアドバイスをしなくても済んだ。


繰り返しになりますが、メタファシリテーションは聞く技術です。
実践練習をする際、まずは事例2のように相手の話を聞く事実質問を心がける事をオススメします。

松浦史典 ムラのミライ認定トレーナー) 


関連講座

「新卒が1年で辞める理由がわからない…」 悩める人事部のためのメタファシリテーション