2016年3月29日火曜日

学び、伝える~名古屋自主勉強会の取り組み

私はもともと、関西で10年以上にわたり生活してきました。たまたま2013年10月に、当時の仕事の関係もあって「ファシリテーションについてしっかり学んでみよう」と思い立ちました。そこで、インターネットで「関西 ファシリテーション 11月」と検索したところ、ムラのミライ(当時はソムニード)の対話型ファシリテーションの基礎講座がヒットし、西宮市で開催された講座に参加しました。

その後、2014年4月から名古屋に転居することが決まり、中田さん(ムラのミライ代表理事)に報告したところ、「名古屋では対話型ファシリテーションの自主勉強会が開催されているので、ぜひ参加してみてはどうか?」とお話をいただきました。そこで、現在も自主勉強会の世話人をつとめている松浦さん(NGO職員)をご紹介いただき、2014年春から勉強会に参加しています。

現在の自主勉強会は毎月1回、参加者の都合が合う日で調整し、19時30分から21時30分までの2時間を目安に開催しています。主な会場は名古屋市内(伏見か桜山)で、毎回の参加者はだいたい6名ほどです。勉強会では、参加者が交代制で司会と記録係を担当しています。

みなさんに具体的なイメージを抱いてもらえるように、私がまとめた2015年12月の記録をもとに、以下に自主勉強会の大まかなながれを示してみます。

19:30 司会と記録係の調整、今日のながれの確認
19:40 一か月のうちに対話型ファシリテーションを実践した事例について各自報告
20:10 「各自の手帳」をエントリーポイントにして、ペアに分かれて事実質問の練習
20:40 練習を実践して気になった点などを全体共有
20:50 「来年の予定」を題材にして、ペアに分かれて事実質問の練習
21:20 練習を実践して気になった点などを全体共有
21:30 終了、懇親会(翌日も朝から仕事ですがこの時間から…)

おおよそ上記の内容で、2年ほど活動してきました。参加者それぞれの仕事の都合もあって、ときには3名しか集まらないこともあります。しかし、「たとえ参加者が少なくても、継続することに意味がある」という思いで、この2年間は毎月継続するようにつとめてきました。地道ではありますが、このように何とか自主勉強会を継続できた点に、ひとつの到達点があると考えています。

ただし、現在でも試行錯誤しているのも事実で、私自身も自主勉強会はまだまだ発展途上の段階にあると認識しています。たとえば、毎回の勉強会のながれについて、最近でも「『一か月のうちに対話型ファシリテーションを実践した事例の報告』は時間が長くなりがちなので最後に回し、事実質問を練習する時間は十分に確保しよう。また、事例報告は各自がレジュメを作成すると、記録としても残すことができるね」という意見が出ました。そこで、この意見をもとに、現在では可能な範囲で、参加者はレジュメを持参するようにしています。レジュメのフォーマットについても、できるだけ統一するかたちで調整を進めています。

ところで、2015年春ごろには、自主勉強会で「参加者同士で学び合うだけでなく、自分たちでセミナーなどを主催し、対話型ファシリテーションをどんどん広めていこう」という意見も出るようになりました。背景には、「対話型ファシリテーションを教える側の立場に立てば、自分たち自身も学べることがある」との考えがあったからです。



そこで、自主勉強会の参加者が主催し、2015年9月には名古屋市立大学で学生向けの入門セミナーを開催しました(写真)。受講した学生からは、「事実ではなく答えにくい『考え』ばかりを聞いてしまっていることに気付いた」などの感想が寄せられました。彼らは受講後に、新潟県で過疎集落の生活実態に関する聞き取り調査を実施しましたが、事実質問について学んだ成果を発揮できたと振り返っています。もちろん、勉強会の参加者もはじめて教える立場に立ったことで、事実質問への理解を再考する好機となりました。

自主勉強会の参加者のなかには今、ムラのミライが主催する基礎講座や入門セミナーの講師を担当している人もいます。毎回の勉強会では、教える側に立ったときの経験談や留意点も共有するように心がけています。勉強会では参加者同士、今後も対話型ファシリテーションのスキル向上を図りつつ、積極的に講座開催にも取り組み、「学び、伝える」をモットーに活動を継続していきたいと思います。

(三浦 哲司 名古屋市立大学 准教授/ムラのミライ正会員)









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